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聖剣使う美少女(脳筋)が相棒です  作者: 東雲 立風
Chapter 1 -ITALIANs Break Heat《イタリアからの新風》-
8/188

5

 「ではこれから実技授業を始めるぞ」


 俺たちがいるのは校内練習場B。

 Bついてるし大したことないなんて思ってたけど、すんませんイタリアなめてました。


 広さはどれくらいだろう?

 とりあえずメチャクチャ広い。

 上は観客席になっていて見学も可能らしい。

 

 建物自体はコンクリートで造られている。

 ただシンクロして分かったが、このコンクリート、特殊な鉱物が混ざっているらしく、能力、それから物理的衝撃も吸収するらしい。

 ようは頑丈ってことだ。


 「今日のこの時間は、ヨンミチとの模擬戦にしようと思う」

 「っえ!?」


 「「「「「おおおおお」」」」」


 おいおい突然だな。

 エイガー先生ご乱心召されたか?

 流石に無茶だろう。

 

 「正直やりたくないんですけど」

 「そう言うな。 みんなお前の実力を見たいんだ」

 「そうかもしれないですけど……」

 「いいではないですか。 やってくださっても」


 話に入ってきたのは、 えーっと……


 「ルチア・バレンデッリです」

 「ごめんバレンデッリさんだったね」

 「ルチアで結構です」

 

 割ってきたのはルチアさん。

 自己紹介の時も結構ツッコんでくる様子だったけど、もしかして脳筋か?

 でもわかんないこともないなあ。

 

 (身近にSランクいたら戦いたくなるよなやっぱ……)


 「俺そんな派手な能力じゃないよ」

 「重要なのは中身、です」

 「……はあ、エイガー先生、模擬戦やりますよ」

 「よしよし! 良い心がけだ」


 良い心がけって、アンタ本当は俺の能力見たいだけだろ……

 だけど皆1回見たらこの模擬戦やりたいです空気も終わるだろう。

 ようは能力お披露目会ってことだ。

 ならとっとと済ませるのが先決。

 俺は嫌いな食べ物はすぐ食べる派なのだ。


 「それで、俺は誰と模擬戦やればいいんですか?」

 「私に戦わせてください! いえ私です!」


 名乗りを上げたのはルチア。

 どうやら脳筋説に真実味が増してきたな。

 彼女の今の状態を表すなら、お預けをくらってる空腹の犬ってかんじ。


 「私はAAランクですし、この中で私が一番適任だと思います!」


 AAランクか。

 妙に自信ありげに感じたけど、なるほどランクは高い方だ。

 おそらくこのクラスでもトップ、もしくはその次くらいの実力はあるんだろう。


 「まあ落ち着けバレンデッリ。今回の模擬戦にはある『条件』をつける」

 「条件ですか?」

 「そうだ。ハンデといってもいい」


 ハンデと来たか。

 ある意味賢明な判断といえるだろう。

 俺も早く終わりたいし、能力をある程度使うつもりだった。

 能力に制限を付ける類は皆嫌だろうし、となると1対2とか人数の類か?


 「この模擬戦は小隊選とする」

 「……小隊選?」

 「ようは1対5。ヨンミチに対しお前たちは5人で挑んでもらう」

 「っな!」


 エイガー先生の条件は当たらずも遠からず。

 ただ斜め上過ぎて予想できなかったな。


 「私たち5人がかりで戦えと?」

 「そうだ。でなければ数秒ともたないはずだ」

 「……そうなんですか?」


 ここで俺に振るか普通?

 こっちもクエスチョンで返してやりたい。

 挑発みたいなことは今後のためにも言いたくなかったんだけど。


 「5人でも、特に問題ないかな」

 「……っ!」


  

 「おいおい本気かよ」

 「流石に舐めすぎだよな」

 「でもSランクだし……」

 「そういや噂で、小隊選に1人で出ようとしてるって聞いたような」


 

 いろいろ言われてるが最後、最後はデタラメだぞ。

 言ったやつ絶対トニーだろ。


 「……わかりました。では私の小隊で戦わせてください」

 「構わん。ラッキーなことにお前のメンバーは全員このクラスだしな」

 「感謝しますわ」


 どうやら相手が決まったようだ。

 ただ即興チームじゃないなら、連携してくることも視野に入れないとな。

 

 俺の目の前にはルチアに続いて4人の生徒が出てくる。

 この4人がルチアのチームメイトなんだろう。



 「ベック・クルー、Aランクだ」

 「アリエルだよ。ランクはA、よろしく!」

 「よっす。ザック・エルフィンだぜ。ランクはBな」

 「……サリー・シルファ、……Bです、……よろしくお願いします」


 「私がリーダー、ルチア・バレンデッリ。ランクはAA」

  

 俺の前に並んだのは5人の男女。

 Aランク以上が3人とはなかなかの顔ぶれだ。

 少なくとも高1の時点ではあまりお目にかかれない。


 てか、ランクと名前って名乗るのか?

 そういう流れ? そういう流れですか?

 正々堂々と、ね。

 俺の考えとは違うけど、ここは名乗っとく。


 「ユウ・ヨンミチ。ランクはS、お手柔らかに」


 「模擬戦を開始するぞ。他の生徒は観客席に移動しろ」

 

 エイガー先生に言われ、残りの少ない生徒たちが移動していく。

 今思えばイタリアに来てから戦ってばかりだ。

 初めて来たときは魔王的な奴に絡まれるし、数日前には脳筋に殺されそうになるし、今日も今日とて理不尽な模擬戦。

 これまでそんな悪運強くなかったんだけど、教会に行った意味は無さそうだ。


 「お互い定位置まで移動しろ」


 小隊選は場所によるが、基本は200メートルお互い離れた位置からスタートする。

 ルールは簡単に言うと、どちらかのリーダーがリタイアしたとき、もしくは全員が戦闘不能になったときの2パターンしかない。


 (手っ取り早く終わらせるにはリーダーのルチアを倒すことだけど……)


 そう易々とは突破できるかどうか。

 彼女の性格上どんどん突っ込んできてくれると有難いんだけど。


 少し歩き定位置に立つ。

 今回は学園の練習所なので障害物はない。

 ただ真っすぐ、隠れる場所もなにもない。

 真正面の総力戦になるのは必須。

 

 「ルールは大会同様、リーダーもしくは全員の戦闘不能で決着とする」

 

 向こうさんは気合十分ってとこか。

 それとめんどくさいのは相手の能力が分からないこと。

 こんなことなら模擬戦まで能力のネタバレやめとくべきだった。


 「10カウントで始めるぞ」

 

 エイガー先生からカウントダウンが始まる。

 やっぱ相手が誰でも緊張してきたな。

 どんな形であれ久しぶりの小隊選。


 「5、4、3……」


 加速していく時間。

 減退していく感覚。

 1秒1秒が長く感じる。


 構える。

 見据える彼方。

 200先に『敵』がいる。

 

 「2、 1……」


 滾る。 

 滾る。

 さあ、いこう。


 

 「————始め!」

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