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落下地点のその先
第二話 「落下地点のその先」
コンクリートのその先は、天国でも地獄でもなく、一見どこにでもありそうで、どんな所にも似ていない。そんな町だった。
朝と昼の間くらいの時間帯なんだろうか。ほどよく日の光が差し込んでいて、町はやさしい光に包まれていた。
しばらく道なりに歩いていくと、二差路にぶつかった。僕は迷わず左の道を選んだ。
それこそ歩き慣れた道を進むように。
どこまでも古い雰囲気の家々が建ち並び、道はしだいに緩やかなカーブを描き始める。
向こうから三輪の車がゆっくりとやって来て、横を通り過ぎて行った。色褪せた橙色の車で、どこか懐かしを覚えた。
その後も道なりに進んで行くと、この道に、見覚えがあるように思えてきた。知らないはずなのに知っている。いつかどこかで見たことがある。
例えるならそれは、デジャヴにも似た感覚だった。
心が躍り、歩幅も自然と速くなる。
この先に、きっとある。ずっと探し求めてきた、何かが。僕は、そう信じて疑わなかった。視界の端の独特な違和感も、しだいに気にならなくなった。
道幅は、しだいに広くなり、ぼんやりと、マンションらしき影が見えてきた。
日が傾き始めても、そのマンションだけは夕日に染まることはなく、独立した空間に佇んでいるような、独特な神秘性があった。




