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聖剣使う美少女(脳筋)が相棒です  作者: 東雲 立風
Chapter 5 -New Legend 《最強の脳筋》-
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 「この魔王連合撃退の功績は————」


 壇上にてお偉いさんの話が淡々と続く。

 結論から言えば、俺たちは邪神、魔王たちを見事撃破した。

 すると同時刻に、世界中に侵略していた魔王は砂塵となって散っていったらしい。

 おそらく何らかの関係性があるのだろうが、真相究明には辿り着いていない。

 とりあえず万々歳、日本に無事帰国、というのも束の間ですぐにこの式典になった。


 「歴史においてもこの出来事————」


 (なげえ……)


 国際連盟の偉い人、ちょっと禿げた人の口は止まらない。

 勘弁して欲しい、両隣に並び立つS級たちも呆けた表情。

 そりゃそう、皆ダークスーツの下はズタボロの包帯だらけ、疲労の色も濃い。

 だというのに、形式がどうたら、褒めたたえるやら、余計なお世話。

 有難迷惑って言うんだそういうの。


 (エイラなんて立ちながら寝てるし)


 「以上のことから、彼らのランクを1つ上のものへと昇格する」


 一斉に注がれるマスコミのフラッシュ連鎖。

 強制ドライアイ、眩しすぎる。

 溜息つくわけにもいかず、仏頂面ながらも前を向く。

 だがこの大騒ぎも納得する。


 (そりゃ、この年齢でSS級が一気に9人誕生だもんな)


 歴史的快挙、歴史上初、俺たちはS級という階段を駆けのぼり、SS級へと認定された。

 さらに言えば、俺の相棒エイラ・X・フォードは伝説級とされるSSS級に登ってしまった。

 自分がSS級になったと聞いた時は驚いた、だがエイラのSSS級の話には思わず絶句。

 エイラ自身は軽く喜んでいるくらいだったが————


 (つまりは最強生物、能力者の頂へと到達したわけだ)


 俺のシンクロもエイラと出会ってから、大きく成長した。

 エイラやレネといった規格外と同調したことで、容量や範囲が大増おおましに、ただ完全に記憶できるのはやはり辞書ぐらいまでで変化なし。

 相変わらずエイラやレネの技術や経験まで、この手が伸びることはなかった。


 (ただシンクロの事を抜きにしても、レネとテンペストの存在がおおやけになったのがデカい)


 今まで神を使役できるのは巫女姫くらいのものだった。

 だが俺という新星現る。

 しかも降ろすのは、戦の大神エレネーガ。

 これほどの高位の神を引き連れて、まさかS級のままのわけもない。

 またテンペストも同じく世間にバレ、もはや隠すことはなくなった。

 情報は改変、俺は能力3つ持ち(トリプル・ホルダー)として正式に登録された。


 「この激戦を征した彼らに、改めて賞賛を、喝采をお願いいたします」


 注がれる拍手喝采。

 どうやら軽く回想に浸っている内に式は終わったようだ。

 

 「エイラ、終わったぞ」

 「……うう」

 

 エイラは未だ夢の中、しかしそろそろ帰還させなければ。

 最後の最後で隊長がこれじゃあ示しがつかない。

 と思いきやも、周りの連中も似たような様子。

 

 「……敵、敵か! 最強の脳筋アルティメット・パワーズ、突撃するぞ!」

 「ば、ばか! 寝ぼけてんな!」

 「あ、あれ? しかし今頭がツルツルした魔物が出てきて……」

 「それ夢の話だろうが」

 「だが目の前にも似たような。いや、あれはハゲているだけか、すまないすまない」

 「…………」


 なんでそう上手いこと地雷踏んでいくかなあ。

 そりゃ目の前壇上にいるお偉いさんは禿ているとも。 

 しかしだな、それこの場面で一番いっちゃまずいやつだぞ。

 

