外伝 カロンside
連続更新\(^ー^)/
これは引っ越した友達が書いてくれたやつです(≧∇≦)
ありがとうぅぅぅ~
嬉しすぎるぜ(*´▽`*)
俺は孟ダッシュでバイクを飛ばし、俺に仕事を押しつける、最近引っ越したっていうろくでなしの友の新居に、急いでいる。
今これだけ急いでいるのも、そいつが毎度の如く俺に仕事を押しつけ、挙げ句の果てにさっきから電話が全く繋がらないためだ。
きっとまたあいつは……
やめとこ…考えただけで、頭痛が……
エレベーターが降りてくるまで、腕を組んでこれからの段取りを考える。あぁ…頭痛が…
3階のボタンを押して、銃を用意する。
扉が開き、俺は足早に一番奥にあるヤツの家に向かった。
ピンポーン!
一応インターホンを押す。
親しき仲にも礼儀あり、だ。
…………
反応なし。
はぁ〜〜〜〜〜…
俺は盛大に溜め息をついた。
やっぱりな…
銃は持っているが、念のためドアノブを回してみる。
ガチャ、キー…
開いてんじゃねーかよ!!
無用心か!!
引っ越してから2日しか経ってないが、家の中は意外と片付いていた。
廊下を進み、まずは手始めにリビングからヤツを捜索するか、と戸を開けると…
…いた。
蓑虫みたいに毛布にくるまって寝てるヤツが。
俺に今日も仕事押しつけたヤツが。
スースー寝息をたてて、気持ち良さそうに寝ている。
仕方ない。
銃発砲まで、猶予をやろう。
俺の慈悲に感謝するんだな。
数回名前を呼んで、数回呼びながら頭をぶって、数回銃で殴ったら、発砲しよう。
うん、そうしよう。
残念ながら発砲は未遂に終わった。
数回銃で殴って、そろそろ発砲するか、と思い始めた頃、くぐもった声で件のヤツは、
「ん〜痛いよ、カロン。それにまだ寝てたい……お休み。」
と、目だけを出して俺をチラッと見て、すぐに毛布を被り直した。
「寝てたいって、もう夕方だぞ。お前が仕事終わったら来いって言うから来たのに、当の本人が寝ててどうすんだよ。」
俺はヤツから毛布をひっぺがして、ため息をついた。
ヤツは急な光が目に痛かったのか目を細めている。
ヤツが身だしなみのために洗面所に行ったのを横目に見ながら、俺はソファの上の物、もといさっきまでヤツがくるまっていた毛布を、片付ける。
あいつにしては割としっかり片付いてんな、と一人密かに感心して、部屋の中を見渡していたら、信じられないもの、いや、信じたくないものが書斎の机の上に立派に居据わっていた。
「おい、ブレイン。」
俺は寝癖と戦っているヤツを呼んだ。
「ん? なに?」
見た目を気にするのは大いに構わんが、その前にお前にはしなければならないことが恐ろしいほどある。
なにを暢気に、ん?なに?、だ。
「お前、今日1日何してた?」
ヤツが髪を手で抑えながらゆっくり俺の方を見た。
「わぉ、なに? カロンは俺の彼女? 今日何してか気になる? もう、ヤキモチ妬きさんだなぁ〜」
首を傾けて、口角をあげながら、何やら寝ぼけているとしか思えないことをほざいた。
今からでも発砲してやろうか。
「ちげぇわ!? お前、今日の仕事やってないだろ!?」
俺はヤツの机の上を指差しながら怒鳴った。
ブレインの机の上には半分ぐらいしか進んでいない仕事の束が。
ブレインは今仕事の存在を思い出したらしい。
「あぁ。やってないねぇ〜」
と間の抜けた声でのたまった。
「やってないねぇ〜じゃねぇよ!? これ今日締め切りって書いてるぞ!? さっさとやれよ!」
俺はヤツの書類を見て思わず叫んでしまった。
「ん〜カロン手伝って?」
ブレインは、心の内を見せない、普段からしているアルカイック・スマイルを口元に浮かべて、あろうことか助けを求めてきた。
「殺されたいか?」
目で脅しても、全く動じないで、微笑を浮かべてこっちを見ている。
俺が手伝うって確信してやがる。
ちっ。いちいちムカつくヤツだな。
「はぁ〜分かったよ。手伝ってやるから、さっさと終わらすぞ。これ以上ジーニ待たしたら五月蝿いからな。」
結局、俺はそう言いながら書類を半分持って机に座った。
「わぁ〜い。さすがカロン君、優しい。ありがとう〜」
「そう言ってる暇があるなら、手を動かせ。」
手伝うってわかってたくせに、よく言うぜ。
ムカつくから、キッと睨んでやった。
****
「っで、2人して遅刻してきた訳? この俺を待たせて?」
明らか風呂上がりの格好をしたジーニが俺たち2人を睨みつけた。
仕事が全て片付いたのは約束の30分後だった。
案外量が多かったので、2人掛かりでやっても50分かかった。
「俺は終わってた。全ての原因はブレインだ。」
俺はソファーに座ってテレビのチャンネルを替えながらジーニに言った。
ブレインはジーニのキッチンを借りてさっそく調理をしている。
今日のブレインの引っ越し祝いはジーニのマンションでやることになっていた。
ジーニは高層マンションの最上階を丸々貸し切っている。
街並みがガラス張りの壁から綺麗に見える。
30分の遅刻をしてジーニのマンションに行くとジーニは風呂に入っていたらしく、濡れた髪を拭きながら俺たちを出迎えた。
普通、友達を待ってる間に風呂入るか?
