魔の森
魔物を追い森に進む。
魔物の肉は臭くて食べられないが、ほっておけば人を襲う。俺の妻と2人の子は魔物にくわれた。
散々もて遊んだ挙句笑いながら食われた。
俺は3人を守れなかった。
その時の怪我が治ってからの俺は自分が抑えられず、酒に酔っては、あるいは酒に酔っていない場合でも周りに当たり散らかす人間になり、里からは離れた場所に暮らし、日々魔物を倒し生計をたている。
俺が荒れる原因を知る者の中にはこんなになった俺を心配し世話を焼こうとする者もいる。
里長は俺と同じように魔物に家族を殺されながら、
怒りを魔物にぶつけるよりも、里を守る道を選んだ。
そんな里長は俺をかばい諭そうとする者のひとりだ。
こんなになった俺さえも里の一員と認めてくれている。
だからこそ帰れないのだ。
俺はもう自分を抑えられない。わずかに残った味方に迷惑をかけられない。もう里からは離れるしかなかったのだ。
俺の評判の悪さが関係あったのかはわからないが、領主からの報奨金が下げられる事になった。
本当ね理由は魔物の王を倒す勇者への資金にあてられるからだった。その事を俺がしったのは報奨金の受け取り所で暴れ一晩牢屋にいれられた後の事だった。
俺は心が弾む。
ついに魔物達を滅ぼす時が来たのだ。
それは間違っていた。
ほとんどの魔物は斧をもった人間より弱い、勝敗は戦えるかどうかだ。逃げるものを追うことが勝利の秘訣であり、こちらが逃げなければ、向こうが逃げる。
本当の身体能力等関係ない。
なかなか逃げない相手もおり怪我は絶えないが、100以上の魔物を殺した。
斧ではなく怪我をしても逃げない事が俺の本当の武器であり、安全に治療できる場所があることが人間の強みなのだ。
今日出会ったその魔物は少女の姿をしていた。
俺の妻と2人の子を殺した魔物もそうだった。
人に化ける魔物は逃げない。人より圧倒的に強く、逃げるから負けるという事を知っているからだ。
しかし今日は怪我をしている。
「私は人間を襲いません。だから助けて下さい」
魔物はそんな事をいう。
ほとんどの人間だって魔物を襲わない。
俺のように一部の限られたものだげた。俺は魔物を追う。こんなチャンスに2度と来ないかもしれない。
あと一歩という所で俺の斧は弾かれる。
何者かの攻撃で俺は気をうしなってしまった。
後にそれが勇者だと知った。
勇者は俺の家族を救わずに魔物を救ったのだ。
勇者の仲間の女は身なりからして貴族様だろう。
俺の野蛮な行いを散々なじるが勇者様にたしなめら、その勇者様にまで文句をいっている。
少女の姿をしているとはいえ、魔物であり、魔物に友人、知人、家族を殺された者は多い。城壁に守られ、森から離れた都会に貴族様だから分からないのだろうが、人の上にたつものとさしては、思慮に欠けるし、里の皆も苦い気持ちを必死で隠している。
しかし里の嫌われ者である俺の言えたぎりではない。またひょっとすれば、若者はこの位、勢いがある方がいいのだろうか。
魔法の力でこの少女の姿をした魔物が本当に人を襲わない事も確認され、俺は2度とこの少女の姿をした魔物に手を出さないことを約束させられる。
そして俺は傷が癒えたあと勇者との約束を破り、魔物を狩りに行く。勇者との約束もあの魔物が人を襲わない事も関係ない。そして向こうも傷が癒えている事も。俺は魔物を狩らねばならない。
俺は魔物に返り討ちにあう。人に化ける魔物は怪我さえしていなければ並の人間では勝てないのだ。
魔物は俺に怪我さえさせずに拘束し里へ返すのだった。
勇者との約束を破った俺に里の皆は冷たい。
勇者様は里で生きる苦しみを知っているようだったが、仲間の女はそうはいかない。
俺はチラリと里長をみる。
里長はそれでも俺をかばおうとしている。
だからやはり俺は里を出ていく事を決めた。
今までのように少し離れた所に暮らすのではない。
この里は聖獣に守られている。
かつて勇者により命を救われた魔物は森に住み、勇者の立ち寄った里を守り続けている。
心優しき聖獣は勇者に合うきっかけとなった、怪我をした自分を襲った男のうまれた里を守り続ける。
男は里の嫌われものであり、里の皆はこの聖獣に優しく接した。
聖獣さ魔王との戦いが激化するなかで溢れ出た魔物を1000体は狩っている。
皆は里の守り神として崇め奉った。
ケガをした聖獣を襲った男は里を追われた後、どこかで魔物に食い殺されたそうだ。因果応報というものだろう。
骨も皮も何一つないが一応は生まれ故郷の里、簡単な墓だけは建てられる。一輪の花だけが供えられる。




