表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
107/211

旅行1日目(1)


京都旅行IF開始です。

宜しくお願いします!!



(※ 本編再開していますので読み飛ばしも可能です! 

 ですが私なりに気合を入れて書いたので暇なときに読んで貰えると嬉しいです!

 宜しくお願いします!)









「ねぇ! 一緒に京都行かない?!」


それは風華のそんな言葉から始まった。


「行きます」

「あ、アンタ……、即答してんじゃないわよ……」


間髪入れず答える朗太に姫子は顔をしかめた。

暦は6月。

放課後、ファミレスで一息いれていた時のことだった。

空調の効いた店内でパタパタと下敷きで扇いでいると風華はふとそんなことを言いだしたのだ。


「京都って、いきなりですね?」


髪にわずかに水気を含んだ纏が尋ねた。外は雨である。


「実は姫子とは前から行こうって言ってたのよ。で、二人もどうかなって。どう??」


風華はその気分の高揚を表すかのように身を乗り出した。

その容貌は今日も抜群のチャーミングさだ。

そしてこの天使さながらの美少女と京都に行けるというのだ。

加えて朗太はこれまで京都になど中学の修学旅行と家族旅行で一度で行ったことがあるだけだ。

逃すわけがない。


「行きます、行かせてください」

「だからアンタは何も考えずに答えすぎ……」


姫子は肘をつきため息をついた。

一方で纏は気になることがあるようだった。


「別に良いですけど、いつ行くんですか?」

「夏休みだね!」

「日程は」

「未定だね。実際にやってみないと分かんないし」

「実際にやってみないと分からない?」


意味不明な返事に纏は眉を顰めた。

朗太も意味不明な返事に目をすがめた。

実際にやってみないと分からない旅行とは一体どのような旅行なのだろうか。

そう二人して怪訝な顔をしていると


「あ、アンタ、言葉足らず過ぎて意味わかってないわよ」


姫子が風華の背をたたき、合点した風華は得意げな笑みを漏らし


「あ、そうだね。じゃ、言葉を変えるね?」


それは告げられたのだった。


「私たちと京都まで自転車旅しない?!」

「「えぇ!?」」


予想外の言葉に朗太たちは瞠目した。


◆◆◆


話を聞いたところ風華は以前から自転車で京都までチャリ旅することが夢だったらしい。チャリダーの話を聞き、自分もいつしかしてみたいと思っていたそうだ。


「で、来年になったら私たち受験じゃん!」

「ま、まぁな……」

「だから今年しかないじゃん!って姫子とずっと言っていたのよ!」

「そうだったのか」

「まぁね、こいつがずっと行きたいって言っていたから」


姫子は肩をすくめた。

風華はこの計画に向けて以前より準備を進めていたらしい。

そしてそのような計画に横入りさせてもらえるというのだ。


「是非行かせて欲しいな」


親からの許可も後に回しにし朗太は志願した。

風華がいるというのも大きいがこのような面白そうな企画を断ったら一生後悔しそうである。


「纏は?」

「そうですね……」


朗太が問うと纏は首を傾げた。


「……やっぱりお父さんとお母さんに話してみないと分からないです。でも姫子さん風華さんもいると言えば許してもらえるかもしれないです」


曰く80%くらいの確率で参加できそうであるらしい。

それはつまりほぼほぼ4人全員参加可能ということであり、話はもう一段奥に進んだ。

何も自転車旅、身一つで行けるようなものではないのだ。


「じゃぁそうと決まれば色々と買わないといけないわよ。凛銅君、纏ちゃん。例えばロードバイクとか」


風華は鼻息荒く意気込んだ。


「ロードバイク? ママチャリじゃやっぱダメなんだ?」

「そうよ! 当り前じゃない!」


問うと風華は朗太の信じられない認識に目を丸くした。


「そんなことしたら何日もかかっちゃうわよ! その点ロードバイクなら、そうね、私たちなら東京・京都間なら3日もあれば行けるかもしれないわ」

「三日!? そんな早いの?! 俺らるろうに剣〇じゃないぞ?!」

「るろうに剣〇じゃなくてもその気になればロードバイクはそれくらい速いのよ! あとそうでなくともママチャリで行こうものならまず間違いなくケツもってかれるわ!」

「ケツもってかれる?!」


人体錬成かな?

