コミカライズ第4話掲載! 短編 ゴジラ
気まぐれで出来上がった短編です。何か出来たので上げておきます。
本編は3日後(6/21)に更新します。
それと本日コミカライズ4話が更新されています!! すっごいページ数になっているので(なんと50ページ近くもある……)是非お読みください! 1週間は無料! 宜しくお願いします!
ゴジラ。
1954年に第一作が公開され、それ以降作品が作られ続けている日本を代表する怪獣映画である。
近年ではハリウッドでも制作されており、巨額の資金を投入し為し得る最新技術の粋を凝らしたハリウッド版ゴジラが好評を博しており、この度、その続編が公開された。
これはその映画を見たあとの話である。
ここは都内の某所にある映画館のほど近くにあるカフェ。
休日の昼間ということで、店内はおっさんたちやおばさん、若者たちでごった返していた。皆カプチーノだのラテだの頼み午後のひとときを楽しんでいる。映画館の近くにあるということで映画を観てきた者も多いようで、ちらほらと映画のパンフレットの入った袋を引っ下げる者もいた。
隣の男女も同じのようだ。
「凄かったね、ゴジラ……」
「だな。めっちゃ面白かったよ――」
「史郎君は見てて、どう思った?」
「え、間違いなくゴジラには勝てないなって」
美少女が小首をかしげて尋ねると向かいに座った男は、ゴジラに自分が勝てるか否かというなかなかパンチの利いた返事をしていた。横目でちらりと見ると顔は別に赤くなく酔っている形跡は見られない。というより朗太と同年代だ。飲酒など出来るわけもない。世の中変わった人間もいるものである。朗太と同じ感情を抱いたのは話していた少女も同じようで「その見方ホントやめて……」とどんよりとしながら答えていた。
それに慌てる男。だがそこに着信が入り気もそぞろに「どうしたナナ?」と電話に出る。
しかしその電話は重要な案件を伝えるものだったらしい。みるみる男の顔が曇っていく。電話を終えると「メイ行くぞ」と少女の手を取り店から去って行った。
「どうしたの史郎君」
「なんか攻撃を受けているらしい。戻り方を聞く」
チリンチリンとベルの鳴る出口の方から彼らの会話が聞こえてきた。
「何か凄い会話だったわね……」
その意味不明な、芝居がかった会話にあてられたのが隣の席に座っていたいつもの朗太・姫子・纏・風華の4人衆である。
「意味不明でした。まるで別世界の住人みたいです」
「うん、ちょっと凄かったかも……。しかも前にいた女の子凄い可愛かったし」
「あ、やっぱ!? ヤバかったわよね。よくものにしたもんよね」
「しかも私たちと違ってお淑やかそうでしたね。芯は強そうでしたけど」
「凛銅くんがいかにも好きそうな感じ」
「お淑やかじゃなくて悪かったわね朗太」
「いや別に悪かないけど……」
なぜか自分がお淑やかな少女が好きということにされかけ否定すると姫子が口を尖らせた。
「ふーん、じゃぁ今の二人見てアンタの感想は?」
「変わったやつもいるなって」
「アンタがそれを言うのね……」
「先輩人のこと言えないですよ」
「ははは」
「風華、アンタもだから」
「え、私も!?」
苦言の矛先が自分に向き風華は目を白黒させていた。
そして頼んだ飲み物が来るまでの間は案の定映画の話になり、姫子たちが楽しかったー、だの、ビックリしたー、だの話している横で「あの怪獣同士の戦いはどうしようもないから人間は人間で最善を尽くそうっていうのは、この国の災害に対する考え方に通じるところもあるよね」という言葉から始まり「やっぱゴジラは災害そのものみたいなところがあるんだよ。そもそもゴジラってのは」と朗太が映画に対する自説を披露し始めると
「うわ……」と纏は顔をしかめて
「またコイツ、あっさい知識を披露し始めたわよ……」
「先輩の考察は疲れます」
「ははは」
皆、それぞれ朗太の妄言に渋い表情をしていた。
「ところでオリンピックのチケットの応募はもうした?」
しばらくしてコーヒーやカフェラテがテーブルに配膳されたころには話題は変わっていた。
「あー、そういえば来年か。楽しみだな」
「あれ、アンタスポーツ観戦好きだっけ?」
「スポーツに限らずその人の才能を全力で出し切ったものは何でも好きだぞ」
「先輩は昔からそういうところありますよね。ちなみに私はまだです」
「俺は……、確か弥生がなんかしてたな……」
「皆甘いな、私はもうしたよ!」
コーヒーにたっぷり砂糖とミルクと投入しそれを一口すすると風華はコーヒーカップを置き胸を張った。
「なにしたの?」
「開会式よ! 一番良い席!」
「え、あれ確か30万しなかった!? アンタ大丈夫!?」
「も、もし当たったら、バイトで稼ぐわバイトで……。その頃は大学生だろうし」
痛いところを突かれた風華はぼそぼそと返していた。まだ大学受験に受かるかも分からないのに大胆な少女である。
