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ディズネイパーク編(1)



今日より宣言通りDパーク編開始します。

あ、あとそういえばマジでマウンテンバイクの奴だけチケット当たりました!

やった!








 2月某日。

 日曜日。

 言わずも知れた超有名テーマパーク、ディズネイパークの最寄り駅。

 M浜駅。

 朝9時に当該駅の改札前の広場に行くと、まだ寒さが厳しい時期だというのに多くの待ち合わせの人たちで賑わっていた。案内板の前で友達で来ているグループが被り物をかぶり今日はどこから攻めるか談笑し、カップルの片割れなのか、マフラーを巻いた男が改札の先へ首を伸ばしている。

 天気予報によると今日も今日とて寒いらしい。今年最低気温を更新することも、天気が下り坂になることもないようだが、気温予報を見たらいつも通り寒いとのことだった。だがその寒さもディズネイパークの集客には関係のないものようだった。

 いやもしかすると――

 物陰で朗太は黒のニット帽をかぶり直しながら考えた。

 この賑わいは今日がバレンタインデー前の最後の日曜日だからというのも関係しているのかもしれない。見ると至るところにカップルの待ち合わせとおぼしき人がいた。バレンタインデーにロマンチックにディズニーに行くことは出来ないが、その代わりにその直近で、しかもバレンタインデー後だと味気ないのでその前に、このテーマパークに訪れようという発想は、いかにもありそうに思われた。

 

 もしかすると『あいつ』もそう思われているのかもな……。

 

 朗太は柱の影に身を寄せ、日の当たる場所でスマホをいじる女を見て思った。明るい髪色をしたパッと見ただけでギャルと分かるその女。その女は類い希なる容姿をしていて今日も周囲の異性の視線を集めていて、いかにも彼氏を待っているように見えるのだが、彼女は別に彼氏を待っているわけではない。

 だが彼氏ではなく男を待っているのは事実で、その男はこの女を好いているため色恋沙汰でこの場にいるという点は同じかもしれない。

 そして朗太はその男と女の間を取り持つ存在としてこの場に存在していて、だからこんな格好をしているのだ。


「うわ何あの男」

 

 遠くで自分を指差しどんびく女子中学生に 朗太は心の中で弁明した。

黒のニット帽に、黒のサングラス。

 周囲の視線がやや痛いが、これほど自分の正体がばれづらい格好もあるまい。

 準備は万端。今日こそ先日の無念を晴らしてやろうと朗太は依頼者か、依頼者以上に情熱を燃やす。

 のだが……


「……で、なんでアンタこんなとこにいんのよ」


 何故か目の前にトレンチコートを羽織った姫子がいて驚いた。

 むすっとした顔から白い息が吐き出されていた。


「は、どういうこと?!」

 訳が分からないのは朗太は突如現れた姫子に目を白黒させていた。

 しかも驚きはそれに留まらない。

「先輩、そのグラサン死ぬほど似合わないからやめた方がいいですよ……」

 姫子に気を取られて気が付かなかったが背後にはバーバリーのマフラーを巻いた纏が突っ立っていた。朗太と目が合うと「あ、おはようございます」と挨拶し「お、おはよう……」とぎこちなく朗太も返す。

 そしてここまで来れば残りの少女が来ていないわけもなく、気配を感じ朗太が恐る恐る振り返ると、

「や、おはよう、凛銅くん!」

 そこにはなにやら恐怖を感じさせるのっぺりとした笑顔をはりつけた風華がいた。顔は一応笑っているが声は欠片も笑っていない。

「お、おはよう……ございま、す……」

 朗太は何とか声を絞り出した。


 しかもこの状況は不味い。


「で、なんでアンタはこんな場所にいるのよ朗太」

 じとっとした目つきの姫子は口をとがらせる。

 M浜駅だなんて男の多くが異性と遊びに行くために降車するような駅なのだから。自分たちの関係を振り返れば、今自分がこの場所にいることに関し勘違いを起こせば彼女たちが怒ったとしてもおかしくない。その上――


「しかもあれ、瞳でしょ?」

 姫子は日向でスマホをいじる派手な女を顎で示し目を吊り上げた。そう、朗太の観察していた派手な美人な女は、最近姫子のもとで活動を始めた蒼桃(あおもも)(ひとみ)、その人なのだ。蒼桃瞳、学校でも美人で有名で多くの異性の好意を集める彼女。


「先輩、まさか……」


 蒼桃がいることを認知して纏が白い眼をして朗太を見る。 

 だがこれは明らかな誤解。


「ち、ちがうこれは! 誤解だ! なぜなら俺は」


 朗太は依頼者との約束を破り事の真相を打ち明けようとしていた。

 しかし、時を同じくして蒼桃の前にも男が現れる。

「お待たせー」

「おせーぞ吉成(よしなり)

 現れたのは『吉成(よしなり)』と呼ばれたその男。

 本名は、津軽(つがる)吉成(よしなり)という。

 よく皆に津軽と呼ばれている東京遠足の件で因縁のある男である。


「あ、あれ、凛銅くんのクラスの人よね」

 見おぼえがるのか風華は目を丸くし「ま、まぁ」と朗太は頷くと「今から状況を説明する」とため息を吐きながら顔を上げた。


 話は数日前に遡る。









というわけで津軽くんが登場です。

津軽のビジュアルが見たい方はコミカライズ版を是非。

6/25 12時まで無料で読めます。


次話投稿は6/24を予定しています!

宜しくお願いします!

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1巻と2巻の表紙です!
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