風華の口から吐き出されたエキセントリックな表現に朗太は息を飲んだ。

しかし風華の言うことは確からしい。

風華の横で紅茶をすする姫子がジト目で指摘した。


「朗太、考えてみなさい。東京から京都まで自転車漕ぐのよ。その間サドルに座りっぱなしよ。自転車に乗ることに特化した自転車じゃないとキツイのは当然でしょ?」

「た、確かに……」


言われてみれば京都までの道のりの長さを考えれば乗り心地の良さは重要であった。


「でもロードバイクって高いんじゃねーのか? 白染とかはどうしたの??」


朗太が問うと風華は頬を染めた。


「じ、実は叔父さんから借りられることになっていて……。むしろ借りられることが決定したので生まれたのが今回の企画です……」

「「……」」

「ご、ごめん! そんな人でなしを見るような目で見ないで二人とも!」


風華が自分だけ金のかからない旅の発案したことに二人が閉口していると風華はワタワタと手を振って謝罪した。

また聞いたところによると姫子は風華の案に載るためにわざわざ良いロードバイクを買ったらしい。


「ごめんね、実はそういうわけなの。話す順番が間違っていたね。だから言い換えるのなら結構お金がかかっちゃう企画があるんだけど皆でどう?? ってことなの?? どうかな??」


皆に散々白い目で見られシュンとしながら改めて問う風華。

だが答えは変わらなかった。


「行くよ」


朗太は即答していた。


「ホントに?!」

「あぁ、それくらい価値ありそうなイベントだし、貯金で何とかするわ。纏は??」

「わ、私も行きたいですが、お金も結構かかるとなると二の足踏みますね……」

「あ、でも何もかもが後出しで申し訳ないんだけど、叔父さん家、奥さんもロードバイクやるらしくてロードバイク2台あるはずだから、そっちも借りられるか交渉してみるよ! 片っぽはお古だけど私が乗るし」

