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帰郷 4-5

頭が痛い……

日光の日差しが目に眩しい……こんなに朝が起きれないのって久しぶりだ……


「カロン兄ちゃん! 朝だよ! ご飯だよ!」


目を覚ますと、俺の上にミントが乗っかっていた。あまり重くはないが、思いっきり溝打ちに入っているのだが……


「はいはい……分かった。あぁ~頭痛い……」


ミントを俺の上からどけて、ベッドから下ろして上半身を起こす。

頭がガンガンするし、ちょっとだが吐き気もする……

ミントは俺の腕を引っ張って、1階のリビングへと連れて行こうとする。

あぁ……階段を降りる度に頭がガンガンする。

ミント、止めてくれぁ~


「あら、カロンおはよう。大丈夫?」


大丈夫って? この頭痛のことか? 原因不明の頭痛のことか?


「ん~頭がガンガンする……って言うか俺、昨日の夜なにしてた? 晩ご飯食べた後……からの記憶がない……」






確か昨日の夜は、母さんと叔父さんの奥さんの作った晩ご飯をみんなで食べた。

ジーニもブレインもシンパティーも母さんの料理を食べながら、思い出話をしていた。


俺も久しぶりに母さんの手料理を食べながらジーニたちの会話を聞いていた。


「おい、カロン! お前も飲めよ! 美味いワイン手に入ったんだよ!」


俺が料理を食っていると、叔父さんは俺にワイングラスを押しつけてきた。

うわっ、酒臭いっ!


「なんだよ、俺酒飲めないから……酒飲むんだったら、ジーニとかブレイン誘えば良いだろ。」


俺は酒に酔ったおっさんを押し返して、料理を食べ続ける。

しかし、叔父さんはしつこく俺に酒を飲ませようとする。

あぁ~全く、何で飲まなきゃいけないんだ……


「あぁ、五月蝿いな! 俺は酒は飲めないの! 一人で飲んでなさい!」


「まぁ、カロン落ち着いて。久しぶりにちょっとぐらい飲んでも良いでしょ。叔父さんもカロンと飲みたいのよ。」


シフォンはそう言って、俺の背中を軽く押した。

いやいや、だから俺は酒が飲めないんだって……


「そうそう、カロン。俺もカイさんと飲みたいし、カロンも少しぐらい飲んでも良いんじゃないか? これからきっと酒を飲む機会もあるだろうし。ここで慣れとけよ。」


ジーニたちはそう言って俺の肩を軽く叩いた。ってか、こいつらもうすでに飲んでる。

そりゃそうだけど……これから、軍で酒を飲む機会もあるかもしれないけど……


「はぁ~分かったよ……少しだけな。本当に少しだけだぞ……」


叔父さんからワイングラスを受け取り、ワインを飲む。やっぱり、酒はちょっと苦手だ。




そうだ……


「昨日、酒飲んだんだ……ってことは、この頭痛……二日酔いかよ……」


昨日どれだけ飲んだんだよ、俺……

二日酔いになるまで飲むか、普通。


「そうよ、あんた昨日お酒飲んで、そのままソファーで寝ちゃったのよ。ジーニ君達がベッドまで運んでくれたのよ。」


うわぁ~完璧汚点をあいつらに見られてしまった……

ダイニングの椅子に座って額に手を当てる。この頭痛はただの酒のせいだけではないみたいだ……


「おぉ~カロン起きたか。昨日は悪かったなぁ~お前があんなに酒に弱いとは思わなかった。まさか、お前があんなにベロンベロンになるとは……」


叔父さんはそう言って、外から帰ってきた。恐らく、山の仕事をして帰ってきたのだろう。

……ベロンベロンにしたのは叔父さんだろ。

叔父さんは、はははと笑いながら俺の肩を叩いた。まったく、このおっさんは……


「あぁ、頭が痛い……叔父さんのせいだぞ……」


ダイニングに突っ伏して、頭を抑える。すると、俺の前に水の入ったグラスが出てきた。ん?


