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聖剣使う美少女(脳筋)が相棒です  作者: 東雲 立風
Chapter 10 -The Last Battle 《脳筋は拳で語る》-
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 2118年2月。

 世界には衝撃と混乱が訪れた。

 何故なら国連が全世界に正式発表。

 人類、いや、地球滅亡の危機にあることを伝えたから。


 『裁定者襲来』


 襲来と打って危機を知らせる。

 規制されていたマスコミも解き放たれ、連日連夜で情報が流れる。

 これに対し、人がまず抱くのは不安という感情。

 勿論国連もただ言い放つだけではない。

 不安を霧散させるべく、同時発表したのが、その裁定者を倒す者たちのこと。


 千差万別にして一騎当千。

 かつての英雄と同じく10人で。

 しかし彼らの人格は決して正統では無かった。

 殆どが英雄らしからぬ自分勝手オンリー。

 論理と倫理を置き去りにしたパワープレースタイル。

 

 その部隊の名は最強の脳筋アルティメット・パワーズ

 人類の希望を一身に担う者たちだ。
















 「おーいザック、そっち終わったか?」

 「もう少しっす」

 「まったくよお、俺たちがユウの分の荷造りしなきゃいけないなんてな」

 「文句は言えないっすよ。なにせ自分たちの代わりに戦って貰うんすから」


 ここはイタリアにある能力育成機関、セント・テレーネ学園。

 現在学生寮では裁定者との戦いに備え荷造を開始、態勢を整えている。

 戦闘の開始も規模も不明、出来ることから開始。

 ただこの部屋、トニー・モーガスの同居人たる男は不在、友人がその役を引き受けている。


 「しっかし大分スッキリしたな」

 「ガラガラっすね」

 

 貴重品は勿論のこと、日用品や衣類に至るまで。

 最低限を残し、大抵の物は纏め終わる。

 空間に残るのは備え付けの家具、それからテレビぐらいのものだ。


 「にしても結構前から作ってたシェルターの正体がまさかの……」

 「裁定者、っすよね?」

 「ああ。かなり強いって話だけどよ……」

 「国の慌てっぷりを見る限り、実力は話以上だと思うっす」

 

 これでも両者ともに一応は優秀とされる生徒。

 国連の話はそのまま鵜呑みにしない。

 一般人の混乱を避けるため、おそらく裁定者の本当を実力を隠していると解釈。

 明確な確証は無いものの、裁定者は報道している以上、人智を越えた怪物だということを何となく察す。


 「それにユウからのメールも丁寧だったし」

 「うっす。あのユウっちがちゃんとした連絡をする、これほどの異常事態はないっす」

 「つまるところ相当ヤバい相手だってことだ」

 

 普通を特別で返したとき、そこには変化という意味を伴う。

 心情が変わる、意識有るにしろ無いしろ、1年近く付き合ってきた者なら異常に気付く。

 果たしてどれほどの相手か。

 ましてやここまでの厳重体制、拳銃に弾は装弾済み、引き金に指を掛けたところまで迫っているのだろう。


 「あ、そろそろ時間っす!」

 「もうそんなか」


 会話の中、テレビにスイッチを入れる。

 どこのチャンネルも裁定者のことを取り上げている状況。

 ただ予告通りの時刻になった瞬間、全てのチャンネルは一挙に一斉占拠、一定エンド、テンポは変わる。

 何処の番組も国連のものへとシフトした。

  

 「久し振りに見るユウはどんなもんだか」


 これより世界同時配信、裁定者を倒すべく集まった10人が壇上することに。

 会見、決意表明など、この機会を色々な言い方で形容出来るが、ようはテレビに脳筋たちが映るのだ。

 

 「ザック」

 「なんすか?」

 「この会見、普通に終わると思うか?」

 「まさか、絶対可笑しくなるっす」

 「だよなあ……」


 嫌な予感を抱くのは経験上から。

 聖剣使いと変幻という組み合わせの凄まじさは重々承知。

 そこにあと8人加わる、しかも全員が二癖も三癖もあるような連中なのだ。

 実力があるにしても、これほどヒーローらしくない能力者も中々いないほどの。

 そうこうしている間に司会が開会、進行していく。

 自然と目は液晶に釘付け、吹き付けてくる焦燥や緊張を心に打ち付ける。


 「さあて、心して観るとすっか————」

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