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文化祭抗争(22)







朗太が顔をしかめて数分後。

それは現実となった。


それはゴールデンタイムを迎える少し前。

流石にこの頃になると客足は回復し『さぁこれから頑張るぞ』と皆が気合いを入れ直していた時のことだった。


屋外テラスで朗太がスマホをいじっていると、姫子がやってきて言ったのだ。


「エリ子の衣装が無くなったわ!?」


つまり演劇に必要な肝心要の衣装がどこかへ行ってしまったのである。



そしてなぜこのようなことが起きたのか。

時はエリ子某の衣装が消える、少し前に遡る。

場所は例によって『三年会』だ。

そこでは、教師から注意を受けた後も、いかに2Cの劇を妨害するか話し合われていた。



輝一:教師たちからもお前らいい加減にしろって言われちまったぞ?!

666:誘導はそこそこ成功だったがかなり教師たちからの監視も厳しくなってる。どうするこれから一番の掻き入れ時だぞ

王手:ゴールデンタイムか……

K:今2Cはどういう状態なん?

ベルサ541:今さっき見てきた。大分客足も回復してる

LL:普通に繁盛しているようだったな

輝一:だとしたらかなりマジーな……

クジラ:確かに止めないとかなりマズイな

OLO:何か手はあるの? クジラ

クジラ:あるにはある。

輝一:聞こうか?

クジラ:知れたことだろ


しばらくするとグループトークに参加するメンバーの画面にその文字列は書き込まれた。


クジラ:また何か壊すしかない


その書き込みには多くの者が俄に反応した。


卑弥呼:アンタ正気?!

Mnou:俺達既に教師に睨まれてんだぞ?! ここで目立つのはヤバいだろ!?



だがそれしか方法がないことも彼らは承知していて次第に彼らは策を話し合い始めた。

徐々に活発になりだす議論。


途中、このグループトークの裏の纏め役であるアカウント『ベンガル』から


ベンガル:それと、何も壊すことにこだわらなくても良いぞ。そのレベルの事象を起こせばいい


という書き込みもあり、彼らの話し合いは物品の破壊に留まらないものも含め行われた。


輝一:暗幕を壊すってのは?

クジラ:OLOがすでにぶっ壊してるからヤバいだろうな

Mnou:じゃぁドアとかは?

クジラ:ドアか……、一時的にしか止めれないが効果的かもな……

Mnou:これにするか?

クジラ:良い案が無ければ採用だな、偶然を装って壊す。他には

卑弥呼:照明割るとかは?

LL:それは不味くね?

クジラ:あぁ何より2Cの劇は俺達3年は入れない。無理だな

ベルサ541:そうか……

666:じゃぁめっちゃ音楽流すか

クジラ:それもありだが、決め手に欠けるな


クジラ:他に何か良い手は無いのか


そのクジラの問いかけにしばらくすると、『卑弥呼』というユーザーネームの少女が答えた。



卑弥呼:てか私たち三年が劇は入れないのが問題なのよね


と。


666:そうだが


卑弥呼:じゃぁ1年生送り込んでまた備品壊せばいいんじゃない?


それは流星のように突如彼らの前に姿を現したアンサーだった。


クジラ:確かにそうだな

OLO:良い案だねぇ。それにしよっか。誰か1年で言うこと聞かせられる奴いる??

ベルサ541:あ、俺良い感じの後輩一人知ってるよー

666:それマジ?

ベルサ541:うん、俺が言えば言うこと聞くよ

クジラ:よし、じゃぁ頼んで良いか。俺達の子飼いは備品借りの走狗に使っている。

ベルサ541:分かった


そうして彼らが再び罪のない後輩を犠牲にしようとした時だ、とある書き込みが投げ込まれた。


LL:え、それは流石にマズいんじゃないのか?


