こがれて
憧れていた。でもきっと君たちは知らないだろう。
僕は、通り過ぎて、消えるだけの存在だから。
僕は、青い青い光が羨ましかった。僕は、青い、青いキラキラが羨ましかった。
僕は、白いキラキラも、白いふわふわも、ひとつひとつの粒も羨ましかった。
駆け巡るたびに感じる緑のわさわさも、茶色のゴツゴツも、灰色の何かも、トゲトゲした銀色も、羨ましかった。
僕が向かう先は、誰も知らない。僕がどこで生まれて、どこから来て、どこで消えるのか、そんなもの、僕にもわからない。
息するものの中、いろんな中で、旅を続けた。
ずっと続けられはしないことは、分かっていた。それでも、走り続けた。
この両手をめいいっぱいに広げて、この両足をめいいっぱい蹴り上げて、走って走って、いろんなもののそばを通り過ぎて、いろんなものの中をかけた。
そんななかで、不思議なものに出会った。
黒くてさらさらで、オレンジに近くて、そうじゃない、あたたかな、何か。
僕は消える寸前だったと思う。でも、はっきりと覚えている。
僕は、ありったけの力をこめてかけよった。
僕の手は、それに届いた。暖かい。
でも、当然、触れることなんかできなかった。そのまま僕は通り過ぎて、さらさらと流れる黒い何かを横目で捉えた。
僕が君にこがれたことは、きっと君は一生知らないのだろう。
僕が君にこがれたことは、知ることなど、ありえないのだろう。
それでも僕は、消えるわずかばかりの時間に、君に会えたことをよかったと、君のそばで消え去ろう。
この意識はきっと消えて、永遠に失われるかもしれないとしても。




