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思い付き短編!!

皆様お久しぶりです。

玖太です。


突然ですがふと短編を思いついたので投稿します。


なお、姫子エンドを迎えた結婚後の話なので、俺は姫子エンドは認めねぇ!!

という方は読まない方が良いかもしれない。

宜しくお願いします。







 突然だが、姫子と自分の間に子供が、生まれた。


「あうあう〜〜」

「おーよしよしー」


 ベビーベッドの中でバタバタと手足を動かす我が子の頭を撫でると、我が子は「ふ?」とキラキラとした目で朗太を見て、「ふぅ~~~~!!」と手足をビンッと伸ばし満足そうな声を出した。

 

 その満ち足りた笑みを浮かべる我が子を見ていると自然と目が細くなる。


 顔の隅々まで綿密に観察し、その僅かな変化すら逃がすまいと全意識を傾ける。

 目に入れても痛くない、という感情は本当だったのだ。


 ほんの2カ月ほど前に、結婚して2年の姫子が子供を産んだのだ。


「ホラ、パパ、真尋(まひろ)とジャレてないで片づけしてよ」

「はいよ」

「今日は風華に纏も来るんだから」


 言われて振り向くと、亜麻色の髪をした美女がいた。

 

 何を隠そう姫子である。

 

 高校二年生の時に出会い10年、あれから姫子はさらに綺麗になっていた。


 今日は、昨今の騒動が落ち着いたので、昔ながらの友人が久方ぶりに朗太家に訪れることになったのだ。

 

 学生時代濃い時間を共に過ごした彼女たちの来訪を、朗太も今か今かと待ちわびていた。


 姫子の指示のもと部屋を片付けることしばらく、チャイムが鳴り「やっほ~~~!! あ、朗太くん久々!! 元気してた?!」「あ、あぁ……」「先輩ご無沙汰です! 真尋くんはどうですか?」「あぁ、元気だよ」と大人になりさらに綺麗になった風華と纏がやってきた。


 二人ともうんとおしゃれをしているようだ。

 二人が部屋にやってくると、部屋全体が一気に明るくなって見える。いまだに華がありまくる二人である。


 その美貌に唖然としていると「イッタ!」「フン!」と姫子に足を踏んづけられたけど……。


◆◆◆


「目は朗太くんだね」

「目は姫子のが良かったんだけどな〜」

「ママですよー!」

「纏! アンタはママじゃないでしょ! 全く昔から油断も隙もないんだから!!」

「ハハハ、朗太くんも大変だねぇ。姫子もずっとこんな調子で」

「ま、まぁもう慣れたよ」


 それからお茶菓子を出しもてなしていると自然と話題は出産のときのことになった。


「大変だったなぁ〜〜、急に産気付いて」

「先輩が病院まで連れて行ったんですか?」

「そうだよ」

「動揺してて運転危なかったわ~」

「ハハハ、それはシャレにならないですよ先輩」

「いやそれだけビビってんだって」

「あ、そうだ! これゼリー。乳製品ダメでしょ?」

「ありがと風華」

「あと、これ玩具です。使ってください」

「ありがとう纏」

「悪いな~~」

「いえいえ、先輩と姫子さんの子供なんですからこれくらい当り前ですよ」

「ところで纏は今も調理師として働いているの?」

「はい、この前も具材に何を入れるかで上司と揉めに揉めて」


 久々に会う旧友に話は大いに盛り上がる。


 今現在、纏は調理師として勤め、風華はとある商社でバリバリ働いているらしい。

 しかし赤子がいていつまでも大人同士で話していられるわけもなく、少しすると真尋が泣き出した。


「あ、もう眠いのか〜〜? あ〜〜よしよしよし〜〜〜! 可愛いでしゅね~」

「いつもあんな感じよ」


 柄にもない猫なで声を出す朗太を顎刺し姫子は苦笑する。


「いやでも可愛がってるなら良いじゃん」

「そうですよ、育児参加する男は良いですよ」

「でも夜なんて寝かし付けのために自分で作った昔話をしてるのよ……」

「えぇ……」


 驚愕の事実に風華と纏が二人揃って眉を下げていた。


 朗太のことを良く知る彼女たちでも寝かしつけに自前の昔話をするのは相当に異様なようだ。

 しかし朗太は彼女たちの反応に微動だにしない。


「良いだろ、もう『プロ』なんだから」


 と、朗太が「ね~~」と真尋に向かって笑いかけていると姫子は言った。


「一般文芸で一冊出しただけで偉そうに」

「まぁすごいじゃんそれは」


 それから数時間後、風華と纏は帰って行き、夕飯を済ませた二人はカチャカチャと食器を洗っていた。


「いや~二人とも元気だったな〜〜。疲れた……」

「お疲れ朗太」

「そっちもお疲れ姫子」

「どう、昔のこと色々思い出した?」

「ま、まぁ色々な……」


 言いながらあの嵐のような一年間が頭の中を通り過ぎて行く。


「人生最大のモテキだったな」

「良く言うわ大学時代も色々あったじゃない」

「やめろその話は!」


 大学時代にあったひと悶着を蒸し返されそうになり朗太は姫子に待ったをかけた。


「ふぅ~~」


 姫子が休憩している間に真尋の寝かしつけを終えた朗太は居間に戻りPCのスイッチを入れていた。


 息子が生まれてからというのもの、書く時間が減っている。


 真尋が寝付いた後が朗太の執筆の時間なのだ。


 と、気合を入れていると、風呂に入り髪を乾かした姫子がおやすみと言って寝室に去って行く。寝かしつけは朗太、その後は姫子の役割分担だ。真尋は夜中ぐずらない。


 と、いう訳で一人になった朗太は「よしかくかー!!」と文章を書き始めたのだが、少ししたら姫子が帰ってくる。


 何かと思っていると不満げな顔をした姫子は言う。


「……寝れない」

「なんでお前も寝かしつけなきゃならんのだ」


 寝かしつけを要求する二人目の家族に朗太は憤慨するのだった。



おまけ



TEL。相手は瀬戸


「この前姫子に会ったって?」

『ああ、偶然な。姫子ちゃんまた綺麗になったな』

「だろ?」

『お前には勿体ない』

「で、真尋とも会った?  世界の真尋と」

『世界てお前……』


fin





……と、いうわけで思い付きで書いた、姫子と朗太の結婚後の短編でした!

楽しんで貰えたら幸いです。


それと現在新作ラブコメを投稿しています。

もし良かったらそちらもお読みください。


タイトルは


義妹と付き合うのを諦めたら、何故か不機嫌になった義妹が転入してきたんだけど?! ~長年連れ添った同年代義妹は瞬く間に学園一の美少女になりました~


です。現在投稿開始から約二日で現代恋愛日間ランキング11位。

そこそこ面白いかと。

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1巻と2巻の表紙です!
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― 新着の感想 ―
[一言] ありがとうございますありがとうござます! 風華だけなんか大人びている? 姫子と纏はなんとなく分かりますw
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