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鳥かご
鳥かごの鳥、全力で飛ぶことを知らず、全力で飛ぶすべもなく。
認められたくて大袈裟に鳴けば花弁が一枚、一枚と散っていく。
見繕いたくて造花になり、すれ違いすらも気づかず雨がふる。
そうやって距離ができ、砂利道は国道へ変わる。
寂しい、淋しいと震えては、凍えて目を閉じる。
狐のように身を寄せあって眺めた空はまだ青く、見上げる月は朧月。
ふれてはいけない逆鱗に触れ、一人薄暗い森をさ迷い歩く。
笑っては道化師のように踊り、踊っては満たされない心に涙して、その涙をすくってくれる手もなく、その手を差しのべてくれる鳥かごを求めてまたさ迷う。
戸の空きっぱなしで放置された鳥かごの罪の重さと暖かさを苦しげに抱えながら、飛び出してはまた求めて帰る。