 「そうだ、髪の毛を能力で強化してやるのはどうだい?」


 すると今度はべリンダが要らんことを言い出す。

 お前さっきまで寝てただろう、なんでこのタイミングで出てくるんだよ。

 

 「私の強化は人相手には使えん。出来るのはユウぐらいなのだ」

 「そうかい、そりゃ残念」

 「なら、ベルンクールの能力で髪の成長工程を進めてやるのはどうだ?」

 「……面白そう」

 「嫌ですよ。何で私がそんなことを」

 「ドッイツに帰れる! ドッイツに帰れる! ドッイツに帰れる!」

 「み、皆さん! 言葉を謹んでください!」


 (だめだこりゃ……)


 大会の開会式よりある意味酷いモノ。

 終盤までは皆立ち寝するかボーっとしていて、挙句最後はハゲの話で盛り上がり、周りの視線お構いなしに自分勝手なことをしだす。

 星之宮は場を治めようとしているが、意味はないだろう。


 「……はあ、エイラ」

 「ん?」

 「退場の号令してくれ。さっさと帰ろう」

 「わかった」


 もう周りの冷たい視線がヒシヒシ伝わってくる。

 冷たいというかもはや困惑。

 禿よばわりされた偉い人も、指示が通らなく、利己主義な俺たちにお手上げ状態。

 これ以上ダラダラしていても仕方なし、エイラに退却の命令を依頼する。


 「みんな! 帰るぞ!」

 「「「「「「「「了解」」」」」」」」

 「そ、そんな大雑把な挨拶でって……皆さん置いて行かないでください!」

 「巫女の姫だけは居残りしたようだな」

 「はっはっは! 真面目だなあ!」 

 「……もうキツイ」

 

 (この終わりかたも、案外俺たちらしいのかなー)


 厳粛にもなんでもない。

 10人で駄弁り、いがみ合い、そして笑いながら。

 まるでなんでもないことのようにこの場を後にした。














 それから数日後。

 場所はとある空港へと移り変わる。

 目的はもちろん帰国である。

 それぞれの自国へ、英雄として、そして自由気ままな脳筋として帰っていく。


 「じゃあ先輩も元気で」

 「……ユウも」

 

 最強の脳筋アルティメット・パワーズは今日をもって解散だ。

 旅立つ前に、軽く挨拶をする。

 

 「ユウ、約束通りフランスに来てくださいね」

 「分かってるって。時間に余裕ができたら行くよ」

 「ならいいです」

 

 シルヴィとも少し会話を重ねる。

 思い返せば寿司事件から始まった、難事件だったと俺は記憶しているよ。

 そんな突拍子もないことから、随分と親しくなったもの。

 いやはや、相性がいいのか、それともメイドさんとしての柔軟性故か。

 どちらにせよ良い関係を築けたのは間違いない。


 『お客様にお知らせします。4番口より————』


 時刻を確認、そろそろ搭乗する時間だ。

 全員挨拶を終え、全員顔を見合わせる。

 最後に別れの言葉をまた交わそうか、いやいや、俺たちにこれ以上言葉は必要ない。

 皆軽く笑みを浮かべ踵を返す。

 それぞれ、己が道へと、再び進路を転換。

 背中は語る、いつか会おうと。

 これは感覚、少なくとも俺はそう思っているし、そして皆もそう思っている気がする。

 

 「帰るぞユウ! イタリアへと!」

 「応とも!」


 祖国は日本、しかしてイタリア。

 短いはずの大会が、魔王連合のせいで大分時間を費やした。

 8月はほぼ終わり。

 日本と違い、欧米諸国の学校は9月スタート。

 つまり向こうに行けば俺も高校2年生へと進級、また新たな生活が始まるわけだ。

 まだ暑い夏の中、激闘波乱の夏休みを経て、この身を地平の果て、空へと乗せた。




 











