3,入学式と入寮と可愛い同居人と
作者です
今更ですがこの作品、PCで読むことをお勧めします
※スマホだと横にしたほうがいいかも
朝の一件があって以来、やはりというかなんというか
ほかの奴らからは遠い目で見られている
王族にケンカ吹っ掛けたうえ、殴り飛ばした本人だからなぁ
でもそんな俺に自分から近づいてくるもの好きがいた
髪は金髪、目は赤眼、そして腰にレイピアを装着している
そう言って声をかけてきた
「はじめまして、僕はエトワール・ファン・トレモール、
今朝のアレ、すごいね
王太子殿下に馬になれと命令されたのに断って
まさか殴り飛ばすとはね」
そういってエトワールは握手をしようと手を出した
俺はその手を取り、握手しながら言う
「初めまして、俺はアスタロット・スフィー・ジェニック、
まさか声をかけてくるやつがいるとはな」
そういって笑ってやるとエトワールは笑いながら言った
「ハハハ!君はすごいな、まさか王太子殿下を気にするよりも先に
自分に声かけてきた人間に興味を示すなんて!」
そらぁそうだろう、俺にとっちゃどうでもいいことだしな
「王太子??んなもんどうでもいいんだよ
俺からすりゃなんでこんな…自分で言うのもなんだが
厄介者に首突っ込んできたんだ?ってなるわ」
そういうとさらにエトワールは笑いつつ、
俺に向かって言ってきた
「厄介者?何を言ってるんだい、君は英雄だよ
あの下民を見下し続けてきた王太子に拳を一発しっかり入れたんだからね」
へーそんな悪い奴だったのか
今の王に比べて随分とわがままに育ったものだな
「ふん、それより俺はストライカーズになるためにここに来たんだ
お前もだろ?」
そう聞くと彼はうなずき、答えた
「もちろんさ、さぁ僕たちも遅れる前にいこう」
「おおよ、行こう、エトワール」
コイツも俺と同じ夢を持ってここに来たこと確認できた俺は
エトワールとともに入学式の会場でもある大広間に移動していった
入学式後・・・・・
やっぱり先生に呼び出されました!
やったね!…ゼッタイなんか言われるやつやぁぁぁぁぁ
なんも悪いことしてないのに!!!
(心当たりしかねぇや…)
「アスタロット・スフィー・ジェニック君ですね
私と一緒に来てください」
彼の名はジャン・リエール・スパーダ
俺のクラスの担任であり、3年間お世話になる顧問教師だ
(第2学園は顧問教師とクラス担任に分かれており1年目のみ
クラス担任と顧問教師が一緒である)
一応、わかっちゃいるが聞いてみる
「ジャン先生~どこに行くんすか~」
「学長室です」
終わった
マジでか、いきなり初日に退学宣言⁉さすがに嫌だああああ!!
ああ~終わったあああああ
いくら力とクラス内外での活躍で評価が左右される第2学園といえど
さすがに王太子ボコすのはまずかったかああああ…
グルグルと頭の中で考えていたらもう着いちゃった…
先生がノックして
「学長、1学年目、バリアントクラスのアスタロット君を連れてきました」
ああ…バリアントクラスで今年頑張ろうって…思ってたのに…
(バリアントクラスは使う武器が特殊形状のクラス)
「入りなさい」
落ち着いている男性の声で部屋の中へ招かれた
「し、失礼します…」
ガクブルの俺
「学長、失礼します」
事もなく入っていくジャン先生
その学長は革張りの大きな椅子にどっかりと座り
何故か・・・・・・上裸であった
「なんではだかぁ⁉」
思わず突っ込みを入れてしまった…
「何故か?男は黙って肉体美を世に知らしめておけばよいのだ」
えぇ…何それ…
「学長、いいから服を着て早く彼に何で呼び出したか教えてください」
さすがにジャン先生も注意?してくれた
「そうだったな、ではそこの椅子に掛けたまえ、アスタロット君」
学長先生はそう言いながら学長室中央の平机と長椅子を指さし、
自分は上着を羽織りつつ俺の前に座った
「さて、私の名前はゴルディアス・ツキヨミ・ルーサー、
この第2学園の学園長をしている、今日いきなりここに呼んだ理由を
説明しよう、まぁお菓子でも食いながら話そうじゃないか
マーシー!アスタロット君にココアをジャン先生は…
紅茶でいいかな?」
ジャン先生は持ってきていた羊皮紙と羽ペンを取り出しつつ、言う
「もちろんです、茶葉はダージリンでお願いします」
ゴルディアス学長は部屋の奥に声をかけた
「マーシー!ジャン先生の紅茶はダージリンで入れてくれ!
