15 契約書にサインした覚えがなくとも種の相続放棄はできない
この世界は答えを見つけ出すゲームではなく、対価を伴う契約である。その更新が忘れた頃に来るのは、新たな入居者についての承諾が必要になるからであり、世代が意識されている。だからこそ、生涯悲劇の門に出くわさずに済む世代がないのだ。農業、機械、情報と積み重ねてきた革命の度に、契約書に新たな条項・権利が書き加えられてきたため、人類は単なる借主であることを忘れ、まるで所有者にでもなったかのように振る舞ってきた。しかし、失念していた「パラダイムシフト」という更新時期のお知らせを前に、自らの権利が有期であることを思い出した。期限には2種類ある。更新期限と明け渡し期限だ。これが更新交渉なのか立ち退き交渉なのか、求められているのが更新料なのか明け渡しなのかということである。果たして神は何人目だろう?神のオーナーチェンジは通知されない。神の個性など問題にならないのだ。神のレントが変わることはないし、相対論という天井板の裏側や、量子論という床下の手抜き工事で適当に誤魔化されていたとしても知りようがない。なぜ時間の堰、時代の門があるのか。なぜ通行料を取るのか。そこで神はズルをしているのだ。量子の世界のズルと同様に、適当なところで辻褄を合せなければ神と雖も収拾がつかない。




