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聖剣使う美少女(脳筋)が相棒です  作者: 東雲 立風
Chapter 7 -School Festival and Ring 《幻の思い現実に》-
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 「————ヨンミチ様」


 次々と繰り出される唐突の出来事たち。

 心臓のドキリ、直感と現実はドッキングするのか。

 調子絶好調の扉、そこに俺を呼ぶ声が。

 ニューヨークからの贈り物、運び手たるは青眼を持つ————


 「ってマリアさんかよ!」

 「はい。マリアでございます」


 そこには1人のメイドさんが。

 コスプレなんかじゃない本物の。

 エリクソン家に仕える人。

 ニューヨークに滞在する1ヵ月半は面倒を見てもらっていた。

 

 「てっきりシャーロットが来るのかと……」

 「お嬢様は学校です。こちらには来ていません」

 「学校……、そりゃそうか……」

 「行きたがってはいましたよ。ただ情報を手に入れたのは昨日のことでして、スケジュール的な問題が」

 

 俺がエイラと戦うと知ったのは昨日のことらしい。

 超最速型の飛行機を使ったとしても、時間はかなりかかる。

 シャーロットは来たかったらしいが、学生たる故そんなわけにもいかず、代わりにマリアさんが。


 「まーた女かよ。今度は一体誰だユウ?」

 「変な言い方するな。この人は……」


 さて何と説明しようか。

 実のところ俺はエリクソングループとの契約の話を公にしていない。

 別に言ってもいいが、相手が相手、話がややこしくなりそうなのだ。


 「ヨンミチ様、私から」

 「ああ。じゃあお願いします」

 「はい」


 一歩前に出るマリアさん。

 優雅だ、ルチア達の動作とは違うプロの動き。

 一連の動作が洗練され、美しく、華やかにさえ。

 これがメイドを仕事にする人の風体だ。


 「私はマリア・べネッド。エリクソン・グループが社長、チャールズ・エリクソンの専属メイドをしております」

 「え、エリクソン……?」

 「今回は契約者たるヨンミチ様に要件あって伺ったのです」

 「ま、待て待て。おいユウ、どういうことだ?」


 マリアさん普通に契約したことバラしてるし。

 まあ別にいいけども。

 ただ一発で全部理解できる奴は稀、ルチアくらいだったら分かっていそうだが、観衆の大体はトニーと同じ状態だ。


 「俺のサポート企業として、エリクソンと契約をしたんだ」

 「いやお前さ、エリクソン・グループが世界有数の大企業だって知ってるか?」

 「当たり前、契約してるんだから知ってるよ」

 「……あのユウにそんな企業がつくなんて、脅したのか?」

 「失礼な。むしろ提案されたんだ」


 曰く俺はよく問題を起こすと思われているらしい。

 企業の評判下げないかとトニーに心配される。

 世間の話題を掻っ攫うのはエイラが主体、俺はオマケ程度だと自負。

 気にしないとばっちり、バッチリな関係。

 心配無用、だからこそ今回、いや形としては初めて契約が履行されたのだ。

 

 「主より預かり物がございます」

 「そのでかいトランクですよね」

 「はい。既に連絡はいっていると思いますが……」

 「丁度さっき聞きました」

 

 一目瞭然、マリアさんが手に下げる重厚トランク。

 見れば手首には手錠的な、トランクと繋がれている。

 それが重要なものだと自然察知。

 

 (チャールズさんの話だと試合服だって話だけど、随分ガード堅く持ってきてくれたもんだ)


 「ただこの場での確認は避けた方が」

 「ですね」

 「本日は私も観ていきます(・・・・・・)。期待しております」

 「まあ土産話を作れるよう頑張りますよ」

 

 どうやら試合を観戦していくようだ。

 ただエイラとの戦いを知っているのは極僅か。

 少しでも秘密を徹底するため試合服入るトランクの開封を避ける。

 チャールズさんのこと、サイズなんかの不備は無いだろう。

 

 「では一旦ここで」

 「はい。楽しんでいってください」

 「ふふ。お嬢様も向こうから見ていることでしょう」


 最後の最後で含みのある言い方。

 シャーロットが来れなかったのは、急な展開だったこと。

 しかし俺とエイラの試合はどうしても見たい。

 でもマスコミだって今回のことは気付いていない。

 なら自分たちで撮影を、つまりはマリアさんを使って生中継ということだろう。

 

 (ヒーローズ・アカデミアにいるシャーロットに、現在進行形で全部流れるってことね)


 ならば一層失態を見せるわけにはいかない。

 だとしてもイタリアにいるであろう社員に頼めばいいのに。

 わざわざマリアさんを寄こすなんて、彼女もなかなか大変だ。

 本物メイドさんがこの場を去った後、意識はまた鋭利化。

 同時に周りも何度目になるか騒めきが再再発。

 再発というか重ね掛けの言葉が正しいか。


 「素直に驚いたわ。いつの間に契約したの?」

 「ニューヨークに留学してる間」

 「そいえば本社はアメリカだったわね。でも……」

 「でもだ! 天下のエリクソンだぜ!? 給料いくらだよ!?」

 「まあボチボチ……」

 「目を逸らすな! なあ俺たち友達だろう? 何か奢ってくれよお」

 「はあ、トニーのダル絡みが始まったっすね」

 

 受け取った黒トランク。

 スランプは踏み越えロマンスを求める。

 得る物、背負ってるもの1つ具現化。

 俺の戦いであり、俺だけの戦いでないと再び刻む。


 「ルチア」

 「なにかしら」

 「俺、もう抜けていいか?」

 「はあ!? んなこと許されるわけ……」

 「いいわよ」

 「「「「「ええ!?」」」」」


 あり得ないオッケーサイン、他人は意外な返しに驚愕。

 あの鬼司令官改め鬼メイドがサボりを認可。

 一体どういうことだとトニーが食いつく。


 「おいおい! まだまだ時間あんぞ!?」

 「いいのよ。あと貴方はしっかり働いてもらうわ」

 「そ、そんなあ……」

 「くうぅ、ズルいっすよユウっち!」


 精神統一、ウォーミングアップを含めもう離脱したい。

 ここで仕事してる場合じゃない。

 気持ちの先走り、手に着かないワーキング、俺はなるんだこの学園のキング。

 それもクイーンなんて生易しくない奴を倒して。

 

 「悪いなルチア」

 「その代わりしっかり結果、出しなさいよ」

 「————ああ」


 鬼などと表してはいたが、認識を改め、最高だルチア司令官。

 更に背負う人の期待。

 試合と未来、痛みを恐れない気合を胸に。

 

 「代わりと言っちゃなんだけど、学園祭終わったら皆に飯奢るよ」

 「「「「「おおおお!」」」」」

 「流石ユウ! よしサボっていいぞ! いやサボれ!」

 「こりゃ高いご飯食べれそうだね」 

 「楽しみっす!」


 流石にサボりにサボり、契約してることもポロリ。

 金はそれなりにある、ここまで来たら奢るのもやぶさかじゃない。

 

 (にしても現金な奴等だ、まあ今までのこと考えたら全然いいけど)


 身体の底から溢れ出る闘気。

 気分は上々、自然と口元は緩くなり三日月型描く。

 今日この日にだ、こいつら含め、何も知らない奴等の度肝をブッ飛ばす。 

 俺が四道 夕。

 最強に挑む、最強のチャレンジャーだ。

 

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