俺はアスタロット君と一緒のココアだ!角砂糖を必ず10個
必ず入れてくれ!」
マーシーと呼ばれた秘書?は奥から声をかけてきた
「学長、声がデカい、ちゃんと聞こえてますよ」
そうぼやきつつトレーに人数分の飲み物と焼きたての
ワッフルを乗せた女性が奥から出てきた
耳が…長く、身長がデカい…んでもって美人な方だ
その俺の物珍しげな視線に気が付いたのだろう
ゴルディアス学園長が説明してきた
「彼女はマーシー・ルカルサ・ショーン、私の秘書官兼、この学園の副学長だ
見てわかる通りエルフ族だ、私の嫁だ」
嫁さん、同じ職場で働かせていいんか?
「その顔は一緒の職場でいいのか?と考えておるだろうけどな、公表してないだけだ」
なるほどね
そのマーシーさんが自己紹介をしたのちに学長の横に座った
「マーシー・ルカルサ・ショーンと申します
学園長からも紹介があったように副学園長をしています」
座ったままではあるが俺も頭を下げ、挨拶をする
「アスタロット・スフィー・ジェニックです
この度はご足労をおかけしました」
俺はレディーファーストなんだよ
やはり学長が突っ込んできた
「オイオイ、俺には建て前みたいな挨拶はないの?」
あるわけねぇだろ
ひきつった顔で少しの笑顔を見せておいた
男なんぞこれで十分だ
学長とジャン先生はまあいいかという顔をした後、
学長の説明と言ってしまえば尋問が始まった
「・・・・・つまりだ、君は登校初日に相手の立場を知ってはいたものの
自分の理念というか信念に基づき、攻撃に出た
ということかな、あっているかな…」
学長先生は何故か頭を抱えながら何度も俺に事実確認をしてくる
・・・・・まさか先生・・・・頭悪い?
もう2時間近く同じ質問と説明してんだけど…
マーシー先生がさすがにブチ切れた
「あなた?いい加減にしてください、後で説教です
いい加減話を一回で理解するようにしてください
新入生の場合、もうみんな入寮も済ませて各々の時間を過ごす時間ですよ」
秘書官だからこその理解力と聞いた話を文章に起こす力が強いからだろう
さすがに学園長ももういいと感じたのだろう
それよか奥さんの説教のほうが怖いのだろう
「ああ、すまない、時間をかけすぎたな
ジャン先生について君の寮まで送ってもらいなさい
そこで本来受けるはずだったこれからのことなどの説明を受けるといい」
そう言いながら首根っこをつかまれてマーシー先生に引きずられていった
最後に一言言いながら…
「た、助けて…」
そんな学長先生を見てジャン先生は一言
「いつもの光景です、見慣れたほうがいいかと
それからアスタロット君、今朝の話ですが王家からの命令で不問となりました
気にしないで大丈夫ですよ」
一番聞きたかったことは結局学長は教えてくれなかったがジャン先生が教えてくれた
羊皮紙と羽ペンを片付けた先生は立ち上がり
「さて、時間も大きくずれたことですし、あなたの寮に行くすがら、
いろいろ説明していきましょうか、では行きましょう」
そう言って部屋を出ていく
俺は置いてかれないように急いで追いかけた
追いついたのを確認した先生は一枚の羊皮紙を俺に渡しつつ説明を始めた
「さて、これからの学校生活ですが今渡した紙に書いてるように
月曜日から金曜日までが基本的な授業や実戦練習といったものです
土日は学校休みです、校舎に入ることはできませんが学校の施設である運動場や
バトルドームといったものは使用可能です
バトルドームについては来週の月曜日…といっても二日後ですが説明を初の授業で
しますのでご安心ください、ここまで取り敢えず大丈夫ですか?」
