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聖剣使う美少女(脳筋)が相棒です  作者: 東雲 立風
Chapter 6 -Disturbance of New York 《突風のアルマゲドン》-
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 奔る刃、躍動する四肢、軋む空間。

 重ねるテイク数、やっていくのは肉体と脳細胞のコントラスト。 

 コンクエスト並みに殺戮現場、征服制覇の心意気のみ進んでく。


 「ぬおおおおおおおおおおおおお!」

 「銀破!」


 流星を描き上昇、空に紅蓮と銀のミルとフィーユの千枚葉。

 天災登場、エンパイアたる青の一番槍、相対するはグレン・アクスキア、赤の王である。

 

 「赤権化レッド・ドライブ! 甲殻アーム!」


 部厚装甲を纏い拳の重みが増す、銀刀を弾く剛腕。

 力だけじゃない、宙を流れる伸縮性、立体を縦横無尽に行き交う。

 空間を蹴る脚が8回転、ギアはトップ、突発的で瞬間的に。

 

 「幾戦の槍(ロッド・テンペスト)!」

 「烈火赤隕石メテオ・クラブ!」


 距離が少しでも空けば衝突する弾丸と弾丸。

 段違いは既に水平状態、場外に観客がいるだけで、目の前の男とは視線を同じくする。

 迫る拳、反す刃、擦れた大気が見えざる火花を散らせる。

 散った桜に答えはあるか、過ぎ行く時間は瞬き1回、しっかり瞳孔開いて見据える。


 「っくそ! 普通に強えじゃねえか!」

 「これぞ王の本懐よ!」

 

 序盤の咬ませ感は一体なんだったのか。

 この銀刀とも打ち合えるだけの装甲重ね掛けしたハードパンチ。

 あっちそっちどっちの思考を超えた感覚、脳内高度は大気圏を飛び越える。


 『ユウ! もっと神力を回せい!』

 「キツイ注文だな……!」

 

 心臓ポンプは火の車、見たことない世界の音符を楽譜に、ソングは腹底から歌う。

 時を圧縮、眼を真っすぐ、飛んでくる弾丸を銀風の疑似エナジーバリアがせき止める。

 せき止め結界、ただ防ぐ間にも回り込まれ決壊。

 簡単に結果は出させない。

 カウンターはカウンター返し、破壊し打開しやっていく、それで勝ちを掴んでく。


 「赤権化二階レッド・ドライブ・セカンド!」

 「まだ上あんのかよ……」

 「限界か変幻!?」

 「まっさか。こっからだ————」


 周囲に対するシンクロ率を更に高める。

 同調共に血圧ゲージ指数は限界値へと。

 空中を飛翔、頭と足位置は逆転、足と足は円を放つ。

 重力を感じさせぬ機動の軌道、つまりはゼロ・グラビティ。 

 ゼロは全開、ゼロは原点、限界値を越える、モデル・オリジンを体現する。


 「吹き荒れろ銀風!」

 「っぬう!」


 紙一重の狭間、首まで迫る真っ赤な死鎌。

 ただお出迎えは早すぎる、逆風で死神は追い返す。

 髪を掠る赤鉄拳、拳のはずなにに数十の髪が刈り取られる。

 殴るというより、その本質は貫くというところか。


 (単純にエイラ寄りかと思ったら中距離より先もかなり手強い、バカ正直に殴ってくれば扱いやすいってのに……!)


 相手は一見脳みそ足らずのようだが、その実よく戦況を把握できている。

 間合いの取り方、放つタイミング、色式のバリエーション、戦いの組み立てが素晴らしい。

 緻密とまでは言わないが、即興にして達人の感性生む完成度。

 

 (身体能力もやっぱ人外だけあって高い、スタミナもまだ余ってるってとこだな)


 スタミナ、みなぎるパワー、ワイルドかつスピードを兼ね備えるハイセンス。

 まだまだ語り合えそうだが、このまま単調にバトルしてても面白み無し。

 一発方向転換、馴れた味には強烈なスパイスを。

 ここまで王様相手にしてきたが、俺も一応王様名乗ってる、曲りなりにもある男から引き継いだ。 

 

 「刻印魔法ルーン、発動————」


 普段は魔風起こすくらいにしか使わない刻んだ紫、しかし今回は完全展開。

 魔方陣を浮き上がらせる、流れる魔力を神力に交じり合わせる。


 「人間が魔法を使うか!」

 「ちょっと有名な師匠に貰ったんだ」

 「何処まで行く気だ貴様……!」

 「何処までもさ。それこそ宇宙の果てまでも————」


 限りある世界と読んで限界、しかし宇宙に世界は無い、いや無限にあるとも言えるか。

 要は壁無し天井が上にも下にも全身に対して広がっている。

 目指すはそこ、師匠はその領域に居そう、そんな人からの譲り物。

 羅刹を戴冠、大空に暴風を落とす。


 「なんという風の密度……!」

 

 これでダメージを与えられるはずも無し、しかしかなりの距離を突き放した。

 魔槍構成し発射するにはギリギリ間に合う。

 