 イタリアに帰国して、待ち受けていたのは暑い気温。

 そりゃまだ夏だしな。

 しかし学校は今日から1週間後に新学期を迎えることになり、曲がりなりにも上級生としての生活がはじまるわけだ。

 そして現在、かなり少なくなった夏休みをダラダラと過ごしていた俺にエイガー先生より連絡入る。

 内容は、緊急で重要な話があるというも。

 メールながら危機的であることを十分伝えてくる。

 

 (休みに呼び出しって、一体どんな要件なんだか)

 

 懐かしいとも感じるセント・テレーネ学園の門を潜り職員室へ。

 やはり休みだけあって生徒の姿はほとんどなし、それが若干の緊張感を持たせる。

 そして辿り着く、ドアを開け、エイガー先生と久方ぶりに対面する。


 「久しぶりだな」

 「1ヵ月ぶりぐらいですかね」

 「そうなる。とりあえず、まずは場所を変えよう」


 どうやらおいそれと話せる内容ではないようだ。

 進路相談室という名の個室へと移動する。

 腰かけるパイプイスが新鮮、なんだか本当に進路の相談をするような空気である。

 

 (まあどうせエイラが不祥事起こしたとか、やって欲しい依頼があるとかなんだろうけど)

 

 「さて、今日お前を呼んだのは他でもない。進路の話(・・・・)だ」

 「はい?」

 「もう一度言おう。今から話すのは、進路・・についてだ」

 「……まじですか?」

 「大マジだよ」


 どうやらエイラのことでも、依頼系のことでもないらしい。

 まさかの進路の話という。

 どんな内容かまったく見当がつかない。

 エイガー先生も俺の様子を察してか、溜めることなく口を開く。


 「単刀直入に言おう」

 「はい」

 「留年だ」

 「……はい?」

 「お前は、留年だ」

 「………」

 

 告げられたのは留年の二文字。

 いやいや、待て待て。

 留年の意味は分かってるとも、しかし信じられない、留年? これドッキリかなんかか?


 「冗談ですよね?」

 「本当だ」

 

 エイガー先生の表情は真剣そのもの。

 嘘をついているようには見えない。

 まさか、事実だというのか、思考が追いつかない。

 

 「理由は圧倒的な単位不足だ」

 「単位不足……」

 「まず編入時点で既に授業の半分は終了していた。だがこれは日本との制度の違い故、まだ酌量の余地はあった」


 先生の言う通り日本と欧米の学校のスタートは半年近く違う。

 だから俺がこの学園に来た時点で、授業が半年分終わっているのは仕方ないこと。

 考慮されるべきことに違いない。

 だったら————


 「しかしだ。転入数日後、お前は何処に行った?」

 「何処にって、そりゃ学校……、あ」

 「そうだ。授業を受けずに、ロシアに2か月近くもいたな」

 「は、はい……」

 「それで貴重な単位をすべて落とし。なおかつだ、まさかの夏期講習・・・・まで休んだよな?」

 「お、仰る通りです……」


 分かってきた、分かってきたぞ。

 確かに先生の言う通り、俺はこのセント・テレーネ学園に来てから————


 (まともに授業受けたことがほとんどねえ!)


 編入して早々エイラと吸血王退治に。

 終わったと思いきや大会予選。

 夏期講習は必要ないとサボり、本大会そして魔王連合との戦いへ。

 この一連の流れに『勉学』というものはまったくもって含まれていない。

 

 「お前らの凄さは分かっている。どうにかしてやりたい。ただな、ここは学校だ」

 

 先生はなんとも言えない表情、コッソリと教えてくれるが、俺のために頑張って交渉したようだが規則は規則だということで撃沈。

 しかしそういう話ならば————


 「じゃあエイラは、エイラも留年なんですか!?」


 この流れならアイツも留年のはず。

 エイラが2年に残るというなら、なんとか納得、1年多く頑張ろうという気にもなる。


 「残念だがフォードは進級だ」

 「ええ! なんでです!?」

 「アイツはお前と出会う半年分は授業に出ていた。政府の任務をこなしたこともあって、本当にギリギリ(・・・・)でセーフだ」

 「そんなあ……」

 

 そんな理不尽な、いや筋は通っているとも。

 だが如何ともしがたい。

 あの脳筋エイラが3年に上がれて、俺は1年のままだというのか。

 

 (もうだめだ、いっそ学校やめて働くか?)


