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花いかだ
手を伸ばしたら、触れられる。
でもそれは不確かで軽く、それ故に暖かい。
僕がどんなに愛しても、きっとあなたは、微笑むだけなのだろう。
僕がどんなに溢れんばかりの思いをこの胸に抱えていたとしても、きっとあなたには届かないのだろう。
ふっと近寄っては去っていく。
水面に浮かんだ、ピンク色の羽。
絨毯とも花いかだとも言えるようなあの盛大さはなく、花いかだよりも大きくて小さな翅。
そっと寄せ集めて、抱き抱えてみた。
軽くて、脆いその塊はポタポタと音を立てて僕の手から逃れ、また広がっていく。
淡い香に包まれて、はかない色に魅せられて、僕とは違うその繊細さに触れて、音を殺していく。
きっとあなたには、届くことがないのだろう。
きっとあなたは、微笑むだけなのだろう。
それでもかまわない。
それでもかまわない。
あなたとの時間が、残せるのならば。
きっとあなたには、届くことがないのだろう。
きっとあなたは、微笑むだけなのだろう。
僕は……そんなあなただから、惹かれるのだろう。




