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聖剣使う美少女(脳筋)が相棒です  作者: 東雲 立風
Chapter 8 -Starting of the END 《魔女王の後継者》-
137/188

109.5 with Recognition

 「まだ行方分からないらしいっすね」

 「アイツに限って死んでるってことはないだろうが……」

 「でもやっぱ気にはなるっす」


 1週間前、フィンランドにて謎の災害が発生。

 死者多数、建物損壊。

 現場は都市としての機能を果たさず、荒野に変わったとか。

 国連が急ピッチで対応してる、らしい。

 これらの情報はあくまでテレビ上、実際はどうなのか。


 (災害じゃなくて、何者かによって引き起こされたって可能性もゼロじゃない。むしろそう考えた方が————)


 仮に公共電波を信じるとして、最も重要なのはその次。

 事変起こった現場に出くわした人物について。

 SS級の赤眼の殺し屋、そしてユウ。

 この2人がちょうど居て、住民避難に尽力したそう。

 しかし結果として赤眼は重傷、ユウは行方知れず。

 

 (アイツの言ってた仕事(・・)ってのが一体何なのか……)


 俺の予想じゃ、出くわしたのではなく、出会った。

 偶々(たまたま)なんてことはない。

 災害と呼ばれるナニカに関わることをしに行ったんだ、そして失敗した、ヘマをした。

 ファンタジーでありがちな封印されし邪龍を呼び覚ましたと同等。

 災害ってのは魔王か神か、自然なんて生易しいもんじゃないと思う。


 「でも意外にフォード先輩は大人しいっすね」

 「それな。特に気にして無さそうなんだよ」

 「もしかしたらユウっちの消息を知ってるとか?」

 「実際あり得る。なんせSSS級でユウの相棒、国連が情報渡しても可笑しくない」

 

 何も教えなければフォード先輩はきっと暴走する。

 暴走といっても暴れるとかではなく。

 ユウ探しに躍起になるという意味。

 SSS級の力は絶大、フォード先輩が居なくなるのは困るはず。

 相棒という点でも、戦力という点でも、ユウについての情報提供をされている可能性は低くない。

 

 「この調子じゃまた留年っすかね?」

 「いや、今回は大丈夫だろ」

 「そうなんすか?」

 「元々政府の依頼で動いてるっぽいし、流石に配慮はされんだろ」

 「へー」


 今回は自分勝手な行動で欠席してるわけではない。

 結構前だが受けるかどうかの相談もされたし。

 政府絡みなのは間違いない。

 留年、もとい単位についてはさして問題無し。

 問題なのは————


 「ユウのやつ、一体何処で何をしてんだか」

















 「退屈だ」


 イースターも終わり学校は再開。

 ただ日常は訪れない。

 それはユウがいないから。

 赤眼と仕事をしに行き、それっきりだ。


 「はあ、学校が長い……」


 アイツが居ないだけで授業はエターナル。

 放課後も寄り道することなく一直線で帰宅する。

 季節故、段々と下がっていく気温、この感情も下降線気味。


 「早く帰ってきて欲しいものだ」


 少し前に政府からユウについて話をされた。

 なんでも任務中に、かなり厄介な相手に遭遇、そして相当追い込まれたようだ。

 それは命の危機にまで到達、もう死ぬ寸前まで来たとか。


 「だが、あの魔女王がユウを助けたと言うのだからなぁ」


 ギリギリのところで魔女王が介入。

 その危機を塗り替えたらしい。


 (ユウは魔女王を師匠と呼んでいたしな。その繋がりなのか?)


 よく分からない。

 ただユウが魔女王のことを師匠と謳っていることは知っている。

 普段は口外しないようだが、私にだけは大体教えてくれた。

 曰く、魔力を貰ったとも。


 (その後、魔女王はユウの身柄を奪った。そう政府の連中は言っていたが————)

 

 赤眼だけは此方に返還されたらしい。

 つまりユウだけは連れ去られた、偉い奴等はそう解釈をしている。

 ただユウの見る目は確か。

 師匠と呼ぶ魔女王がロクでもないことをするとは思えない。

 きっと何か訳、理由があるはず。

 少なくとも殺されたり、痛めつけられることは無いはず、むしろ————


 (師匠とは弟子に技を教える者、この間にも魔女王はユウに何かを授けているやもしれん)


 心配はしていない。

 強くなれと言って背中を押した。

 アイツなりにの答えを持って帰ってくるはずだ。

 左手が薬指にはめられた指輪がなによりの証。

 

 「だとしても、退屈なものは退屈だな」


 鍛錬をして気を紛らわせるとしよう。

 それに、私自身そう易々と抜かれる気は無い。

 いや、むしろまったく無いとも。

 空見上げて夕暮れ色、ユウもこの空の下にいる。

 思いは通ず、切磋琢磨の精神はシンクロ。

 私は聖剣振りつつ、信じて待つのみだ。

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