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聖剣使う美少女(脳筋)が相棒です  作者: 東雲 立風
Chapter 10 -The Last Battle 《脳筋は拳で語る》-
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136.5 with A piece of Respect

 「いいよねえ若葉は」

 「何が?」

 「お兄さんカッコよくて」

 「はあ!?」


 今は友達、穂香の家へと。

 家には居づらい、脳筋さんだったり、銀神様、それに何故か魔女王さんまでいる。

 たまにメイドさん、豪胆な海賊さん、それから女みたいな男の人も来るし。

 軽く黙示録、平凡な私が過ごすには過激すぎる場所と化している。


 「穂香、頭大丈夫?」

 「いやいやホントだって。見た目もいいし、それに強いし、いいとこしかないじゃん」

 「ま、まあ……」

 「それに裁定者だっけ? 私たちのために戦ってくれるって話だし」

 「うん……」


 戦争をする、それは国連の報道で明らかに、会見も数日前に行われた。

 でもお兄ちゃんとその話は全然しない。

 ただ、以前は無かった緊張感を何となくで感じる。

 少しずつ変化していく日常、ピリピリした空間に。


 (家に変な人が多いっていうのもあるけど、一番は空気に耐えられないからかも)


 俗にいう臨戦態勢、戦闘モードというやつ。

 本人たちは普通でいるかもしれないが、まさに別格。

 中学生のこの身には中々厳しいものだ。


 「彼女さんが居なかったらアタックするのになあ」

 「エイラさんいるからね」 

 「うん。あの完璧ビジュアル、殆どの同世代じゃ勝負にもならないでしょ」

 「容姿は、いいんだけどね……」

 「やっぱ凄いの?」

 「の、脳筋の名は伊達じゃないよ……」


 大食らい、すぐ力でどうにかしようとする、常識がない、ツッコミどころは山ほどある。

 むしろあの人を脳筋以外の言葉で表すのは不可能だ。

 私がどれだけ気苦労、もといプレッシャーを背負うことになったか。

 とりあえず勢いがすごいのだ。

 ただ人格は善、正直者だし真っすぐしていると思う。

 お兄ちゃんが好きになった理由も、なんとなくだが分かる。


 「そうだ、じゃあ今度遊びに行っていい? 私もお兄さんと話してみたいし」

 「やめといた方が良いよ」

 「ま、真顔で言うね」

 「無事では帰れない……」

 「若葉の家は世紀末か何かなの————?」


 通常運転の時点で色濃い面子。

 銀神様や魔女王さんなんてもうオーラが違う、キラキラというかギラギラというか。

 平然とするなんて出来ない。

 そこにあのメイドさんや海賊さん、男の娘さんが来ようものなら冗談抜き、リアル世紀末だ。

 

 「悪く言うつもりはないけど、お兄さんがあれなのに若葉は普通だよね」

 「私の周りが可笑しすぎるだけだって……」

 「いいなあ、楽しそうで羨ましい」

 「なっ! どの口が言うだー!」

 「ちょ! ちょっと! 冗談だって!」


 もちろん半分は冗談、でも穂香へ勢いよく飛びつく。

 でもこうして平凡を送れるのは私が普通だから。

 お兄ちゃんは特別だけど、だからこそ矢面に立たなくちゃいけない。

 ストレスやプレッシャー、色んなものを抱えるだろう。

 口には出せないけど、尊敬している。

 そして信じている、お兄ちゃんたちなら絶対なんとかしてくれるって。

 

 (送り出す前くらいは素直に言えるかな、いや、言うしかない)


 二度と会えないことだってあり得るのだ。

 私なんか、強いお兄ちゃんには全然役に立たないかもしれない。

 この心からはちっぽけな言葉しか送れない。

 それでも『頑張って』くらいは、変幻の妹として、四道 夕の家族として堂々と言うべきなのだ。

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