それはそんなメッセージで、これがきっかけに彼らの策は大きく変わり始めたのだった。


クジラ:はぁ? 日和ったのかよ


クジラはすかさず言い返す。


LL:いやいや日和っちゃいないよ。確かに備品貸し出し書の時は上手くいったな。だが今回もうまく行くとは限らないだろって話だよ。バレたらそれこそ大問題だぞ


どうもLLはバレるリスクを警戒しているようだった。


クジラ:まぁ確かにそうだが……


これにはクジラ・久慈川も認めざるを得なかった。

だが言うだけは許さない。


クジラ:じゃぁ何、お前なんか良い案あんの?


たまらず問い返すとアカウント『LL』はしばし黙った。

そしてしばらくして言ったのだ。


LL:一つある。

クジラ:なんだ

LL:衣装を奪うんだ




クジラ:そんなこと可能なのか?


すかさずクジラは問い返した。

だがLLにも考えあってのことらしい。


LL:あぁ、観察していて分かったんだが、あいつら長めの休憩を挟む際、衣装を脱ぐ。


LL:で、エリ子とかいう奴は脱いだ後の衣装をなぜか『廊下に』置いている。あれなら誰でも盗めるぞ


そうして彼らの携帯に送られてきたのは実際に桃太郎の衣装が廊下に無防備に放置されている画像であった。

それは本当に廊下に無防備に置かれていて、取ろうと思えば誰でも取れそうであった。


LL:な、盗れそうだろ?

クジラ:なるほど行けそうだな

LL:しかも桃太郎だろ? 準主役だ。申し分ないだろ

クジラ:あぁそうだな

LL:どうだろうか? これで良い気がするんだが


LLが問いかけてしばらくするとコメントが更新された。


クジラ:あぁそれで行こう。最も無難で、最もダメージを与えられそうだ

ベンガル:あぁそれが良い。


こうして衣装の窃盗は実行に移されることになったのだ。

そして策が決まれば実行あるのみだ。


666:じゃぁ誰が盗りに行くんだよ。LLが直接行くか?

LL:俺は遠目で監視できる位置にいるからサポートに回るよ。てか俺三年の中でも有名だからこのタイミングであそこに行くのは危険だ。あまり名前知られてない奴の方がいい。俺が合図出すよ

666:分かった、なら俺が行こう……

LL:影薄いのかよ666w

666:ほっとけ


彼らはあっという間に実行者を決める。

そして話し合いから数十分後


666:マジで上手くいったぞ!!!www


実際に桃太郎の衣装の窃盗は成功し


「朗太、エリ子の衣装が盗まれっちゃったわ!!」


こうなるわけだ。

人が押し寄せ始めた校内に姫子は屋外テラスで携帯をいじっていた朗太の前で慌てふためいていた。

時計を見ると12時50分。

まさにこれからゴールデンタイムだという時のことだった。

気合いを入れ直そうと一度休憩を挟んでいるうちに盗まれてしまったのだ。

つまりさっさと衣装を奪い返さないとヤバイ。

いや、正確には──


(バッグを奪い返すために()()()()()()()ヤバイ、か……)


そう思いながら朗太は持っていたバックを姫子に渡すと言った。


「姫子、一つだけお願いがある」

「何……」

「皆と協力して何としても三年をC組のある西棟3階に入れないでくれ」

「わ、分かったけど……アンタは……?」

「決まってるだろ。あいつらとケジメを着けてくる」


それは姫子にとって衣装を奪い返すという意味だった。


「でも、そんな手……」

「あるって言ったろ」


朗太は間髪入れず答えていた。


「俺もまた、準備をしていた。だから安心して良い」


そうして朗太は人ごみの中駆け出した。


「絶対に3年を西棟3階に入れるな」


そう言い残して。


またこの時、衣装の窃盗に成功した『666』は無事衣装をこのグループのボスである久慈川と弁天原に届けることに成功していた。

そして朗太が動き出したことを知った彼らは逃走を開始していた。


一方で朗太もまた自身の計画のために校内を駆ける。

朗太もまた、彼らのことを探し始めたのだ。




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