 高校中退も検討。

 たかが1年というかもしれないが、モチベーションの問題。

 トニー達が先輩なんて考えられない。


 「まだ早まるな、話はこれで終わりじゃない」

 

 テンションがた落ちの中、エイガー先生の話は続くよう。

 どうせ大したことではあるまい。

 いいとも、もうどんな重いことでも受け止めよう。

 留年以上にショッキングなことなどそうあるまい。

 

 「これは政府からの依頼になるんだが、1つだけ、留年を回避できる方法がある」 

 「え……」

 「方法というか、提案という形になるん————」

 「やります! どんなことでもやりますとも!」

 「そ、そうか」

 

 まさにカンダタに与えられし糸と同義。

 曰く英雄がこのまま留年では不憫とのこと。

 イタリア政府と日本政府がチャンスをくれたそうだ。

 もはやトイレ掃除でも、世界横断でも、魔王に独りで挑めでも、なんだってやってやろう。

 テンションが今度は逆流、一気に頂点に上り詰める中、エイガー先生から詳しいことを説明してもらう。


 「その方法ってのはな、留学だ」

 「留学、ですか」

 「場所はアメリカ。ヒーローズ・アカデミアのニューヨーク校、期間は2ヵ月といったところか」

 「……まーた随分な名門校ですね」


 アメリカにはイタリアと違い幾つも能力者育成機関が存在する。

 その中でもヒーローズ・アカデミアは飛びぬけて難関、しかもニューヨーク校ともなればエリートばかりだろう。

 確かにそこに留学すれば、半年分の遅れをカバーできるかもしれないし、取得した単位もここより高く評価してくれるのだろう。

 しかしだ、エイガー先生は2ヵ月と言った。

 そんな短い期間で、果たして進級を認可してくれるのだろうか。


 (そんな美味いだけの話は無い。強制ではなく任意の時点でナニカしら裏事情があるんだろうな)

 

 「その留学、本当の目的はなんですか?」

 「……流石に察しがいい」

 「こんないい話がタダの方が可笑しいですよ」

 「それもそうか」


 ズバリ当てたといわんばかり、エイガー先生は真剣な表情を崩し笑みを浮かべる。

 要は今日の進路相談、ここからが本題・・なのだろう。


 「突然だが、チャールズ・エリクソンという人物を知っているか?」

 「まあ名前だけは、いつも長者番付の首位に来る偉い人ですよね」

 「その通り、まだ若いながらエリクソン・グループの会長を務める実業家の方だ」

 

 エリクソン・グループ、それは大企業で、本拠地のアメリカのみならず世界を相手に戦う企業だ。

 その会長がチャールズ・エリクソン、年齢は50か、その手前ぐらいだった気がする。

 世間からは野心家とまで言われる。

 そんな俺とまったくもって接点ない人が、この留学にどう関係するのか。


 「このチャールズ氏、秋にかなり大事・・な案件を抱えているらしい」

 「大事な案件、随分と意味深な言い方ですね」

 「俺も詳しくは聞かされていないんでな。兎に角ビックイベントが控えていると思ってくれ」

 

 時期的には9月終わりから10月初頭のどこかということ。

 正確な日時も先生には伝わっていないそう。

 しかし大分読めては来た。

 つまりはビッグイベントに際して盾となる者が必要だという話なんだろう。

 それならいっそ留学ではなく、防壁だけとしての任務にしてほしいもの。

 学校に行っている間に襲われれば、意味ないことこの上なし。


 「そんなビックイベントがある中でだ、彼にはシャーロット・エリクソンというご息女がおられる」

 「娘さん、ですか」

 「年齢は16で、9月からヒーローズ・アカデミアのニューヨーク校に通われる」

 「まさか……」

 「そのまさかだ。留学の真の目的は、案件終わるまで彼女の護衛(・・・・・)をすることだ」

 

