スカイブルー
この作品は『なななん』様が主宰された「夏の涼」企画の参加作品になります。
ふわっとした感じで書いてみましたw
どこまでも…… どこまでも……
果てしなく続く空の蒼さ…
その青色は僕の身体を突き抜けて真っ暗な宇宙まで繋がっている
どうして僕はこんな場所まで来てしまったのだろうか?
一切の力を奪われて何の抵抗もできないまま
僕は新緑が芽吹く大地に向かってただひたすらに落ちていく
このまま地面に到達すれば間違いなく大地に真っ赤な華を咲かせるだろう
この無重力な空間では人間など豆粒のように無力な存在へと変わる
背筋にゾクゾクとした悪寒が走る
その一方で何とも言えない高揚感と爽快感も駆け抜けていく
この空間には『暑さ』と呼べるものが存在しなかった
この空間にあるのは透き通る硝子のような空気と紺碧に染まる海のような空、そして……ふわふわと綿菓子のように浮かぶ雲だけだった
僕は高度3000メートルの空の彼方にいる
瑠璃色に染まる空に憧れて僕はスカイダイビングに挑戦していた
眼前に迫る大地を目の当たりにして呼吸が止まりそうであった
それと同時にこれまでに感じたことがないような衝動も込み上げていた
それは重力に縛られた大地の上では決して感じられない圧倒的な解放感……
その感動が僕の意識を辛うじて繋ぎ止めていた
ああ……地面が見る見る内に近づいてくる
豆粒に見えていた物がどんどんと膨れ上がり、僕の視界だけでは捉えられなくなっていく
自分の小ささを実感する瞬間…
次第に込み上げてくる焦燥感が僕の心臓に血を巡らせる
残り1000メートルの地点を通過すると僕の指先までも燃えているかのような熱を帯び始める
あんなに寒いと感じていた空気も次第に溶けていくように熱を帯びて『暑さ』を取り戻す
ああ……大地とはこんなにも温かいものだったんだ
僕自身が地面に降り立つ頃、僕の額からは汗が滲んでいた
僕はこんなにも生きていると感じたことはなかっただろう
僕は安堵ともに熱を取り戻していた
また何時の日か……あの空の彼方へ
飛んでいきたいと思うほどに地上の世界は暑かった
この作品を読んで少しでも涼しさを感じていただけたのであれば幸いです。
最後まで読んでくれた方、ありがとうございました~♪