「はい、二日酔いには水。大丈夫?」


俺の前に見ずを差し出してくれたのは、シフォンだった。

シフォンは俺の顔を覗き込みながら、心配そうな顔をしていた。


「サンキュー……大丈夫じゃねぇ……」


水を一気に飲み干し、袖で口を拭う。冷たい水がカラカラだった俺の喉に潤いを与えてくれた。


「カロン、とりあえずシャワーでも浴びてきたら? なんか汗掻いてるし……」


シフォンは俺からコップを受け取りながら、机に突っ伏す俺に話しかける。


確かに、寝汗を掻いた。

それに、昨日そのままソファーで寝てしまったなら、昨日シャワーを浴びてないことになる。

流石にそれは気持ち悪い。


「あぁ、そうするわ……よっこいせ……」


俺は重たい体を無理矢理動かし椅子から立ち上がる。

立ち上がったと同時に頭に鈍い痛みが広がった。

なんだか、頭の中に大きな鐘が鳴り響いて反響してるみたいだ。


部屋から着替えを取って、シャワールームに足を進める。

恐らく、今の俺の動きは亀と競いあえるぐらいのスピードだろう。



****



息子がフラフラしながらシャワールームに向かった。

シャワールームに行くまでに何回か壁にぶつけたのか、“痛っ”という声がリビングまで聞こえてきた。


カロンはお父さんに似てお酒が苦手で、すぐ酔っ払うしすぐ二日酔いになる。

カロンは見た目から体質まで、全部ロンさんに似てる。


「まったく、カロンは兄さんより弱いんじゃないか? 兄さんもあそこまでフラフラにはならなかっただろ。」


カイ君がタオルで顔を拭きながらため息をついた。


「まぁ、カロンはまだ24だし。」


私がパンを焼きながらカイ君に答える。


そう、カロンは今年で24歳になる。

子供の成長って、本当に早いものね。

ちょっと前まで、山で走り回っていたカロンが、今では立派な軍の軍人になってしまった。


あまり記憶にはないだろうけど、幼い頃から、父親であるロンさんみたいな軍人になると夢見ていたカロン。

ちゃんと、自分の夢を叶えている。


「あいつももう24かぁ~あぁ……カロンには悪いが、そうには見えないな……」


たしかに、カロンはロンさんに似て身長は低めで、童顔だからまだ高校生でも通じそう。




『薫! 俺の子供が俺みたいに身長が低かったら、どうすればいいんだ……もし、小さかったら、それは俺のせいだよな……あぁ~子供に申し訳が立たない。』




私のお腹の中にカロンがいるって初めて話した時、ロンさんは凄く喜んだ。

そして、すぐにこんな事を言ったので私は笑ってしまった。

そして、子供が男の子と分かったら余計に慌てていた。


ロンさんはカロンまでではないけど、身長は低かった。165センチしかなかった。

カロンは161センチぐらいかな?

