表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
聖剣使う美少女(脳筋)が相棒です  作者: 東雲 立風
Chapter 8 -Starting of the END 《魔女王の後継者》-
139/188

111

 『一見して馬鹿げていないアイデアは見込みがない』

 

 ある有名な理論物理学者の言葉だ。

 理論と物理に通ずる天才でさえ馬鹿を肯定する。

 この言葉を脳筋語で翻訳する。

 もっと分かりやすく、砕いて言うならば————


 「脳筋がやっぱ一番ってこと……!」


 この翻訳は正解か、大衆は否定するだろう。

 心配無用、俺がこれから証明する。

 魔力との協定は破壊した、真正面から真っ二つに。

 俺が身に宿る魔力を握ってそのまま強引に連れていく。


 「ちょっと! 止めなさい!」

 「来てますよ師匠!」

 「っバカ! それ以上は————!」


 師匠に手合わせ負けてぶっ飛んだ頭。

 外した足枷、もう受けない辱め。 

 テンプレ失敗を失敗で終わらせない、天上へ昇華する。

 まるで猿人から人間への進歩ぐらい衝撃的で画期的。

 

 (魔力さん、大人しく従ってくれ)


 荒ぶる魔力をそのままに。

 普段の行為を分断、分担は止めて優柔不断に俺のオンリーロード。

 デットヒートするこの感情、力と共に燃え上がる。

 魔方程式は走馬灯のように駆け巡っていく。

 今まで見えてなかった新世界、天変地異で常識と非常識がひっくり返ってミックス。

 巡り巡る、掴んでいた扉の取っ手は放棄、腕力でごぼう抜き、扉中央をぶん殴る。


 「第1工程から後を破棄。魔力を脳に直リンク。イメージ伝達————」


 エイラの試合を想起で例えよう。

 魔法という分野において、師匠が柔だとするなら俺は剛。

 強引ワンマンプレーで突っ走る。

 渦巻く魔力の偉大さ、この身に刻んで消化、全部俺のもの。


 「魔力、充填」


 相棒が強化で身を固めるように。

 俺は魔力で身体を覆っていく。

 まるで装甲、何重と何何重と重なってリアル脳筋戦車。

 しかもただ堅いだけじゃない。

 身体を魔力で常に満たすことで、魔法の威力、発射スピード、詠唱速度、応用性を急上昇。

 イメージするなら、師匠は魔法を放つとき、いちいち腰から剣を抜かなければいけない。

 ただ俺は拳を突き出すだけで剣にも盾にもなる、つまり戦闘超特化短期型。


 「————解」


 俺を中心として魔法陣展開。

 中心都市、まるで大東京のようなビックセンター、周っているのは電車じゃなくて血脈。

 動脈静脈は大喝采。

 俺は真実を見た、極致に足をかけた、つま先は階段へと。

 爆発する魔力の嵐、サイヤ人も驚きの勢い、前髪逆立ち状態。

 今なら師匠にも————


 「ユウ……」

 「いいですか?」

 「貴方って……」

 「頼みます」

 「はあ、これはちょっと真剣にやらないと厳しいわね」

 

 どうやら手合わせを承諾。

 感謝感激で吹っ飛びそう。

 己を客観視、身体が常に魔力の嵐に覆われている状態、この状況は子供に新しい玩具を与えたと同義。

 抑止効かぬこの荒ぶる感情を、師匠は一身で受けてくれると言う。

 助かった、今なら魔王の1体や2体なら普通に葬れそう。


 (ただ、何時までこの状態を保てるかって話だな————)


 「じゃあ、始めましょうか」

 「はい」

 「「————勝負」」


 一定距離を空ける間もなく、師匠は転移魔法でかなり遠くに消える。

 そしてここからでも分かる魔法の輝きとその質量。

 何時もより本気の様子、それは大進歩。

 

 (全力をぶつけさせてもらう)


 常に身体を渦巻く紫の風に命名、この魔法、このスタイルを————


 「頂きの紫鎧(オーバー・ドライブ)


 足本に発動させる風の魔法、及びそれに対しての強化魔法。

 転移魔法は未収得故にこんな原始的用法に。

 ただ凄まじいスピードでこの身は空を飛ぶ、いや、飛んでいたというのが正解か。

 あまりに瞬間的だったので五感が追いつかない。

 だが乗り遅れるわけにも、全力でライドオン、一瞬で適応する。

 

 「蹴散らせ雷電(ボルト・エッジ)!」


 雷魔法を展開、その威力落雷、八つ裂き殺害。

 落雷級のそれはこの手から、師匠めがけて一直線投球。


 「壁天魔法!」


 数十分前にはその壁に阻まれた。

 だけどもうウンザリ。

 とっととぶっ壊して先に進む。


 「超爆裂メガ・エクスプロージョン!」

 

 壁に体当たり、炎魔法が最上位の爆裂を叩き込む。


 「っつ!」

 「まだまだ行きますよ!」

 「もうここまで!? なんて速さ……!」


 爆風の中を突き進み壁の前に。

 どうやら爆裂合わせても、ヒビ割れぐらいで耐えた模様。

 流石の固さ、ただ問題はない、だってもっと強いのぶちかませばいいだけのこと。


 「こ、この距離で魔法を!?」


 魔法使いってのは中距離以上をとらなきゃいけない、口酸っぱく言われた。

 でもそれ要らないですわ。

 師匠に魔法使う隙は与えない、最速で最強を創り出す。

 視線と視線の間にある厚い魔法壁、この魔法で—————


 「っせ、壁天強化!」

 

 一発きり、これを撃ったら絶対倒れる。

 もうこれ以上の戦いは出来ないだろう、戦術としては破綻している。

 でも持った力、辿り着いた答えの1つをここで見せておきたい。


 「必殺————」


 強化ってのは、力ってのは重ねれば重ねるほど強くなる、それはエイラから嫌というほど教わった。

 この右手に、習った魔法全属性を集約する。

 炎、水、風、土、無、雷、氷、光、闇、全て拳に乗せる。

 そしてそれを強化魔法で包みこむ。

 注いだ右手は爆発寸前の核ミサイル、だっさいネーミングセンスで何度目かの命名、こいつを———ー


 「脳筋の右拳(カリヴァーン・ブロー)!」


 9つの色は虹のように輝く、ただ二次は与えない。

 一撃必殺、障害にただ殴るそれだけ。

 この魔法じゃないような魔法は、絶対を撃沈させるのだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