プロローグ
この小説は完全に自己満足です。厨二要素入っています。ですが作者の世界観や妄想を受け止めてくれる人がいたら、作者が喜びます。
赤い空、荒廃した大地に2人は、いや、1人と1柱は立っていた。
「悪く思わないでくれよ。これが、これこそが君の運命だ。変わることのない、必然の奇跡だ。」
神は嗤いながら、嘯く。
「何が、運命だ! 何が、奇跡だ! こんなの認めないぞ! お前が、お前さえいなければっ!」
青年が、吠える。
「君がどう言おうと、何を感じ、何を思っていようが、既に詰みだ。王手だ。チェックメイトだ。]
「...クソがっ!」
次の瞬間、溢れんばかりの力の奔流が大地を襲う。殺気で満ちた空間に佇む神と人。この地球という惑星に存在している生き物は彼一人。地球最後の人類と神は、今、死闘を始る…。
そしてこの日、地球は崩壊した…。
▽▼▽
「...ここは...」
雲の中のような辺り一面真っ白な空間に彼はいた。自分が立っているのか、横になっているのかもわからない不思議な空間の中で彼は、目を覚ました。しばらくこの空間を観察していると目の前が不自然に輝き始めた。
「...っ! ...?」
その輝きの中に立っていたのはこの世のものとは思えないほど美しく、可憐な、申し訳なさそうな顔をした女性だった。
「あの、ほんと、すみませんでした!!!」
この世のものとは思えないような美しい女性が、この世のものとは思えないような美しい土下座をした。それはもう立派な土下座だった。
「いや、あの...誰ですか? そしてここはどこですか?」
「はい、そうですよね...いきなりで混乱していますよね...本当にごめんなさい...」
女性はそれから1時間、謝り続けた。
▽▼▽
(なんなんだ、この女は。さっきからかれこれ1時間は土下座しているんだが...)
「とりあえず、現状の説明をお願いしたいんだが。あと、俺は死んだのか?」
男がそう問いかけると、彼女はようやく説明を始めた。
「はい... とりあえず、ここは天界です。あなたは死んでいません」
「死んでいないのに、俺は天界にいるのか。」
「はい、あなたは強大な力を持っています。それは私たち神をも超える力です。そして、その力を得るまでに至った過程が、その、あまりにも...なので現在あなたの力と記憶を封印させてもらっています。」
彼女は――女神らしい――が言うには彼が人間であるにもかかわらず、神を超える力を持ってるから記憶と力を封印してここに呼び出したらしい。
「それは、あまりにも理不尽じゃないか。俺があんたらをいきなり、何の理由もなしに殺すとでもいうのか?」
「それは...状況によります... と、とりあえず!徐々に記憶を戻していきますので、どうかお気を確かに... それと上司が失礼しました...」
女神が何十回目かの謝罪を口にしながら、彼の頭に手をかざして何らかの力を行使する。すると、自分が何者なのか、思い出した。忌々しい神の顔も、人間への失望も。
「クソがっ...こんなもの思い出させるんじゃねーよ。」
記憶が蘇るにつれて、目の前の神と自称する存在が吐き気を催すほど憎く思えてきた。
「すみません...ですが、あなたをここに連れてきて事情を説明するためにはこうするしかなかったのです。本当に申し訳ありません。」
「そんな口だけの謝罪は聞き飽きた。何がしたいのかを簡潔に話せ」
すると、怯えた様子で女神は語りだした。
「私たちはあの創造主の秘書を務めていました。ですが、いまは彼が滅ぼされたので私が二代目創造主です。元創造主は、とても長い間、存在し世界を管理していました。ですがある日、彼は狂い始めました。そしてちょうどその時彼が管理していた世界"地球"の設定を改変し...後はあなたの知る真実と同じです。」
「そうか、やはりあれが真実が... だとしたら、腐っていやがる。」
「そうです。あれが真実なのです... 彼が管理していた世界は軒並み滅びてしまいました。ですがあなたは、あまりの強大さ故に、消滅しませんでした。なので、空間の狭間で彷徨っていたあなたをサルベージし、状況を説明しやすいように力と記憶を一旦封印させてもらいました。」
「なるほど。それで俺に一体何をさせようというんだ?」
男が女神を一睨みすると、空気が一変した。目に見えて女神の顔色が変わっていく。
(なんだこいつ、もしかして俺より弱いのか…。なんだ、ちょっと警戒してしまったじゃないか。とりあえず用件だけ聞いて殺すか。)
男は口に出さずに心の中で非常に理不尽なことを考えていた。
「いや、殺さないでください!!」
しかし、女神は男の心の声を聴く能力があるらしく、的確に男に突っ込んだ。男はこれ幸いにと喋ることをやめ心の中で女神と会話することにした。
(心の声を読むなよ。うっとおしいな。早く要件を話せ、手短にな。)
「はい... それでですね、上司の尻拭いをしようかと思いまして、あなたを私の管理する世界へ転生させようかと思っています。そこは、人間が魔法を使い、レベルを上げてステータスを強化するのが一般的な世界です。その世界には魔物と呼ばれる通常の生物よりも強化された生物が存在します。そのような世界であれば、強大な力も忌避されることもありません。あなたが溶け込めそうな世界だと思います。その世界の常識等は、転生する際に記憶できるようになっています。ですので...その...どうですか?」
(ふーん、なるほど。で、その世界は、魔王とかがいてそれを倒して来いとでもいうのか?それともそんな危険なものは存在しないと、そんな平和な世界では俺がなにも面倒ごとに巻き込まれずに生きていけると?)
「いや、魔王はいるのですが、それにつきましては勇者が対処しますので問題はありません。それほど平和的ではありませんが、どこも無法地帯というわけではありません。ある程度は秩序だっています。なので恐らくは...大丈夫かと思います。」
(それは好条件だな。あとこれ喋らなくていいの楽だな。で、俺に何を望んでいる? どうせろくでもないことだろうとは思うけどな。)
「望むことは、あなたが幸せになることです。ただ、それだけです。」
(胡散臭いな、それ。でも、そうか。何か裏がありそうにも思えないし、転生してやるか、面倒だけど。何かあってもこいつ殺せるし。)
「いやだから、殺さないでください!!」
「まぁでも、それでお前の罪悪感が消えるんならそれでいいよ。だからもう俺にかかわるな。俺に敵意、悪意を持って接したら殺すからな。」
「は、はい! それでですね、転生するにあたっていろいろ条件を詰めていきたいのですが、見た目やステータスはどうしますか?」
「見た目か、容姿はこれでいい。ステータスは、段階的に調整できるようにしてほしい。多分あっちでも俺の力は異様だろう。なんせ神を超えるんだからな。とうか、神を超える俺を、お前が設定できるのか?」
「私の管理する世界の中で、あなたが受け入れてくれれば、全力でギリギリですね。あなたの本気を出されたら私でも干渉できません。なので下手に拒まないでくださいね。あと、あなたは既に人間ではありません。なので寿命はないですし年も取りません。なので容姿に関しては私は干渉できませんね(笑)」
「てめぇ、ふざけんなよ。じゃ最初から聞くなよ。」
「も、申し訳ありません! ス、ステータスは段階的に調整できるようにしますね。10段階ほどに設定すればいいですかね?」
「あぁ、それでいい。」
「では、そろそろ。これ以上あなたをここに留めておくと、私の領域が占領されかねないので... では、あなたのこれからの人生に祝福を。」
女神がそういうと、男の視界は白く染まり、光が落ち着くとそこは、緑豊かでとても心地が良い風の吹く、草原だった。