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土へと
土にかえるために、生まれてきた。
芽吹く時を待っていた。
冷たい場所に置かれ、暖かな手に触れられ、また置かれて、ついに土に帰るときが来たと思った時、僕はかじられた。
艶々した肌は、シワシワになって、固かった体はふわふわになっていた。
そうなるまで閉じ込められた怒りを、持つこともなかった。
知恵、健康、愛らしい、たくさんの事を言われた僕だけど、どれ一つ、興味なんかなかった。
僕はただ、土に帰るときを待っていた。
僕はただ、土に返るときを待っていた。
だけどその前に詰められた。
だけどその前に流されて、だけどその前に燃やされた。
僕が土にかえるより早く、僕は塵になった。
僕が土にかえるより早く、僕は風になった。
舞い上がった僕は、世界とやらを見た。
舞い上がった僕は、広い広い空を見た。
そのまま溶けて、大地に降り注ぎ、僕は、土へとかえった。




