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聖剣使う美少女(脳筋)が相棒です  作者: 東雲 立風
Chapter 6 -Disturbance of New York 《突風のアルマゲドン》-
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 「————大気同調アトモス・シンクロ


 両脚に溜める大気爆弾、疑似的な爆裂ブースト装置。

 感覚が押す発射ボタン、勢いあまり擦過さっか五感、この身を大空へと飛び立たせる。

 標的は真っ赤で分かりやすい、どんな能無しの鷹でも間違うことない絶対性。


 『思い返せば空中戦は初じゃのう』

 「そういやそうだな」

 『我が採点してやろう。一層気張れい』

 「どうせ激辛だろ? まあ100点取れるよう頑張るけど————」


 考えてみれば真剣な空中戦は生まれて初?

 なんだかんだ毎回この足は地上に立っている、飛んでもそんな長い時間というわけでもなし。

 向こうさんがどれくらい空で戦えるかは知らないが、経験という面では不利かも。

 しかしだ、俺の能力的には障害ない大空は最高のステージ。

 それに向こうが幾ら空中戦に長けていても、最悪レネの経験を同調したら十分黙らせられる。


 「赤隕石メテオ!」

 

 接近に伴い奴は能力で複数の隕石を生み出す。

 1つ1つのサイズはそこまで大きくないが、規模はそこそこ。

 かわすのもいいが、いかせん下に街があるからな。

 まだ余裕があって気が配れる範囲、ここは最初と同じくシンクロで支配して海行き————


 (いや待て。てっきり自然物だと思ってたが、どうやら隕石ごと能力によって創造されているってことだし……)

 

 初めは何処からか引っ張って来たと考えていた、しかし最初のシンクロ、そして相手の召喚光景を見て、それが能力物だと完全確定。

 確信が真実へと変わる。

 ならばそんな面倒なプロセスは不必要、核心を穿つ。


 「能力同調アビリティ・シンクロ!」

 

 表面ではなく中心を、奥の奥の奥、深層領域まで手を伸ばす。

 青空とは違う、もっと煌びやかな青が大気を流れる。

 人為なる天の川、出会うのは力と力、加速しだす隕石の形した色式カラーをロック。

 相手が神でもない限り、この世に干渉する外発的能力、全てを俺は支配する。


 「能力解除! さあ消えろ!」


 操縦席に上からダイブ、前居た運転手は下へ蹴落とす。

 俺がドライブ、それでサバイブ、活きる一手。

 ハンドルは破壊、隕石は赤い粒子と変え大気へと霧散させる。

 数十とあった色は青が塗りつぶす。


 「バカな!? 破壊でもなく消滅させただと!?」

 「まだまだこっからだ!」


 驚くのは早い、こんなのまだ序章の序章。

 いやプロローグの冒頭に差し掛かったってレベルだ。

 冒険心がくすぶる、ボンクラじゃないこと証明、こんなもんじゃない。 

 お前は強いはず、それで俺はもっと強いはず、不明確を明確に顕すのはこの身1つ。

 ペンは剣より強し、ただ赤いペンで幾ら書こうとも、燃やせばすべて灰となる。

 火を点ける、ライターを握るのはやはり肉体なのだ。


 「幾戦の槍(ロッド・テンペスト)


 新人戦でも使った疑似的な槍のオンパレード。

 ここは空、ついに次元は越える、4つ目の領域、2メートル超の槍を無限召喚。

 いま立った位置での槍は放つ武器、銃弾と同じ、使い捨ての鉛と同義である。

 

 「一斉掃射ファイヤ


 相手は中距離をとっているが、それで一番有利なのは俺である。

 そもそも支配系の能力者に距離取るのがバカな話。

 ただ据え膳食わぬわけも無し、固定していた風槍を一気に放つ。

 しかしそれは尽きぬことない無限連鎖、空気はここにあり、風はひたすら流れる。

 どれだけ防ごうと、どれだけ逃げようと、槍は絶対に尽きない。


 「っ赤羽(レッド・フライ)!」

 

 案の定の回避色式、身体を加速させ槍に対する回避行動をとってくる。

 しかしだ、そんな予想できる、凡人やるような戦い方は見たくない。

 普段エイラにおいしいとこ全部持ってかれるから、こうしてソロでやり合えるのは滅多にないのだ。

 スピリットに見合う実力を示してもらわなければつまらない。

 

 「ナメるな! 赤隕石メテオ……」

 「だからそれ意味ないって。一回で気づけよ」

 「っ!」


 性懲りも無く槍避けつつ、なんとか隕石を生み出す。

 でも一度解析終わればスムーズに、もうその手は俺に通じない。

 姿を現した瞬間にシンクロで掻き消した。


 「……ならば、赤権化レッド・ドライブ!」

 「っお」

 『やっと少しは面白くなりそうじゃな』


 不思議な光景だ。

 赤はまるで液体のように、ある意味不気味な動きで王へと纏わる。

 濃く濃く、純度を高めるように色を強める。

 例えなら赤甲冑、武将を連想させるような出立へと。


 「あるなら最初っから使えよ」

 「黙れ。そもそも人間に見せるような代物ではないのでな」

 「あっそ————」

 

 そう言って使ってんじゃん、などと無粋なことを言うつもりはない。

 なにせ空気を読める人間なんで。

 攻撃に特化した種族だ、その武装で攻撃力が上がるのは重々承知している。

 キーポイントとなるのは、その力に何が足されるか。

 スピードか、テクニカルか、スタミナか、はたまたマインドか。


 「————行くぞ変幻」


 大気に走る戦闘の稲妻。

 ひたすらの道に区切りを付ける。

 先ほどまでとは全然違う深い殺気、黒に近づく赤の色クリムゾン。

 フィクションではなくリアルな光景、マグマの滾り、燃える塊がそこに居た。

 

 (手抜きしたらヤバいやつだこれ)


 むろん最初から本気でやっている。

 ただ使っていなかったのを使うだけ。

 リミッターを振り切ってレッドゾーン、いやシルバーゾーンが正しいか。 


 「戦を愛し、銀を愛し、王道を愛す」

 『我は最強。我は不倶戴天の大神である』

 「「武装変幻、神刀『銀』!」」


 両眼に集中する神力の流れ。

 この身を吹き抜ける風は銀風と変わり、空中には銀粉が舞い散る。

 ファーストプロセスはレネの召喚。


 「銀神エレネーガ……!」

 「今回貴様の相手をするのはユウなのでな。我とはまた今度じゃ」

 

 セカンドは変幻の工程。

 現界せしレネは一層銀光を放ち姿を変える。

 不倶戴天は俺に乗り移る。

 及第点なんてつかない100を超えた先の世界。

 右手に握るは美しき銀の刀、レネ形変え愛そこに。


 「触れたら最期、全てを銀に変える神の剣か……」

 「よくご存じで」

 「嫌でも知っている。だが野望のためには平伏させるのみ」

  

 俺が着る服にまで銀は届く。

 散った粒子が銀套を構成、銀の使徒、死と躍る戦脳。

 握ったものの丁度よさ、道なき道、風のハイウェイ。

 乗るのはもちろん俺、対抗者は赤い道を走ってる。

 60のバニシング並みにハイスピード、刹那の戦いはレッドゾーンを突っ切った。

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