な、長いぜ、説明がよぉ…
でもとりあえずはここまでは分かった
「大丈夫です続けてください」
すごく棒読みになった
先生は少し笑うと説明を続けた
「フフ、まぁいきなりたくさん説明されても困るでしょう
今日とりあえずここで覚えておいてほしいのはあなたの寮のことと
魔法適正の件についてです」
魔法適正の件はなんとなくわかるが寮のことについては何かあったのか
先生は説明を続ける
「さて魔法適正の話からです
これについては今から寮に行く前に職員室で鑑定します
ほかの皆さんはもう終わっているのでね」
あ、なるほど…とりあえず自分の属性がわかるのいいことだ
武器によって決まっていたりもするが俺はサイスだ
きっと母さんの凍結か親父の火炎だろう
先生の言っていた職員室に到着し
「ここで待っていなさい」
の指示のもと待っていると成人男性の拳二つ分くらいの大きさの水晶を
持ってきて目の前に置いた
「これに触れて、自分の可能性を信じて力を込めて」
言われた通り、水晶に触れ、自分の未来を、可能性を信じて力を込めた
すると水晶が・・・
バキ・・・・
真っ二つにヒビが入ったうえ真っ黒い状態になっていた
「なんだこれ…」
先生は珍しいもの見るように言った
「ふむ、あなたの属性は*呪殺*ですね
珍しく、強い、使いこなしてみなさい
この学園にいる3年間で」
先生はそう言って俺に笑いかけた
水晶を片付けた先生を待ち、改めて俺の寮に向かう
「さてもう一つのほうのお話ですがあなたの寮の同居人に関してです」
はて、同居人?
入学説明では男女関係なし、武器相性の良し悪しの有無で同居人が決まることは
聞いてはいたが(時たま男女混合とも聞いていた)どういうことだろうか…
「一発で言いますと、あなたの同居人はラミア族の女性です
名前を{ラクネア・シャイ・フォルテ}といいます
彼女もまだあなたとの共同生活における説明を受けてませんので
あなたと一緒に説明します」
女性…女ぁ⁉
思わず突っ込みを入れる
いや、入れざるを得ない
「女性と同居ってどういうことです⁉
さすがに説明会での事例として男女で共同生活を送るとは聞いてましたが
どういうことです⁉」
先生は何食わぬ顔で言った
「事例としてある以上、毎年やはり何組か出ますのでね
今年はあなたたちのペアになったということですよ
まぁあとは卒業後、ストライカーズになった際男女混合作戦なんていくらでも
ありますからね、羞恥心消すためにも混合ペアにならなかった人たちも
2年目の春から部屋替えで皆混合になります」
へ、へー
マジかぁ…俺女性経験ないぞ…しかもラミア族⁉
…どストライクじゃねぇか!
ま、まぁそこはいいとして…少しでも仲良くなれたらいいけど…
とりあえず先生についていく
どんな相手か想像しながら先生にくっついて寮についた
先生が玄関に入り、寮長と呼ぶべき人なのだろうに話しかけている
「ロックスミス君、遅くなって申し訳ないね、彼が最後の一人だ」
ロックスミス、と呼ばれた男性は杖を突きつつ椅子から立ち上がった
「やぁ、ジャン先生、彼が例の子かな?」
例の子…結構話がデカくなって色んなところにいってるのね…
ジャン先生は答えた
「そうさ、彼の名前はアスタロット・ソフィー・ジェニック
珍しく呪殺に目覚めた有望株だよ」
ロックスミスは俺に目をやり、面白そうなものを見る目で言った
「ふーん…呪殺かいいね、とてもファンキーだ
僕の名前はロックスミス・シェイル、ここの寮長をしている
リストブレイドが適正武器だから近接戦闘でわからなかったら俺に聞きに来な?
