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聖剣使う美少女(脳筋)が相棒です  作者: 東雲 立風
Chapter 8 -Starting of the END 《魔女王の後継者》-
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 仕事依頼。

 

 内容は前言った通り、未確認物体の調査になる。

 場合によっては殲滅。

 報酬支払いは国連より。

 任務は2117年11月1日から行う予定。

 明日までに参加するかどうか、決めて返信して。


 10月28日、ユリア・クライネ。

 
















 「はあ……」

 「どうしたよ浮かない顔して」

 「いや、ユリア先輩から仕事の依頼きてさ」

 「赤眼の殺し屋か、あの人可愛いよなあ」

 「いや、それどうでもいいわ」

 

 授業も終わり放課後、皆教室を去り始めたときにトニーと会話。

 内容は学園祭で聞いた仕事の話。

 エイラと色々あったが忘れていたわけではない、覚えていたとも。

 ただ期日が明日までとは。

 もう少し余裕持って連絡して欲しかった。


 「迷ってんなら受ければいいんじゃね? 11月1日からは万聖節で1週間休みだし」

 「仕事が1週間で終わるかどうか、それに……」

 「フォード先輩か?」

 「ああ。ユリア先輩は俺しか連れてかない気だし」


 万聖節とは、日本で言うところのお盆みたいなもの。

 正確な意味合いはイコールではないが、とりあえず11月入って1週間は休みなのだ。

 しかし重要なのは期間もそうだが、エイラと離れるということ。

 親離れ出来ない子供みたいな言いぐさだが、今は一緒にいたい。


 (エイラは連れてくるなってハッキリ言われたからな)

 

 ただ自分的にはこの仕事を受けたい。

 試合でエイラに負けてからというもの、能力、神力、そして魔法の練習を増やしてきた。

 しかしあと一歩、何かが足りない。

 エイラを飛び越えるためには、決め手が最低でもあと1つは必要だと感じている。

 同調は俺が頑張ればいい、銀の能力についてもレネに指導してもらえるから良し。

 ネックなのは魔法だ、俺は単純な威力任せの魔法しか使えない。


 (師匠に会って、回復なり防御系の魔法も教えてもらえれば……)


 そうなれば勝機は倍増。

 まあ師匠が何処に居るか分からないので、そんなことは叶わないんだが。

 となればだ、現状では今あるものの練度を上げるしかない。

 方法は、キツイ仕事や危ない仕事、現場で経験を得ることが1番の道。

 こう思ってた時に、ユリア先輩の依頼、しかも先輩がヤバいって言うほどのが舞い込んできた。


 「この後フォード先輩と一緒に帰んだろ? 相談してみたら?」

 「ああ」

 「でもよ、結局決めんのは自分自身だぜ」

 「そう、だよな……」


 自分の目標のためには受けるの必須。

 今のところ受けるでいるが、もしエイラに反対でもされたら—————
















 「行ってこい」

 「へ?」

 「強くなりたいのだろう? 何故迷う?」

 「あ、ああ」

 「目標があるのなら真っすぐに。私のこと気にしては、永遠に私に勝てんぞ」

 

 学園を後にしつつ、エイラに大体のことを説明。

 返って来のは行けの一言、即答だった。

 曰く考えるまでも無いらしい。

 

 『聖剣使いの言う通りじゃな』

 

 レネもエイラと同じことを。

 まさかこうもキッパリ言われるとは。

 まるで地球は青いって改めて教えられた気分。

 分散する思考、脳筋の道に俺は背いていたのか。


 「確かに寂しい、寂しいが、それで自分を曲げるのはダメだ」

 

 エイラに勝つには、エイラと同じ所から脱さねば。

 ずっと一緒に居て負けてしまったのだ。

 なら時には新たな世界を体験、現状を打開する。


 「私だってこれまで沢山の戦いをしてきた。独りで何年も」

 「何年も……」

 「経験は力になるぞ。気にせず行ってこい。そして強くなってこい」


 フルスイングのゴーサイン。

 交際以前に信じれる相棒だからこそ。

 

 「正直嫌がられるかと、もしくは一緒に行きたいとか……」

 「赤眼はダメだと言っているのだろう? これは彼女の仕事、私が口を挟んでいいはずもない」

 「……なんかエイラが大人に感じる」

 「ふっふっふ! 私はプロだからな! 大人の考え方なのだ!」

 

 エイラは俺の何十倍も依頼を請け負ってきた。

 プロと言われても納得してしまう。

 それは意識についても、ちゃんとしたコンセプトが根底に感じられる。

 それに比べて俺は、甘かったと正直に思う。

 

 「よし、受けるよこの仕事」

 「うむ! 頑張ってこい!」

 

 思いのほかスムーズ、むしろ俺の甘い意識だけが足枷になっていた。

 エイラは期待してか信頼してか、勢いよく背中を押してくれる。

 この後はユリア先輩に参加の返事。

 自分のスキルアップのため、現場を味わってくるとしよう。


 「あ、それとだ」

 「ん?」


 忘れてたとばかりにエイラが口を開く。 

 珍しくクールな発言を連発する今日。

 もしかしてあれか、仕事のアドバイスか。

 有難いことだ、仕事の先輩として尊敬する。

 

 「何処に行くか知らんが、お土産頼むぞ」

 「は?」

 「出来れば食べ物で。割れやすかったり潰れやすいのは避けて、柔らかいのを選ぶのが賢いぞ」

 「そっちのアドバイスかよ……」

 「これはとても重要なことだ」

 「もしかして、俺を後押しするのもお土産が目当てだったり」

 「そ、そんなことはない! 本心で言っている! ま、まあ多少は期待してはいるが……」

  

 やはり若干の、エイラが言うところの雑念レベルの下心はあった模様。

 まあ元から手ぶら帰国は考えてない、何か買ってきますよ。

 しかし仕事の詳しい内容は受けてからとのこと。

 知ったとしても任務完遂するまでは誰かに言うことも叶わない中。

 果たして何処の国に飛ぶことになるのだろうか。

 

 「さあ今日も寄り道していこう!」

 「食べ過ぎないようにな」

 「分かっているとも!」

 

 いつも通りの日常の中にもスパイスを。

 戦いに意識をハートフル。

 ハードに決めて進化と経験を。

 相棒に近づくため、俺はまた1つ、新たな道を進み始めた。

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