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聖剣使う美少女(脳筋)が相棒です  作者: 東雲 立風
Chapter 6 -Disturbance of New York 《突風のアルマゲドン》-
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82.5 with Blue Elf

 「これもイマイチだなあ」

 「はあ、はあ、はあ……」

 「一旦休憩にするか。ついでにここまでを纏めよう」

 「わ、分かったわ……」


 波乱の新人戦事件から数日後。

 意外や意外、俺たちは拘束されるわけもなく日常を送る。

 学校に通い、勉強をし、そして放課後は赤の王の対策を練る。

 具体的に言うと、まず行うのはシャーロットの能力を深く知ること、そして昇華することだ。

 いかせん謎の多い青の色式カラー、そして原初兵器アトランティスを呼び起こす重要な鍵。

 手探りでも王権獲得のため、真の力を目指さなくてはいけない。


 「でも、まさかニューヨークが味方してくれるとはな————」


 拘束は組み替えて楔帷子くさびかたびらに。

 エリクソングループの力が働いたのかもしれない、行きついた先は政府が俺たちをバックアップ。

 赤の王を撃退する矛として選ばれた。

 政府は襲来に対し民衆の避難勧告をしてくれる、そして加わるエリクソングループの迎撃武装。

 青の城、崩れぬ牙城、廊下に駆け巡るは黒服の兵士たち。

 舞台は整った、あとは俺たち次第。


 「シャーロットの能力、いや色式カラーは応用性が高い、ただ……」

 「決定打がない、でしょ」

 「ああ。まあバランス型だから仕方ないんだけどな」


 ここまで見てきた限り突出した点は正直ない。

 だが異常なまでの柔軟性、まさに無脊椎むせきつい、無責任なまでの変化具合。

 近接も行ける、中距離も戦える、遠距離だって問題ない。

 

 「こう言っちゃなんだが、縁の下の力持ちの究極系だな」

 「縁の下……、それって王様としてはどうなのよ?」

 「別にいいんじゃないか、大事なのは結局は気持ちだろ」

 「そう、そうよね」

 「それに真向から戦うのは俺、王様は堂々と見ててくれ」

  

 あくまでシャーロットの色式を極めんとするは、原初兵器に少しでも近づくため。

 まさか赤の王と戦わせようってわけじゃない。

 奴の首を狩り取るのはこの俺。

 一度は赤の秘密男に後れを取った、だから挽回、新たな女王に赤王その首おくれと言った。

 

 (既に銀刀を使えるだけの神力は練った、それにもし刀が効かなかったとしても————)


 視線を移す先は刻印の左腕、見えざる左足も熱を放つ。

 ジリジリと高まる、紫のパワーボムが半身に絡みつく。

 超弩級のバリスタ、天衣無縫、2代目としての羅刹ももう少し。

 血管に流れる静電気、経験に倣いつつ冷静に、あとは火を点けるだけ、リボルバーに弾丸は装填された。

 

 (戦闘中、シャーロットには高レベルの護衛を配置してくれるらしい、それで気を抜くことはないものの、盾が増えたことに変わりなし。俺の自由度は確実に高まった)


 「だとしたらユウは凄いわよね」

 「ん?」

 「だって私と似たような能力じゃない。広範囲を網羅する適応性、色だって青だし」

 「言われてみればだな。でもまあ……」

 「銀神様や槍の力があるものね、決定打はそこで補えると」


 反則に反応示すは当然。

 普通人間は1人1つしか能力は持ち得ない、だと言うのに俺は3つ。

 同調で押し切れない相手もレネとテンペストで重石を乗せる。


 (言われてみれば同調の色も青だな、なにも関係無いと思うが————)


 「私は、ユウのスタイルを目指すべきだと思う」

 「俺のスタイル?」

 「半歩退いた近接戦、物量と鋭さでごり押しする中距離戦法、遠距離では余裕を持った立ち回り、それでいて考え方はシンプルに」

 「同調も基本は周り頼みだからな、そういう戦い方にはなる」

 「この私の力も変幻自在、まさに理想像よ」


 俺は普段隣にエイラがいるわけで、どうしても近接は足手まとい、1歩ではないが半歩は退いてる。

 どの距離も一緒、常に最善を、その中で混じらせるんだ最高の無茶を。

 基本はいしずえ、その上に成り立つある種変態性。

 脳筋プレーに教科書はないが肝はある、つまりは気持ち、ブレない柱、勝利にこだわる獣の眼。

 シャーロットはそこを、俺を目指すというわけか。


 「ダメとは言わないが、オススメはしないぞ」

 「なんでよ?」

 「俺の隣には俺以上の脳筋がいるからな、そいつが居てこその俺のスタイル。真似する相手は選んだ方がいい」

 「大した問題じゃないわ。成りたいものは成りたい。それに————」


 夢は夢、目標は目標、確かにあるなブレない精神。

 軽信けいしんしてないな。迷信してないな。

 既に土台は出来上がりつつある、俺を目指すというのもあながち幻想ではないのかも。

 そして言葉の続きは現実が代わりに語り出す。

 カタルシスを晴らす、ガラスを割る、扉を開き侵入するはシャーロットの愉快な仲間たち。


 「あ! やっぱりここに居た!」

 「リサ、それに皆も……」

 「なんか特訓してるって聞いてね」

 「折角だし混ざる」

 「そうそう、ユウさんがいる内に見てもらっときたいし」

 

 赤エルフの言葉は観衆まで届きはしなかった。

 しかしシャーロットに秘密があること、あの時隣にいた彼女たちだけは知っている。

 秘密の真相は分からない、でもこの学園に入れた優等生なら察しているはず。

 この1件はあれで終わらない、大きな波乱が訪れる、近くに居れば巻き込まれるは高確率だと。 

 

 「さあ特訓開始よシャーロット!」


 いつもやられ役のリサが一番手を名乗り出す。

 まさに斬り込み隊長、微妙な行燈に入れられるLED。 

 NPCみたいな名称不明はここに居ず、存在するのは確かな仲間だ。


 「ユウ」 

 「うん?」

 「聖剣使いみたいな脳筋は隣に居ないけど、私には最高の仲間が隣にいるわ」

 「ああ、そうだな————」

 

 その青眼はもはや迷いなしの澄みゆく大海。

 彼女たちは強くなる。

 いつかは俺の首元まで登り詰めるかも。

 しかし喰わせるつもりは毛頭無し、俺とてエイラと目指すは最強だ。

 

 (だがまあ、好敵手を育てるってのもやぶさかじゃないな)


 「よし! じゃあ特訓始めるか!」 

 「「「「「イエッサー!」」」」」

 

 元気よく返事がくる。

 いい気迫、期待十分だ。

 今日も今日とて三千里、俺は後輩たちを修羅の道へと連れていく。

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