「なら纏はそれで良いんじゃないか? 俺は買うし」

「ごめんね凛銅君……」

「良いよ別に。それに金かかったのは姫子も同じだろ? それに言ったように俺はこの企画金がかかっても参加したい」

「先輩……」

「アンタ……」

「凛銅君……」


少し男らしいセリフに感動する3人。しかし


「良い小説のネタになりそうだからな」

「せ、先輩……」

「あ、アンタ……」

「違う! なんか違うわ凛銅君……!!」


自分たちの想い出の旅行を一種の取材ととらえている人でなし発言に三人は揃ってドン引きしていた。


こうして4人で行く京都旅行は現実味を帯びてきて


「皆さん、親からオッケーでました!」

「オッケーい!!」


後日、纏の参加も正式に決定し


「てか帰りもチャリなのか??」

「いや、改めて日程を考えたんだけど『行き』だけ自転車にする予定。帰りは新幹線にしましょ?」

「まぁそれが良いでしょうね……」

「あ! じゃぁその場合自転車入れる袋が必要なようですよ!? ネットでそう書いてあります! Amazomで格安の売ってるんでそれにしましょう!」


と具体的に必要な物資も決まりだし


「あ、あとみんな京都市内で行きたい観光地あったらリストアップしておいて!」

「自転車で巡るのか?」

「そうよ! 嵐山とかだと無理だけど、京都中心街なら自転車はむしろベストな可能性すらあるわ!」

「そ、そうなのか」

「そうよ朗太。これ結構有名な話だから。あ、それと私金閣寺行きたい!」

「金閣? 相変わらず派手なもの好きですねー? 私は断然銀閣派です!」

「あ、なら私は清水寺ー!!」


少女たちは次々と候補地を挙げていた。

しかもその三つ、どれも距離が離れているが


「自転車なら、一日で回ることも十分可能なのよ凛銅君」

「マジか……」

「それに、集合時間とかないし」

「なるほど」


と、今回は可能らしい。

朗太が中学時代広げた地図を思い浮かべながら問うと否定されてしまった。

自転車最高やん。朗太は感動した。


「じゃぁ俺は仁和寺と知恩寺と南禅寺の京の三大門と桂離宮と苔寺に行きたいわ」

「け、結構行きたい場所あるのね朗太……」


朗太の隠さぬ欲望に姫子は閉口した。

なお苔寺は事前予約が必須、桂離宮も確実に見学するのなら事前予約が必要である。朗太は庭園好きである。


「あ、それと私、湯豆腐食べたいです! 京都と言ったら湯豆腐ですよね!?」

「良いわね湯豆腐。私も食べたいわ」

「あ、確かに良いかもねそれ。でもそうだね大概予約制だから自転車旅だときついかも。何時つくか分からないし」

「じゃぁ6日目に設定しておけば?5日あれば確実に京都入れるでしょ」

「確かに、天才なんじゃない姫子」

「ふっふーん、褒めたたえなさーい」


と彼女たちは食の話題で盛り上がっていた。

食にあまり関心のない朗太はあまり熱心にかかわれない領域の話であった。


また実際に朗太のロードバイク購入計画は進んでいて


「凛銅君! こんなロードバイクはどうかしら!?」

「おう、これか」


休日、サイクルショップで風華とロードバイクを品定めしていた。

赤や白、銀色のロードバイクやクロスバイクがメタリックに輝く店内それらを唇を舐めながら見て回っていく。

風華と二人きりで緊張がヤバいのに、高価な買い物をしないとならないとあって朗太は緊張の極地にいた。

とはいえしっかり考えて決めねばならない。

仮にも10万円以上する買い物である。

朗太は自身に気合を入れ直しながら買い物に臨んでおり


「それとライトね。別売りだったりするから」

「あぁライトか」

「ヘッドライトとテールライトね。車道走るから無いと夜中死ぬわ。まぁ夜中は出来る限り走らないけど」

「はい」

「それとワイヤーロックとヘルメットと穴あきグローブ。あとこのボトルケージって奴もあった方が良いわ」

「ボトルケージ?」

「これをバイクにくっつけてそこにペットボトルを挟み込むのよ。そうすれば飲むの楽でしょ」

「なるほど」


と、準備を進めており、時は飛ぶように過ぎていき早くも夏休み。


『何?! 今日もアンタ遊べないの?!』

「そりゃそうだろ書き溜めてんだから!」


朗太は姫子から遊びの誘いも断り小説の書き溜めを進め


――夏休み、某日。

まだ日も上がらない早朝だ。

チュンチュンと鳥が鳴く薄暗闇の中、


「……おっはよー」

「……おはようじゃなくてコンバンワじゃないですか?」


四人の少年少女は中野駅前に集合していた。


「まーまだ午前四時だからね。気分は夜よ」

「おはよう二人とも。真っ暗だな」


ついに決行の日なのである。

既に集まっていた朗太と姫子は遅れてきた二人を出迎えた。

4人の格好は体にぴっちり張り付くサイクルジャージ、そしてヘルメット、バックパックという出で立ちである。

4人はそれぞれライトをカチカチ光らせながら現れた。

そうして4人は


「じゃぁ行くか」

「そうね」

「えぇ、行きましょう!」

「はい、楽しみです!」


ロードバイクに跨り、闇夜を割いて4人は走り出したのだ。

人生で一度の高2の夏休み、纏にとっては高1の夏休み。

それを利用した旅の始まりである。







というわけで京都旅行編開始です。爽やかな感じにしていけたらなーと思っています。少年少女の旅みたいな感じですね。

if世界線の話なので特定条件下で高校生だけでも容易にホテルチェックイン可能となっています。

また愚直に国道一号のみで行くと静岡あたりでバイパスに突入し非常に危険なのでしないようにして下さい。私も迂回路を通った記憶があります。チャリダーのブログ見てもやはりそのようです。

また何分昔の記憶のため、おかしな描写があると思います。(太平洋自転車道なんてありましたっけ?状態)

ご指摘していただければ修正しますが、修正が困難な場合は、if世界線の話だからーで通してしまう可能性もあります。


というかこのif、自分の記憶辿るだけだから割と楽に書けるだろと高くくってたらルート取りの作業量が思いの外多くて草 楽できないorz


あ、あと京都旅行ならここ行ってくれよ!みたいな場所がもしありましたら言っていただければ挿入しますよ!




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1巻と2巻の表紙です!
i408527i462219
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