カロンと同じで、軍の中では低い軍人ということでちょっと有名だった。

私は可愛くていいと思ってたけど、ロンさんは嫌だったみたい。



カロンが5歳になった時、ロンさんは軍を辞めた。

ロンさんのお父さんが山の仕事が続けられなくなったからというのもあるけど、ロンさんは私やカロンと離れて暮らすのが、相当嫌だったみたい。

それくらい、カロンに溺愛していた。ロンさんに似ていると言われる度に満面の笑みで喜んでいた。



カロンが歩けるようになったら、毎日山仕事が終わったら庭で日が暮れるまで遊んでいた。

カロンはロンさんと遊ぶのが楽しいけど、山仕事をしているロンさんが好きだったらしく、よく山に連れて行ってもらっていた。



『薫聞いたか!? カロンがさっきパパみたいになりたいって言ったぞ!? 俺みたいだって言ったぞ!』



話せるようになって、カロンはロンさんみたいな軍人になると言い出したのを聞いて、飛び跳ねて喜んでいた。

“早くカロンの軍服姿がみたい”って毎晩寝る前に言っていた。



でも、それは叶わなかった。


ロンさんは軍を辞めてだいたい一年経った時、流行病にかかりほんの数ヶ月で死んでしまった。

始めは信じられなかった。

あんなに元気だったロンさんがたった数ヶ月で逝ってしまうなんて……


ベッドの上で冷たく、固くなってしまったロンさんを見ていると、自然と涙が流れた。

そんなはずはない。

信じたくない。

受け止めたくない。

こんな現実あり得ない。


ベッドにしがみつき、泣き崩れる。

ロンさんが死んでしまった……

そんなの……イヤ……



『俺が……俺が母さんを守るから……だからもう泣かないで……』



幼い子供の声が部屋の扉の近くから聞こえた。

振り返るとカロンが一人扉の近くで立っていた。

まだ6歳になったばかりのカロンが泣き崩れる私の腕を掴んで、小さな声でそう言った。




「ぷはぁ~さっぱりしたぁ~頭痛も少し治まったし~」


髪を濡らし、Yシャツを羽織ったカロンがシャワールームから出てきた。

そのまま、ソファーにドンと寝転がった。

流石軍人、身体作りはしっかりしているみたいね。小柄だけど筋肉質で、本当にロンさんそっくり。

全く、今はこんなだらしなくなっちゃって……


「ほら、そんなだらしない格好でいるからシフォンちゃん困ってるでしょ? さっさと服着なさい。もうすぐご飯だから。」


私がそう言うと、カロンは“ふわぁ~”という何ともだらしない声を出しながらシフォンちゃんを見た。

シフォンちゃんは少し顔をそらしながらお皿を並べる手伝いをしてくれている。

カロンはそのままボーとして、Yシャツのボタンを全て締め、立ち上がった。


「ふわぁ~しょうがない……そう言えば、ナッツとミントはどこ行ったんだ?」


カロンは私の横に来て焼けたパンの乗ったお皿をダイニングに運んだ。


「二人は学校の用意してるわよ。」


この時間は二人とも制服に着替えたり、学校の用意なんかをするため二階にいる。


「あぁ~そうか。もう学校始まってんのか。」


カロンはダイニングに並べてそう言った。

まぁ、10月だもの。学校は始まってるわよ。


「カロン兄ちゃん!? ナッツがいじめる!?」


「違うよ! ミントが服引っ張るから!」


そんな話をしていると、二人が口喧嘩をしながら降りてきた。

ミントもナッツも制服姿でカロンに飛びついた。

カロンの背の高さだと、ナッツの頭の位置がちょうど鳩尾の高さ。ナッツの頭が見事に鳩尾に入ったらしく。少し顔を歪めた。


「何だ、朝から喧嘩かぁ? 元気だな、お前ら。」


カロンはナッツの頭を撫でながらそう言った。


「カロン君おはよう。大丈夫よ、二人は朝になるといつも喧嘩するんです。」


リビングにカイ君の奥さんのフィオナさんが下りてきた。

ミントちゃんはそのままフィオナさんの後ろからナッツ君に向かって舌を出している。


「なんだよ、兄妹は仲良くしなきゃ駄目だぞ。それよりさっさと飯食うぞ。」


カロンはナッツ君の頭を撫でながら椅子に座った。私は朝食を食卓に並べて椅子に着く。

簡単な朝食しか出せないけど、みんなで食べる朝食は美味しいものね。



****



「ねぇ、カロン兄ちゃんは今日どうするの?」


ナッツ君がカロンに質問をした。

私はカロンのお母さんから手渡されたパンを頬張りながら話を聞く。


「あぁ~ジーニたちと町に出ると思う。なんか用事でもあるのか?」


カロンはコーヒーを飲みながら答えた。今日は町に出るのかぁ~私も連れて行ってくれるのかな?


「今週末、街でお祭りがあるんだ。父さんはお仕事で行けないから、連れてってほしいんだ……だめ?」


お祭りかぁ~いいなぁ~

カロンはコーヒーの入ったマグカップに口を付けながら考えている。

お願い、OKしてぇ~


「うぅ~ん……しょうがないか……いいよ、連れてってやる。」


「やったぁ!!」


ナッツ君は両手を上げて万歳をして喜んだ。私も心の中で万歳。これで、お祭りにも行けるわね!


「まぁ、祭りなんて久しぶりだしな。シフォン、お前も行くだろ?」


カロンはサラダを頬張りながら私に聞いてきた。

そんなの……


「もちろん!」


私が行かないわけないわ!


今晩が楽しみでしょうがないわ~

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