クチバシ
触れる刹那、かすかに唇が震えて、音を聞き取ることが叶わなくて
そのまま触れた、冷たい鉄
無音になったと思ったら、すぐに騒音。
肌はひりついて痛いくらいだ。
僕は探してた。チカチカ光る灯台みたいには探せなかったけど、風みたいに包んでいたかった。
押し殺してた、しょっぱい粒。わからないふりをして、やがて消えた。
たくさんの音が聞こえるね。
君はもうどこか遠く空の下にいるかい。
僕はここで揺れてるよ。
同じ空の下なのに、ずいぶんと遠いね。
熱で焦げる臭いと暑さ、痛くて、痛くて、悲鳴を上げる。
悲鳴をどんなにあげても、もっと大きな音にかき消されて、僕の悲鳴はかき消される
僕らも生きている、だけど「生きるために仕方ないのだ」と言う。
僕らはただされるがままに、どんなに傷つけられても、そこでじっと耐えるしかないんだ。
君はそうじゃない、だから、だからどうか
そう願った。
幸せに、と。
また、きっと、いつか、どこかで会えるからと。
嘘の音は、きっと鉛のように鈍色で、冷たく、どんよりと重かっただろう。
その中のかすかな希望は、それでも、それでも叶えられるかもしれない
僕と君は、奇跡を信じる。
キセキなんかなくても構わない、ただ、無事で居てくれるなら
僕は幸せだったから、君にも幸せでいてくれれば、それ以上のことはないんだよ。
僕は、ここで、新しいモノへと生まれ変わるね。
重い音と、軽やかな音、やがて僕は、世界をめぐるだろう。
そのとき、君にも会えたらいいと、思ってる。