 告げられる真の理由。

 なるほど、自分ともかく、娘を攫われたらどうしようもない。

 しかも高校1年生になりたて、そりゃ学校でも護衛するとなりゃ、歳が近く、なおかつ強い者が適任だろう。

 そこで単位不足ということでも、実力という意味でも、そういう面で俺に白羽の矢が立ったわけか。


 「でもそんな大企業の娘さん、既に適した護衛がいるんじゃ?」

 「もちろん年齢近しい護衛はいた。だが数か月前のこと、護衛達はほぼ全滅した」

 「全滅……」

 「襲われたらしい、危機一髪で娘さんは助かったそうだがな」

 「ちなみに護衛のランクは?」

 「AA級及びAAA級だ」

 「まあ15、6歳にしては強い方ですね」


 なんとかシャーロット嬢は助かったようだが、護衛はほぼ壊滅。

 しかも相手はかなりの手練れ、FBIも動いているらしいが手がかりは掴めないとのこと。

 ただしその実行犯は魔族でもなんでもない、ただの人間らしい。

 となるとAAA級、もしくはS級近くの能力者が相手。

 AAA級で守り切れない、そりゃS級に頼るしかないわな。

 

 (そういやクラークも、どこだか偉い人の子供を狙った事件が起きたって言ってたな)

 

 「そういうわけで、チャールズ氏は強い護衛を探していたわけだ」

 「しかも俺なんて高校生ですし、年齢面でも適任と」

 「ああ。それに能力の応用性も高い、なおかつ銀神も連れている。俺が言うのもなんだがこれ以上の物件はそうそういるまい」

 「物件って……」


 自分で言うのもなんだが、これでもSS級に昇格した。

 シンクロも磨きかかり、レネもいる、それにこの左半身にビッシリ刻まれた刻印ルーンの力もある。

 ここ最近までは魔王や神の相手ばかり。

 辛うじて戦った人間と言えば、黄金世代と呼ばれる化物ぐらいのもん。

 そこらの能力者に後れをとる気は毛頭ない。


 「改めて聞くが、返答は?」

 「もちろんやります!」

 「分かった。出発日時等の詳しい説明は政府の役人がするそうだ」

 「了解です。後日ってことですね」


 留年回避できるなら、なんでもするつもり。

 ただ護衛の任務は自分の命だけでなく、主人の命もかかっている。

 いつもの様な突発的で自分中心の戦法は封印しなければ。

 あと、こんなこと言える立場ではないんだが、護衛対象が女ではなく、男であって欲しかった。


 (流石にトイレとか、風呂とか、そういう場面がキツイ。コミュニケーションも男の方が取りやすいんだけど)


 注文つけられるような者ではない。

 なんせサボりすぎで単位落とし、SS級なのに留年するような男なのだ。

 そして今日はここまで。

 さあ席を立ち退出しようとするが、そこでついでと言わんばかりにエイガー先生が口添えを。


 「そうそう言い忘れてたが、護衛対象のシャーロット嬢」

 「彼女がなにか?」

 「相当なじゃじゃ馬娘のようだぞ」

 「エイラよりマシであれと願っときます……」

 

 曰くシャーロット・エリクソンは、お嬢様という身分でありながら、大分暴れん坊のよう。

 でも俺は普段からエイラを相手にしている。

 この強制的に広がった器の大きさで、寛大に受け止めるとしよう。


 「さあて、じゃあ留学、楽しんできな」

 「嫌味ですよそれ」


 日本から帰ってきて僅かなイタリアでの休暇。

 新学期始めると思いきや、まさかの留年宣告。

 だが諦めるのは早い、与えられるビックチャンス、これをものにし俺は2年へと上がって見せる。

 暑い夏はまだ続くが、待つのは秋の季節。

 次の舞台はアメリカへと移り変わる。

 

 

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