表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
聖剣使う美少女(脳筋)が相棒です  作者: 東雲 立風
Chapter 10 -The Last Battle 《脳筋は拳で語る》-
176/188

141

 春を目前に控えた時。

 日本では桜の蕾がいよいよと。

 ただ咲くまではには至らず。

 リバース常識、散らばる相識(そうしき)、いかなる苦労も気にもせず。

 頂くは勝利と平和これだけだ。

 

 「全員集合したな!」

 

 海の果てまで届くようなエイラの声量。

 精巧でないスタイル、ただ成功を起こすため、俺たち最強の脳筋アルティメット・パワーズは東京湾に。

 裁定者へといよいよ挑む時、人類の存亡を懸けて倒しに行く。


 「にしてもマスコミは凄いな」

 「……しつこい」

 「確かにガッツがあるな」

 「執着心とも呼べるけどね」


 この出で立ちをテレビで中継しようと、各国から沢山の報道陣が。

 戦いの行方は出来る限り放送されるそう。

 つまりは俺たちの戦いぶりがリアルタイムで映る。

 勿論太平洋上での戦闘は衛星が、この出発だけ人が撮ることに。

 

 (こんな状況でよくやるよ)


 既にS級以上の能力者は各国要所で待機中。

 一般人の避難も完了しており、今からは伝説を書き記す。

 つまりは俺たちが裁定者をぶっ倒すだけ。

 地球が爆発させられるまでの時間はそうない。

 タイムリミットは刻々と、今がギリギリの状態だ。


 『すいませーん! 集合写真頂けませんかー!?』


 また要らん注文を。

 確かに作戦の確認なり準備は終わって、後は作戦決行の時間を待つのみ。

 脳筋たちはこの場にいるものの、ファンサービス一切無しだ。


 「受けてやれ」

 「ええー」

 「それも英雄の務めというものだ」

 

 監督役の雷槍に促される。

 仕方なし、俺たちもふてくされた子供じゃない。

 最後の最後に仕事を。

 俺たちは一点に、文字通り集合をする。


 「私が真ん中だ!」

 「はいはいお前でいいよ」

 「ユウは私の隣に来い!」

 「なら僕が……」

 「いいえ、私がユウの隣に行きます」

 「何処でもいいだろうに」

 「っはっはっは! じゃあアタシがエイラの左頂くね!」

 「……ここ」

 「俺は次に目立つ端へと行こう!」

 「さっさと撮るなら撮ろう」

 「み、皆さん好き勝手すぎません……?」


 案の定、めんどくさいことに。

 なんだかんだと言い争う、その上でポジションは決定。

 10人と偶数なわけで、中央を飾るのはエイラ、そして俺に。

 右と左には頼もしい仲間が並び立つ。

 

 「何かポーズを決めた方がいいのか?」

 「自然体でいいんじゃないか」

 

 まさかピースを出せる場面でもない。

 つまらないかもしれないが真面目に。

 ただ笑っている奴もいれば、泣いている男の娘も、仏頂面も、無表情だっている。

 ポージングもポケットに手を突っ込んだり、腕組したりと自由気ままだ。

 

 「そ、それじゃあ撮りまーす!」


 ゾロゾロと移動してきた報道の人たち。

 瞬く間にフラッシュが放たれる。

 まさかこの時の写真が後世に残されたり。

 いや、流石にもう少しマシなやつを使うはず。

 きっと帰ってきてまたタイミングがある。


 (そもそも服装から個性がな……)


 学生服にメイド服、軍服に巫女装束にタンクトップまで。

 こんなんが教科書に載るのは御免被る。


 「————そろそろか」


 もう十分撮れただろう。

 時間は決行の寸前に。

 敵地に辿り着くまでには1日かかる。

 ただ意識は既にスイッチオン。

 これまでの人生において一番の佳境が訪れようとしている。


 「エイラ」

 「分かっている。遂に作戦を開始する時だ」

 

 流石にマスコミたちも数歩下がっていく。

 反転、俺たちは水平線を見つめる。

 向こうに星を脅かす敵がいる。

 倒さなければ全てが終わるのだ。


 「ベリンダ!」

 「あいよ! 歴史再現(ページ・ワン)!」


 号令かかると現れる数百隻の戦艦。

 異次元より到来、巨大な帆は張るが原動力は風ではない。

 能力が動かす、全てが強化された歴史の再現だ。


 (いよいよだな……)


 数多の軍艦、俺たちはバラバラに乗る。

 つまりは1人1隻、他の数百隻を囮とし攻撃を仕掛ける。

 ただ仕掛けるといっても、その過程には幾つも奇策があるわけだが。

 脳筋と理論が複合、ハイブリットプランが始動する。


 「————時は来た!」

 

 周知、交わし合う視線は了解を含んだもの。

 己が持つ力を全て。

 見据える先は未来だけ。

 それを阻む存在、今度こそ捻じ伏せる。


 「作戦名! 脳筋は拳で語る!」

 

 相変わらずのネーミングセンス。

 流石は俺の相棒だ。

 突き進もう、言葉は二の次、繰り出す拳が己が魂。


 「最強の脳筋アルティメット・パワーズ、最後の戦いだ————!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