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聖剣使う美少女(脳筋)が相棒です  作者: 東雲 立風
Chapter 6 -Disturbance of New York 《突風のアルマゲドン》-
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 「よし、今日の練習はここまでだ」

 「「「「「終わったー」」」」」

 「明日は本番だからな、しっかり休めよ」

 「「「「「はーい」」」」」


 ニューヨークで過ごすことに慣れて来た今日この頃。

 少し前に契約の期日も折り返した。

 それだけ居れば、まあ慣れるのも当然と言える。


 「じゃあシャワー浴びてくるわ」

 「ああ」

 「覗き見は犯罪よ」

 「いやしねーから」

 「そうだよシャーロット、ユウさんには彼女さんが……」

 「……っは! あらあらごめんなさい」

 「茶番は止めてさっさと行ってこい。なんらなら練習追加するか?」

 「「「「「行ってきます!」」」」」

 

 新人戦を前日に控えた今日。

 何時もより内容はだいぶ軽くしたので、まだまだ元気が有り余っている様子。

 しかし脅せば一目散、ここに設備されているシャワールームへと逃げるように向かう。


 「レネ」

 『分かっておる。抜かりはないのじゃ』

 

 流石に俺も一緒にシャワーを浴びることはできない。

 部屋の扉を目視できる距離で待機。

 その代わりシンクロを中規模で展開、敵の襲撃に備える。

 もちろんどんな能力者でも察知できる自信があるが、それでも念には念を。

 レネにも辺りを警戒してもらう、これなら例え幽霊でも覗き見は不可能だ。


 「しっかし俺が来てから半月以上、なんの音沙汰も無いとはな」

 『じゃが敵が存在するのは確か、用心深い、それとも臆しているだけなのか』

 「後者だと有難いんだけど、ただ————」


 このまま何も起こらず、チャールズ氏の案件が無事終了。

 となると俺はイタリアへ普通に帰るわけだ。

 しかし、俺が倒してないということは、このニューヨークにシャーロットを襲った人物、襲おうとしている人物が残ってしまう。

 契約後にもしかしたら襲われるかもしれない。

 護衛はもちろん付けるだろうが、自分より強い能力者ではないだろう。

 よっぽどの理由無い限り、まさかSS級以上が1年も2年も護衛の任務を付きっきりでやるとは考えられない。

 だからこそ今やる、シャーロットには出来るだけ身軽な生活を送って欲しいのだ。


 「結局のところ、敵をぶっ倒して気持ちよく帰りたいよな」

 『まあ契約終えた後、我らだけで潰しに行けば良い』

 「だな。できればそっちの方が手っ取り早いし、被害も最小限で済みそうだ」


 何も起きず、さざ波のように平和であれ。

 任期が終わり次第、俺とレネが敵分子を叩き潰しに行ってやる。

 契約切れれば、幾つも重なる制約を気にせず全力で戦うことができる。

 

 「だけど明日が不安だな」

 『それは試合がということか?』

 「それもあるけど、なんせ一般客を入れるらしいから」


 明日の新人戦には、1年生の父母や関係者、様々な人が観覧に来れる。

 そこに敵が混ざり込む可能性は非常に高い。

 木を隠すなら森の中、人を隠すなら群衆の中。

 警戒を一層高めなければなるまい。


 「何事も無ければいいんだがな————」


 出る目が吉でも凶でも使命は変わらず。

 綺麗かつ刺激ありの史劇的。

 ハリウッド映画が現実に起こらないよう願うばかりだ。


 













 「————全員揃ったな」


 ニューヨーク某所。

 赤い秘密(レッド・シークレット)の本拠地にて、今回のシャーロット・エリクソン襲撃任務の実行員が一堂に会す。

 

 「さて、各人の取るべき行動は既に把握していると思うが、念のため簡単に確認をする」

 「へっへっへ! そりゃこれ失敗したらボスの首飛びますもんねえ」

 「笑い事じゃないわ首無し(ノー・ヘッド)。私たちだってタダでは済まない」

 

 ボスと呼ばれる自分。

 確認の事象に投げつけられる鋭利な言葉。

 鋭い言霊放つのがS級『首無し(ノー・ヘッド)

 そしてそれを咎めたのが、同じくS級の『炎煙スチーミング

 この赤い秘密が持ち得る最強戦力である。


 「……まず明日の新人戦とやらの観客に紛れる。偽造については各自いつも通りに」

 

 表情、髪色、特徴、仕草、雰囲気、あらゆる面はそれぞれの技術でコーティング。

 ここに居るのは皆闇に生きる者たち、今の今まで生き残って来たのには確かな技術と経験がある。 


 「首無しと炎煙は気付かれ次第、変幻と戦闘に入ってくれ」

 「ホントに勝てっかなあ……」

 「難しいでしょうね。でも私たちがするのはあくまで足止め(・・・)よ」

 「分かってる、じゃなきゃそんな役受けないっつーの」


 プラン的には変幻がコチラの動き、存在に気づいたらすぐ足止めに入ってもうつもりだ。

 もちろんずっと気付かなければ、戦闘に入る必要もない。


 (だが変幻とまで呼ばれる天災が、我々に気付かないなど絶対に無い)

 

 バレるのは確定している。

 気付かれないなど夢物語、ガッカリする隊員も存在はせず、皆重々承知。

 ただ学生や観客いる以上、そんなに派手な動きはできないはず。

 フィールド状況的にはこちらに分がある。


 「残る10名は私と共にシャーロット・エリクソンの奪取を行う」

 「「「「「了解」」」」」


 明日行われるヒーローズ・アカデミア1年生による新人戦。

 再び訪れた絶好の機、多くの人間がいる中なら紛れ込むも、任務行うも最適。

 しかし転機に現れた高い壁。

 

 「我々は明日、これまで経験したことのない化物と対峙することになる」


 化物、それは変幻と呼ばれる能力者のこと。

 脳筋エイラ・X・フォードの相棒という肩書き。

 持ち得る能力は3つ、確認出来ていないだけで、実際は4つか5つやもしれぬ。

 どちらにせよ、史上最年少でSS級になり、あの黄金の世代に名を連ねる強敵である。


 「恐れるな。真の目的はあくまで対象の奪還。伴う敵も人間であり、神ではない」


 目的はただ1つ、シャーロット・エリクソンの身柄を奪うだけ。

 問題となる変幻も科学的分類では人間、なに神と戦うわけではないのだ。

 

 「赤き王の祝福あれ。秘密の鍵を見つけ給え」


 最後に成功を抱くための決まり文句。

 我々は逃げも隠れもする、そして任務達成のためならどんな非道なこともする。

 

 「オペレーション赤い雨(レッド・レイン)、開始だ————」

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