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聖剣使う美少女(脳筋)が相棒です  作者: 東雲 立風
Chapter 6 -Disturbance of New York 《突風のアルマゲドン》-
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 「敵っぽいのは今のところいないな」

 『そのようじゃな』


 ヒーローズ・アカデミアの校舎より離れ会場へ。

 なにせ選手以上に観客が多い。

 校舎の闘技場で収まるはずも無し。

 会場となるのはアリーナに使われるような広い場所。

 円形を形作り、中央にて戦場が展開されている。


 「だけどここまで人が多いとは……」

 

 広大な観客席を埋める群衆。

 分流することなく鎮座する。

 その人数定かではないが、シンクロで把握する熱源は俺の予想の3、4倍以上。


 (事前に調べた去年の数字と全然違うぞこれ……)


 どういう理由か知らないが今年に限って急倍増。

 晴れた空がエリアを照らす、俺は風で覗う風来坊。

 シンクロで探知、風で空を警戒、レネによる細分解析、警戒レベルは最高峰。


 「————やっぱり私を狙うなら今日よね」

 

 辺りに目を光らせながらも一番の肝はすぐそばに。

 ウォーミングアップしながらも口は一段と軽快。

 警戒しているが当の本人、シャーロットはこの調子、芯が太いんだか鈍いんだか。


 「意外と余裕そうなこと言えるんだな」

 「不安は無いわ。だってユウが護ってくれてるんだもの」

 

 天気と同じく一点の曇り無し。

 少々リラックスし過ぎな態度に見えるが、これも信頼故と考えていいのだろうか。

 もしそうなら、一層期待に応えなくてはなるまい。


 「安心してくれ。誰が来ようと指一本触れさせるつもりはない」

 「ふふ。頼もしいことね」

 

 口ばっか、いやいや力も達者。

 この会場において最も強いのは俺である。

 自惚れではなく、これは事実、パラドックスが介入しない純度100%の現実。

 

 「時間的にはそろそろ開会式か」

 「そうね。じゃあ行きましょう」

 

 アンテナの感度は最高潮、自己的な自己電波塔、そこに搭載されるは神級レーダー。

 陽はまだ上り始めたばかり、開会式を前にして敵来るのは早計か。

 来るなら来い、来ないなら来ないでくれ。

 運命倒れるのは果たしてどちらか、期待と懐疑を抱いた新人戦が今始まる。
















 赤い秘密(レッド・シークレット)、13:00にてオペレーション開始。

 作戦名を赤い雨(レッド・レイン)

 潜入開始まで距離を取った場外で各自待機である。

 

 「首無し(ノー・ヘッド)炎煙スチーミング

 『問題無しだぜえ』

 『何時でも出れます』

 「よし、指示が出るまで動くな。異変が起きたなら直ぐに報告しろ」

 『『了解』』


 秘匿回線による通信終了。

 首無しと赤煙は予定通りに配置出来た。

 

 (流石の変幻も、これだけ会場から距離を取れば気付くはずも無し)


 任務を実行に移すのは午後に入ってから。

 トーナメント的には観客がちょうど盛り上がり出す時間。

 定時刻になり次第、観客に紛れ潜入する。

 緊張抱くこの2つ脚、目の先が小さく目的地を捉える。

 

 「風を感じるか?」

 「ええ。変幻の奴とんでもないですね」

 「高校生にあるまじき実力、怪物だな」

 

 不規則に流れる不自然な風流。

 確実に故意、能力によって造られた世界観である。

 おそらく操る風で敵影サーチ、捕まれば最期、隠密は失敗で真向からの衝突となろう。

 やはりそれは隣にいる部下も感じている、言語を共有以前に経験が納得するのだ。 


 「これで銀神もついてるとは……」

 「なに世界浸食を使われても問題はない。それにそれ以上の大技も観客いる以上出せんはずだ」


 能力統括機関(A・O・O)に新たに登録された対世界能力『銀世界』

 内容としては外発的能力を封じるという強力なものだが、これはサシの勝負ではない。

 自分たちは組織で行動、数という面で圧倒、銃を持ち出せば訪れるのは観客の一方的な殺戮だ。


 (更には銀刀なるものもあるらしいが、こちらについても街中、まさか群衆の中で放てるものではあるまい)


 神の力を宿す者、使うのは銀の秘儀。

 しかしその実応用性は低く、シンプルな内容だ。

 つけ入る隙はあると考えている。

 

 「いやはや、むしろ楽しくなってきましたよ」

 「気を緩めるなよ」

 「もちろん本番には締めます」

 

 気持ちはわからないでもない。

 ここまでの大舞台にそう出会うものではない。

 死と隣り合わせ、むしろ紙一重で奈落行き。

 ただ裏面に化学式は無し、七不思議のように謎でもない。

 勝利の先の栄光は何よりも甘美だと予測できる。


 「さあ勝負だ変幻————」


 出来るものなら赤い血の雨を降らしたくは無い。

 しかし犠牲を払ってでも成し遂げねばならないもの。

 太陽が真上に現れた時、赤を冠むる我々が秘密を生む。

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