表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
聖剣使う美少女(脳筋)が相棒です  作者: 東雲 立風
Chapter 10 -The Last Battle 《脳筋は拳で語る》-
172/188

138

 「————という予定だ」


 円卓に集うは最強の脳筋アルティメット・パワーズ

 場所はいつものホテル、ただ空気は何時もよりかピリピリと。

 そりゃ正真正銘最後の本会議。

 今回ばかりは遅刻者も無く、また大っぴらなオフザケも無い。

 雷槍から伝わる世界の行動を頭に入れておく。


 「次はあの9本の柱についてだが……」

 「何か分かったのですか?」

 

 話題は裁定者、に似た存在が創り出した『柱』のことへと。

 太平洋にぶっ刺さったあれのことだ。

 ちなみに師匠やレネが知らないということは報告済み。

 ここからは国連の見解になる。


 「まずあの柱の材質だが、それは不明のままだ。ただ長さは大体分かった」

 「どれくらいなんです?」

 「100メートルくらいじゃね」

 「いやいや、案外10メートルぐらいだったり」

 「それだと浮いてるだけだ、可視化出来るだけで既に10以上はある」


 各々の予想は様々、柱について触れたのは久しぶり。

 なにせ何にも分からなかったわけだし。

 俺の予想としては500メートルくらい、スカイツリーより低いくらいだと思う。

 大体が良い終わり、いよいよ、正解は————

 

 「約6400キロメートルだ」

 「「「「「は?」」」」」」

 

 100とか500とか、そういう次元の話じゃない。

 しかもメートルにキロが付いてる始末。

 

 「解析の結果、柱は地球の中心(・・・・・)に到達している」

 「ち、地球の中心……」

 

 驚き、というには途方もなさすぎて理解が及ばない。

 ただ9本の柱がこの星の核に刺さっているそうだ。


 「そして柱からは巨大な熱を察知した。温度にして100万度になる」

 「「「「「100万度?」」」」」

 「太陽の表面が6000度だ」

 「「「「「……」」」」」


 その例えが嫌すぎる。

 しかしそんな熱い物を柱は内包、相当頑丈な材質で出来ているのだろう。

 おそらく地球には存在しない物質で。


 「これは我々の中での結論、奴らは地球の爆破が目的だと思う」

 「星ごと、か」

 「何とか柱を折れればいいのだがな……」

 「でもそれだけの熱に耐える材質、物理的には不可能に近いね」

 

 地球の中心は5700度ほど、そこに100万度の熱を一気に入れられたら耐えるのは無理な話。

 どんな現象が起きるかは分からないが、死ぬということは確か。

 そして終焉を引き起こす柱を壊すことは厳しい。

 なら、その発動者たる裁定者たちを倒すしか打開の術はあるまい。

  

 「以前、敵は熱レーザーを使うという仮説が出たが……」

 「私が言ったソーラービームだな!」

 「あながち間違いではないかもしれん。むしろその筋が有力だろう」

 「とりあえず太陽クラスの熱放射と……」


 艦隊がやられたときの映像をより解析。

 すると艦が爆発する寸前、フレアや海面の急激な蒸発が観られたよう。

 しかし太陽以上の熱さを持つレーザーか。

 

 (まあそれでも、秘密の箱(パンドラ・ボックス)の完成はあと少し。間に合ったなら————)


 「触れた瞬間というか、近くを通り過ぎただけでも溶かされる計算だ」

 「おいおい、それじゃあの作戦(・・・・)が成り立たなくね?」

 「しかも射程レンジが分からない。もし遠距離で狙い撃ちでもされたら……」

 「一瞬でドカーン。塵になるな」

 「……塵になるかも怪しい」

 「とりあえず死ぬということだな!」

 

 とんでもない大砲だとは思っていた、しかし予想の上の上の上。

 従来の能力や兵器はもちろん通用しない。

 それを踏まえ対策をしていたわけだが、このままの作戦では不可能だと察す。

 ヨーゼフも言ったが射程距離も不明、また使い手も不明。

 1体しか使えないかもしれないし、全体が使える可能性もある。


 「どうするフォード」

 「私か?」

 「作戦を第一に提案したのはお前だ。今から練り直すか?」

 「うーむ、つまりレーザーが厄介だと」

 「ああ。これはどんな能力でも防ぐのは不可能だ」

 「どんな能力でも、か……」


 雷槍がそう言うのも分かる。

 数少ないSSS級は最終防衛ラインを形成、それぞれの国から動くことは叶わない。

 空間移動で急に顕れる場合もある。

 そのことを考えたら今いる戦力が最大で最低、ここで何とかするしかない。

 そもそも他のSSS級でも理論上、常識上、この熱レーザーを返すのは無理。

 難題に唸るエイラ、しかし悩むも一瞬、俺の方に視線を動かす。


 「ユウ、何とか出来ないか?」

 「おいおい、いくら変幻でも————」

 「出来るぞ」

 「「「「「え」」」」」

 「ホントか!? じゃあ頼む!」

 「いや待ってください! 冗談ですよね?」

 「嘘はついてない」

 

 みな俺の言葉に半信半疑、むしろ疑惑が勝っているか。

 ただ秘密の箱(パンドラ・ボックス)ならば、開戦時くらいは何とか出来るはず。 

 

 「具体的にはどうやって対処する?」

 「まあ簡単に言うと反射かな」

 「レーザーを跳ね返すと、しかしどうやって……」

 「秘密だ」

 「は?」

 「ギリシア神話、パンドラの箱を超える秘密の力だよ」


 おふざけ無し、軽くネタバレ。

 そもそも同調を主軸にしているだけで、魔法式やら神力やら、色んな要素が混ざった技。

 理論を説明したところで、師匠なら兎も角、魔法を使えない皆に理解は出来ないだろう。

 つまりはブラックボックス。

 これはごく限られた者にしか付いてこれない領域だ。


 「相当な威力だぞ?」

 「威力はさして関係ないんだ。ただ負担が大きい、そう長くは使えない」

 「だけど初っ端は……」

 「ああ、開幕戦ぐらいなら大丈夫だ」

 

 実戦の使用例はない。 

 しかし根拠の無い自信じゃない、根底には経験と直感が。

 そもそも放出系という時点で箱は全てを捉える。

 むしろ似非裁定者がレーザーを使ってくれて僥倖、あの固い耐久力、流石に太陽の熱を喰らえば少しは堪えるだろう。

 

 「はあ、もう変幻に任せていいんじゃないか?」

 「そうだな。自信もあるようだし」

 「僕もユウなら信じられるよ!」

 「……決まり」

 「よーし、なら作戦はこのままだ!」


 周りも了承、多少の変更はあるものの、おおむね決まった通りに。

 ただもし不測の事態が起きても、この連中なら自力で何とかする気もするが。

 死に際において、生物はとんでもない力を発揮するものだ。 

 

 「作戦はお前たちに一任はしているが……」

 「これで大丈夫だ!」

 「分かった。国連にもそう伝達しておこう」


 この後も色々な動きを確認、情報を共有、意識を高めていく。

 そりゃそう、戦い決行するのは丁度1週間後、桜はまだ咲かない時に。

 ここまで来たら吹っ切れた気も。

 準備は着々と、最強を冠むる俺たちが負けるわけにはいかない。

 最終決戦、それは目前にまで迫っている。

 

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