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おバカな婚約破棄

はっぴー婚約破棄

作者: た〜

「ポラリス、君との婚約を破棄させてもらう」

とあるパーティーの席上(きのえ)辺境伯の子息プロキオンは高らかに宣言した。

特に意味のあるパーティーではないが無駄に参加者は多い。突然の出来事に会場は静まり返る


「まぁ、本当ですの」


がしっ!

突然の婚約破棄にも関わらず、(こうぞ)男爵令嬢ポラリスは満身の笑顔でプロキオンの手を握る。


「ありがとうごぜいます!」


ぶんぶん

プロキオンの腕を上下する。握手にしてはいささか激しすぎる。


「はへ?」

渋られるとばかり思っていて、このあとあることないことポラリスの悪行を並べ婚約破棄の正当化をしようとしていたのに斜め上の反応に面食らう


「理由はやっぱり真実の愛にめぐり逢ったということですの?」

「あ、ああ」


あまりのことに思わず肯定してしまう。これでは自分が悪者である


ぶんぶん!

だが、しかし更に激しく上下するポラリス


「じつはわたくしもお慕いしている殿方がおりました。彼の方も憎からず思って頂いておりまして、駆け落ちしてでも一緒になろうと言っていただいておりました。でも、恩ある甲辺境伯家やプロキオン様を裏切るわけには参りませんので、叶わぬ恋と諦めておりました」


そんな事情があったのか。もっと慎重に身辺を探っておくべきだっただろうか


「ひょっとしてお相手は欅男爵令嬢のスピカさん?」

不意に問われる。なぜわかったのだ?顔に出たようだ


ぶん!ぶん!

上下する腕が更に激しさを増す。身の危険を感じるレベルだ

「とりあえず落ち着いて」聞いちゃいないようだ


「彼女は幼馴染ですの。プロキオン様のような方が好きな娘ですし、プロキオン様も彼女のような娘こそお好みだと思っておりました。思った通り、こっそりお二人が出会うように仕向けて正解ですたわね」

「まさか貴女が仕組んでいたのか」

「ええ、感謝なさってくださいね」

否定できないプロキオン


「実はわたくしの想い人スピカの兄上ですの。当然彼とも幼馴染ですね。紹介いたしますわ。彼が欅男爵の次期当主で幼馴染のプロキシマです。プロキシマ、このお方が()婚約者のプロキオン様です」

実直そうな青年が進み出る。

「お初にお目にかかります。欅男爵家のプロキシマです。妹からお噂は伺っております以後お見知りおきを。妹ともどもよろしくお願いします」

「そうなると、このままいけば君とも縁戚関係になるのか」


ぶんぶん!ぶんぶん!

いよいよ激しさも限界に達しようかという腕の振り。助けてくれ、腕が抜ける


「その通りですわぁ。ですからもちろんわが楮男爵家への支援も継続、いえ更に手厚くしていただけますわよね?いえ、当家だけが利益を享受するわけじゃございませんのよ。甲辺境伯家と我が楮男爵家、それに欅男爵家が力を合わせれば全員が発展すること間違いなしです」

「ああ、前向きに検討しよう」


ブンブンブン!!ブンブンブン!!

限界を超えた激しさで振り回される腕


スポッ!!


とうとう耐えきれなくなった腕がすっぽ抜けたところで目が覚める

「うわああぁ!!!」

またこの夢か。もちろん本当に抜けたわけではない


プロキオンは思い返す。実に幸せな人生だ

愛するスピカを娶り、子宝にも恵まれ孫も生まれた。

ポラリスが言った通り三家とも発展した。

全員が健康だし仲も良好なので、この幸せはこの先もずっと続きそうである


問題はあのときのの握手攻撃(!?)のトラウマが残っていて未だに悪夢にうなされることと、スピカのところに遊びに来るポラリスからプロキシマの惚気話やスピカが自分のことで散々惚気けるのを聞かされることだけである

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