最高にファンキーに教えてやるよ」
ふぁ、ファンキー…
自己紹介された以上、俺も自己紹介をする
「アスタロット・ソフィー・ジェニックです
適正武器はサイス、変形機構での形態はまだ知らんのでわからんです
近接戦、わからんことあったら聞きに来ますね、ロックの兄貴!」
ついつい、実家にいたときによくしてもらってた
年上のお兄さんと同じ呼び方しちゃった…
それを聞いたロックの兄貴は嬉しそうに言った
「初対面でそう言ってくれるかぁ!うれしい奴だな
お前の部屋は三階の25号室、連れさんはもう待ってるよ」
そういいつつカギを渡してきた
カギを受け取った俺を見てジャン先生が歩き出す
「アスタロット君、では部屋に行きますよ、あなたの武器もあるはずです
それから同居人に挨拶と説明もしなくちゃですね」
そう言いながら先に階段を登っていく
俺もカギと簡単な荷物だけもち一緒についていく
ロックの兄貴が後ろから声をかけてくる
「アスタ!お前の荷物は先に部屋にぶち込んである!いい学校生活をなぁ!」
「ありがとう!ロックの兄貴!」
先生に追いついたときにはもう先生が部屋についていた
「先生、早い…」
こっちは結構急いだのに先生は何食わぬ顔で一言
「早く中に行きましょう」
カギを開け中に入りながら先生が声をかける
「フォルテさん?どこにいます?同居人連れてきました」
そう声をかけると何故か天井から…ズルズルという何かを引きずる音と共に
彼女が降りてきた
「あらジャン先生、彼がそうなのね?あら、この子…」
彼女は…白髪に灼眼、背中を大胆に開けた黒い服を着ていた
どちゃくそ俺のタイプな女性がいた、見とれちまった…
引きずる音の正体は彼女のしっぽだった
先生が近くにあった椅子に座りつつ説明を始めた
「さて、お二人ともそろったことですし、この寮での生活と
学校に関しての簡単な説明をします」
そういうと懐から(どんだけ入れてんだ)新しい羊皮紙を渡してきた
そこには簡単な一日の日程と学園での禁止事項、寮での禁止事項などなど
それをフォルテ?さんとその紙を見つつ先生の説明を聞く
「さてと、まぁ自己紹介とかは後からで、今はとりあえず私の話を聞いて、
覚えておいてください」
俺と彼女はとりあえずうなずき、先生は説明を続ける
「さて、学校生活ですが、1週間のうち月曜から金曜の5日間は
授業や実戦型目標の課題、そして少し先になりますが
実際にストライカーズに同行し、任務の1隊員として動きます
そこでの動きに準じてあなた方の評価をします」
ふむふむ、第1学園と平日は一緒らしい
「第1学園との違いは実際に武器を使用し、怪我の確率が上がります
最悪の場合、死につながるので気を付けてください」
うわぁお、マジかぁ
「さて、これが先生からの説明はこれで最後です
寮の使い方ですが基本何をしてもいいですが
夜間は出来るだけ騒がないように、あなた方の部屋は角部屋で下には何も
ありませんのでお気をつけて」
長い説明をした後先生は
「それでは、お二人ともいい週末を」
そういった先生は何故か小躍りしながら帰っていった
それを確認した俺とフォルテさんはお互いに自己紹介することにした
「俺の名前は聞いた通り、アスタロット、
本名はアスタロット・ソフィー・ジェニック
アスタって呼んでくれ
魔法適正は呪殺、これからよろしく頼む」
そう言って握手のために手を出した
その手を握りながら彼女が答える
「ラクネア・シャイ・フォルテよ、種族は見てわかる通り
ラミア族ね、それにねラミア族は
あなた達ヒューマンと違って苗字と名前が
反対なのよ、ラクネアなんて呼ばないでね?
他人行儀はごめんだわ」
そうか、種族よって名前のしきたりも違うわけか
お互い握手を解いた後、簡単なルールを作った
1つ、お互いの寝台には近づかないこと
2つ、ラミア族は朝がどうしても弱いためその時は手伝うこと
3つ、もし彼氏彼女がお互いにできても寮には連れ込まないこと
4つ、出来るだけ部屋をきれいに保つこと
もっと詰めたルール事は明日なり今度決めようということになった
フォルテさんは
「さんなんてつけないでね?3年間一緒なんだから!楽しくいきましょ!」
とすごくフランクに接してきた
あの…さすがに近いっす…いろいろくっついちゃうからぁ⁉
夜も遅くなってきた
俺は自分の荷物をほどかなきゃいけないし…
ということで
「フォルテ、今日はありがとう、俺は自分の荷物もあるし
先に寝台のほうで休むよ、明日の朝からまた頼む」
そう言いながら自分の寝台へと向かった
フォルテも
「わかったわ、明日の朝いろいろやってもらうことあるしね
おやすみなさい」
そう声をかけられお互いの寝台に向かっていった