「いやまぁそうだろうけど……。で、あ、そうだ。でね、そのオリンピック一緒に応募したらどうかと思ったのよ」
姫子も思ったことは同じのようで半眼になっていたが追及する気は無いらしく話の軌道を修正した。
「え、全員当たるか分かんなくない?」
「まぁそうだけど……」
「どころかその頃私たちが一緒にいれるかどうか……」
纏が言うと三人の視線が朗太に集まった。今の朗太たちの関係性は非常に微妙なのだ。
「だね」
「そうね」
「……」
「まぁそれは置いておいて! 気を取り直して、探そう!」
何とも言えない間が発生すると、とりなすように風華が明るい声で言う。
そして「それもそうね」と姫子ものりそれを皮切りにおのおのオリンピック公式サイトで競技の確認を始めた。
朗太も該当のページを開くと東京五輪で行われる競技一覧が出てきた。それぞれの競技中の選手を模したアイコンをタップすると、それら競技の観戦料金が表示されるようだった。
「いろんな競技がありますね」
「確か全部で33競技よ」
「少しでもチケットが安いやつ安いやつ……」
朗太たちはそれぞれ食指の伸びる競技がないか目を通していく。すると風華が声を弾ませた。
「あ、自転車競技がある!」
「アンタ自転車好きよねー」
「ま、京都行ったくらいだしね」
「あ、あの時は大変だったわね」
「ロードとかマウンテンバイクとかいくつか競技があるようですよ?」
姫子と風華が思い出に思いを馳せているとスマホをいじっていた纏がページを示して見せた。そこには確かに「BMXフリースタイル」やら「BMXレーシング」など複数の競技の記載があった。朗太も知らなかったが複数の競技があるようだ。
「ロードとかはさすがに知っているけどそれ以外は知らないのが多いわね」
「フリースタイルっていうのはスケボーの自転車バージョンのものみたいですよ。スロープとかでトリック決めていくようです」
纏は早速YouTubeでそれら競技を検索したようだ。小さい画面にはスロープでトリックを決める選手達が写っていた。
と、その時だ。
「なにこれすごい!」
纏と同様スマホで競技を検索していた風華が声をあげる。画面を覗き込むとそこでは未舗装の山道をマウンテンバイクで駆け降りる選手達が映っていた。石や木の根で跳ね返るバイクをみな必死に押さえつけ出来る限り早く山道を駆け降りていく。
「マウンテンバイクのクロスカントリー、かしら?」
「よく知っているな姫子」
「前にテレビで見たのよ。エクストリームスポーツの一種よ。とても危険」
「へーーー、て、うわホントだ……」
言っているそばから風華の画面に写る選手がバイクからすっ飛び、樹の幹に激突していった。どうやら動画の種類がクロスカントリーの転倒集になったようで、次々と選手が魚雷とかミサイルみたいな勢いですっ飛んでいく。
バイクともども一回転しそのまましたたかに背中を地面に打ち付け、そのうえに自転車がふりかかる。そんな映像がたて続く。
「確かにこれが危険だってのはよく分かります」
「うわー、痛そう」
「見ているこっちまで痛くなるわね」
その後も選手が自転車の勢いそのままに空中に放り出され地面に転がる映像が続き、風華は言った。
「なんでわざわざ自転車乗ってるんだろう」
「「「……………」」」
「それ言っちゃお終いよ風華」
「そうですよ、それは言わない約束ですよ」
「まぁそれが良いんだろうなぁ」
身も蓋もない風華のセリフに皆呆れていた。
その後朗太たちは「でもこれ絶対テレビで見た方が面白いやつですよ!」と言う纏の反対を押しきりクロスカントリー含め複数のチケットを購入したのだが、
彼らが来年も一緒に行けるかは、誰も知らない。
「行けるかな、一緒に」
「ま、まずはチケット当たってからね」
来年の予定に胸を膨らませる風華に姫子は諫めるように答えていた。
「きっと行けますよ」
「だな、行けるといいな」
そう言いながら朗太たちは席を立つ。
朗太は言う。
「で、これからボウリングなんだっけ?」
というわけで久しぶりに彼らを登場させました。元気にしてるのかな?
本編は3日後(6/21)に更新します!
今から書きます!
大分更新を怠っていたのに全然書き溜めが出来ていないこの状況。例によってプロットは完成しているのですが……。
別に遊んでいたわけではなく、これまで何をしていたかというとずっと2章の書き直しをしていました。
そのため現在なろうに掲載されている『白染風華(1)』~『藍坂、部活辞めるってよ(6)』はこの度書き直したバージョンに既に切り替わっています。
それと実はこの第2章、別バージョンが出来上がっていまして……汗 藍坂の外見をボーイッシュな感じにしたり、女バスの部員が藍坂に冷たかったりするバージョンなのですが……、そちらはカクヨム様に掲載しています。
私のTwitterから飛べるようになっているので、是非こちらの方もお願い致します。
宜しくお願いします!