 「変幻自在は天衣無縫へと至る! 八百万全ての神を穿つ!」


 輝く左半身の刻み印、避雷針みたく風を俺へと集中。

 構成、支配、同調、プロセス単一で導き出す大回答。

 銀風のプラス、紫の電撃が身体中を駆け巡る。

 背後に顕るは複雑印を描いた巨大魔方陣。

 

 『神力魔力ともに安定。同調の方も十分、発射可能じゃ』

 「公で初公開、さあド派手に決めようか」


 紫陣より召喚されるのは魔風で創られた巨大テンペスト。

 サイズは女王様いるビルの全長を優に超える。

 ニューヨークまるごと吹き飛ばす威力、角度は高め、ぶつけてそのまま奴に宇宙の広さを教えてやる。


 『座標は固定、補足修正もしてやろう! 全開で放て!』

 

 最高レベルのスコープと威力、歯車は回る、蒼天に見せる1本の風。

 秒で整った奇跡のチャンス、羅刹門を今開く。


 「————神滅魔槍テンペスト・オブ・バリスタ!」


 おそらく対国家兵器にカテゴライズ、アナライズの必要は一切無し。

 その身でたんまり味合うといい。


 「————我が父よ。我が同胞よ。我が滾る赤き血よ!」

 

 発射までに俺を潰すのは困難と判断してから、王たるグレンのとった行動は真向迎撃。

 祝詞らしきものと共に色式カラーを変形させる。

 おそらくアレが、シャーロットが未だ体現できぬ色式の最奥。

 攻撃は最大の防御という、この槍を弾いてみせる程の力なのか


 「————色式原初カラーオリジンレッド!」


 火山の噴火、マグマの噴出、赤い津波が出現する。

 触れた大気は蒸発、ミクロの原子でさえ染め上げる。

 

 「大人しく赤に散れええええええええ!」

 「くたばんのはお前だ!」


 衝突、激突、一点貫通の魔槍と大海なる赤は立ち位置中間点にてぶつかる。

 けたたましい轟音、凄まじい衝撃、素晴らしい能力だ。

 この槍に少しでも拮抗しえた能力、賞賛、滅多にいないはず。

 だが滅す、穿つよお前、勝つのは俺。


 「宇宙の果てまで行ってこいやあああああああああああああ!」


 突き出す左手、刻印は一層輝く。

 加重加重加重、加わるパワーの重石。

 雄たけびと共に槍は天へと伸びた————
















 「————見事だ」


 蒸発させる酸素と二酸化炭素、呼吸は若干苦しい。

 身体から一気に色々抜けて倦怠感。

 結論から言って魔槍は赤を打ち破った。

 しかし赤の王そのものを宇宙までぶっと飛ばすことは叶わず、そこそこの重傷を与えるに留まった。


 「あんた丈夫すぎだろ」

 「よく言うな。右手も左足も消され、片目も潰された、これのどこか丈夫だと?」

 「話せてる時点でだよ、元々宇宙まで飛ばす気でいたのに————」


 目の前の王は四肢の幾つかを破損。

 もうこれで先ほどまでの近中距離戦は行えまい。

 油断は出来ないが、ほぼ結果は見えている。


 (ただ神滅魔槍を放つにも無駄が多い、練度を上げればもっと威力は上がるはず————)


 使いこなせていない現状、思うことはあるが反省は終わってから。

 それいてこの威力、穿った先の空から雲は消えた。

 

 「もう勝負の結果は見えてる。引き際は分かってるだろ?」

 「ああ、この身体では貴様とは戦えんな」

 「なら……」

 「だがしかし! 王とは最後まで諦めぬ者! そして頂に立つ者!」

 「なに言ってんだか、じゃあ大人しく死ん————」


 退かぬのなら終止符を打つまで、同調した風で捻ろうと思ったその矢先。

 王は懐から真っ赤な液体、おそらく血液か、それが入った小瓶を取り出す。

 

 「これはな、我が弟の血よ」

 「弟って、まさか緑の王か!?」

 「そうとも。我は緑王を手にかけ、そして奪った」


 片腕で握った真っ赤な小瓶、その蓋は高速の片膝蹴りで強引に割る。

 そして————


 「っな!」


 赤の王グレンはそれを飲む、一滴残らず、まるで乾いた喉に水を流すが如し。

 敬意を込めてか、それとも私情の類か、どちらにせよ血を心臓へと送った。


 「秘密を持つのは何も貴様だけではない。これが真実である————」


 雷鳴が轟く。

 赤の王と俺の上空間に落ちる黒い稲妻の登場。

 王は今までと同じ赤い色を纏い、そしていつの間にか緑の色も纏っている。

 どうやら一発逆転の力を持つのは俺だけではないらしい。

 しかもそれは隠されているはずの代物、時が来るまで顕れない、いや、まさかこの土壇場で赤の王が後継者として選ばれたというのか。


 「顕現せよ、原初兵器アトランティス————」


 神もが恐れる伝説の遺物、巨砲が今その姿を現した。

 

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