ま、それがこいつだよな。
どこまでも自由な奴だ。
「まぁ、それは全てカロンに責任を取ってもらうとして。そんなことより、ブレインは何を作ってんだ?」
ジーニは髪をタオルで拭きながら、キッチンに入っていった。
聞き捨てならない事を聞いた気がしたので“何でだよ!?”とジーニに叫ぶが、ジーニは完全無視。扱い酷くね?毎度のことだけど。
「ん〜パエリアとマーボー豆腐だよ。」
「何、その組み合わせ……」
鍋でグツグツ煮るマーボー豆腐を見ながらジーニは呟いた。
ごもっとも。
「今日の俺の気分の物を作ったらこんなんになったんだ。あっ、ちゃんとサラダも作るから大丈夫だよ。」
ブレインは洗ったレタスを千切りながら皿に盛った。
「イヤ、栄養バランスとかの問題じゃなくて……なんで洋食と中華を一緒にするのさ……」
ジーニはため息をついた。
いちいちジーニの言葉に同調してしまう。
何でパエリアと麻婆豆腐?
お前、魚介類嫌いじゃなかったっけ?
ブレインはルンルン気分で調理を続けている。
ジーニはジャージから私服に着替えてから、どこかへ行ってしまった。
ブレインがパエリアと麻婆豆腐をテーブルに置いたのを見たので、ダイニングに行ってみる。
さすが、見た目を気にするだけあって、料理の組み合わせはともかく、美しく盛り付けられている。が、俺は心配になった。
「なぁ、ブレイン。パエリアこんだけ?」
戻ってきたブレインに尋ねる。
俺は、自慢じゃないが、人一倍食う。
「あぁ〜カロンには足りないかもねぇ……」
「うん、足りねぇ。」
ブレインが、今俺が大食らいなのを思い出して、渋い顔をしながら言うのを、間髪入れずに俺は頷いた。
「安心しろ。今日は祝いにワインを飲むから、つまみ程度でいい。」
いつのまにかワインを3本持って帰ってきたジーニが、いきなり会話に入ってきた。
「いや、俺酒飲めねぇから。食う専門で。」
俺キッパリそう言った。
こいつらに酒付き合って、最後まで記憶があったためしがない……
「いや、今日はお前も飲んでもらう。ブレインの祝い酒だ。飲まないと友情にひびが入るぞ。きっと、明日からブレインはお前を苛めるぞ。」
「そこまで俺、ひどい人間じゃないんだけど。」
ジーニはまた勝手なことをほざいている。
ブレインは頬を引きつらしている。
「そんなんで苛めらるたらかなわないから、飲むよ……」
俺は、ブレインの抗議をさらっと無視して、少しため息をついて、椅子に座った。
****
あれからどれくらい経ったんだろうか。
なんかあっと言う間に撃沈した気がする。
目を開けると高い天井が見えた。ソファーに誰か運んでくれたらしい。
上半身を起こすと頭痛がした。
やっぱり飲むもんじゃない。
辺りを見渡すとブレインが立って一面ガラス張りの壁から眼下の景色をワイン片手に眺めていた。
座って飲みなさい。
ジーニはこの場にはいなかった。
「あれ? ブレイン、ジーニは?」
静かだった部屋に俺の声が響く。ブレインが驚いたように目を丸くして俺を振り返った。
「ジーニも寝たよ。お前も寝たら? 明日仕事休みなんだし。」
ブレインはワイングラスを少し回しながら俺に言った。
今飲んでるワインはどうやら口に合ったらしい、自然な笑みを浮かべている。
俺は頭を抑えながらブレインの横に立った。
「頭痛ぇ〜なんか目冴えた……おぉ〜すげぇ眺めだなぁ〜足竦むわ。」
俺は窓に手を付けて下を見た。
マジ怖い、この高さ。
「あっ、お前もう引っ越しの片付け終わったのか?」
俺は、下を見ないように、ちょうど見上げなければ見えないブレインの顔を見ながら、気になってたことを尋ねた。
「あぁ、だいぶ片付いたよ。元々持ち物少ないし。」
ブレインはまたいつものアルカイック・スマイルを浮かべて答えた。
俺は、ふぅ〜ん、という気のない相槌をうって外を見た。
やっぱり怖い。
「そっか。よし、今日はオールだ!? ジーニ起こしてこようぜ! 今日は寝ないで騒ぐぞ!」
俺はそう言って、ジーニの寝室に走っていった。
今思えば、俺はあの時大脳を犯されていたに違いない。
今後のためになったことは、酒は飲まない方がいいってわかったこと。
なぜなら、酒さえ飲まなければ、俺の身体は今こんなにアザだらけの状態でないはずだからだ。