表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
蛹の殻  作者: アラdeathM
17/116

17 神という耐性菌 同じパスワードでは開かない

 人間が地球のオーナー、地球株式会社の株主であるとすれば、これまでの繁栄はたこ足配当に過ぎない。新たに獲得した利潤はまだないのだ。豊かな時こそ改革を断行し、来るべき苦しい時にそれを軽減するというような、状況に相応しいあるべき対応が出来ている方がむしろ異常である。それは理想ではあっても、本当に正しいことなのかどうかさえ疑問だ。間違った政策が間違った状況を作るのではなく、間違った状況に間違った政策がマッチするだけだ。環境と対応のあるべき組み合わせは、盾と矛或いは同極同士の組み合わせに等しい。


 宇宙で太陽光発電をしてマイクロ波で送電するような場合は別かもしれないが、地球上で自然エネルギーにシフトしても、人類規模であれば結局は同じことになる。問題が溢れ出す方向が変わるだけだ。それでも先延ばし効果は100年単位であり得るだろうが。人類は原作者ではなく、その創造は二次創作に過ぎない。AI革命で人はもう何も生み出さなくなるのか、或いは丁度何も生み出せなくなるタイミングだったのかは分からないが、それが生殖能力の減退に繫がったとしても驚かない。居たたまれない気持ちになって当然だ。生殖能力を失った個体は長生きする傾向があるが、他の何かを産出しなければならないというプレッシャーによるドーピングである。AIが代わりに働いてくれるような状況とは異なるのだ。


 消費するだけの存在は、これまでは理想の未来にある筈であった。現在人がその未来人になってしまえば未来の未来人に行き場がなくなる。子供という未来からの移民制限に等しい。少子化は、負債という先食いの犠牲者の逆数と言えるが、未来人に対する殺人罪は適用されない。食物連鎖から外れ、我々を必要としてくれた顧客である未来人からも断絶されてしまえば、薄まる客観的存在価値を埋め戻そうとするかのような「淘汰の浸透圧」に襲われるだろう。比率との関係(相関図)を持たぬ者に出番はない。変化という免疫なしに時間に耐えることなどできないのだ。時代の門番は、別段進化を求めている訳でも、勝者を待っているものでも、増してや正義を望んでいる訳でもなくただこう言っている。「全員は通れませんが、それでもよろしいですか?」と。問題にしているのは人数のみで選別基準については何ら示されていない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