8/32
瞳
柔らかな肢体、穏やかに目を細めたそれは、にこり、ともしなかった。
ただ、僕を見ただけだった。
やがてにこり、と微笑んで、やがてたくさん笑うようになって、やがて君の頬を何が撫でるのかまで知るようになった。
無垢な目、キラキラと輝く瞳、ああ。あぁ、どうして。
君は嫌がるだろう、と僕は思って複雑になった。
僕に君は神秘的すぎたのだ。そして僕は汚れていた。引き返すにはあまりにも遠い道程を共に歩んでしまった。
このままでいたいのに、このままではいられないと、崖が僕を追い詰める。
逃げ去ってしまえるだろう、君なら。
逃げ去ってしまえるだろう、君になら。
僕は、どうしたらいいんだろう。答えのわかりきった答えに身を投げた。
君を墜としてしまおうと、僕は身を乗り出し、一緒に引きずり込んでやろうと思った。
僕は君がもっと嫌がるものだと思っていた。
でも君は僕の胸に抱き抱えられたまま。
何の抵抗もなかった。
僕はほんの少しの絶望と、ほんの少しの嬉しさだけを抱え込んで、君と一つの騒音となって弾けた。




