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2、いつもの光景と学園と

「バカアスタ‼出てけ‼」

ドコォ!

ゴロゴロ…

「痛てぇ…あんのくそ姉貴め…容赦なく家の中で魔法打ちやがって」

転がりぶつけた頭をさすりながら俺は立ち上がった


俺の名はアスタロット・スフィー・ジェニック

歳はあーたしか17歳、来年18歳で成人する、世間的にはな

家族や親しい奴らは俺のことをアスタと呼ぶ

今俺を吹っ飛ばしてくれたの姉貴の

ルシフェルド・アームストロング・ジェニック

(皆からはルーシーと呼ばれている)

歳は21歳、彼氏なし、剣星大会で優勝経験ありの超パワフルな姉である

剣星大会?魔法と剣の2つの力を使い、その地域や国、学園などで行われる

俗にいうイベントだ

姉貴の場合、学園と地域大会での優勝経験もち、今考えてもヤベェ姉貴だ

俺?俺は魔法が使えない、正確には使わせてもらえない

なんでかって?そりゃ第2学園に入学してないからだよ


朝は悲惨だった、寝起きの時にシャワーを浴びて頭をすっきりするのが

俺のルーティンなんだが悲しいかな、うちには風呂が1つしかない

うっかり姉貴が入ろうとしているとこに入っちまったんだ

そこまではまだいい、家族だから仕方ないね~で終わる話だし

俺が一言、

「悪い」

っていえば終わるはずだったんだが…

寝起きの俺は言っちまったんだ、姉貴のコンプレックスを

「朝っぱらからそんなお子様体系の貧相な体見せてんじゃねぇよ」

てね、バカだよなぁ…

結果、姉貴の特異な風魔法を食らって無事頭強打だよ

ちくしょう、今年から第2学園に入学だ、今に見てろ

仕方ねぇ風呂は諦めて親父と母さんと一緒に飯にしよう




「おはよう、親父、母さん」

俺はリビングの椅子に座りながら2人に挨拶をする

「ああ、おはようアスタ、朝から悲惨だったな」

「あらアスタちゃん!おはよう、今日もご飯しっかり食べてね!」

もうすでに椅子にすわり毎日届く王国新聞を読みながら親父が朝のことを

いいつつ、母さんが朝飯を出してくれる、いい朝だ、毎日の光景だ

「お、今日は俺の好きな目玉焼きだ!」

朝飯に自分の好物の卵料理があった、最高だ

「そうよぉ、今日はアスタちゃんの学園生活用のものをお父さんと私とで

買いに行くからね!もちろんアスタちゃんも一緒よ?」

ん?今日行くのか、入学が2ヶ月後にせまり、入寮準備、書類提出をし、

あとは買い物だけったからなぁ、まぁ今日は暇だしいいや

「いただきます」

飯をかき込みつつ、今日のことを考えてたら親父が声をかけてきた

「アスタ、今日の買い物だがな、お前の武器も見に行くぞ」

ブハ‼

やべ、つい吹き出しちまった

「汚いわよアスタちゃん」

母さんに注意されちまった

「ごめん母さん、それで親父!ほんとに武器も買いに行くのか⁉」

親父は新聞を相変わらず読みながら言った

「そうだ、俺がいつも世話になっている武具屋に行くぞ、武器適正を調べてもらう

魔法適正…は学園で調べるからいいとしてお前の武器適正を見てもらって買う」

やったぞ、ようやっと俺にも専用武器が!!

第1学園のころからずっとほしかったんだ

第1学園ではこの国の情勢や法律、俺たちが戦わなければいけない敵や

気を付けなければいけないこと、常識を学んだ

(むろん、体力強化やトレーニングは必修科目だ)

ちなみにこれは14歳から17歳までの3年間だ

「ありがとう、親父!」

俺は礼を言いつつ飯を食い切り

「外出る準備してくる!」

「ああ、1時間後に家の前の門で待機するように」

「わかった!」

元気よく返事をし、俺は部屋に戻る

もちろん外出するための準備するためだ

俺は武器が好きだ、親父がよく家の庭で自分の武器である大型ランスを振り回してるのを

いつも見ていた、かっこよかった、憧れの姿だった

第1学園では一切の武器が触れなかった

むろんこれには意味がある

俺はストライカーズになるのが夢だ

(ストライカーズはこの国の男女が基本的は目指す職業である)

ストライカーズになるためには第1学園に合格し、さらに第2学園での

魔法適正、武器適正を明確にし戦闘訓練を積み、初めてストライカーズになる

名前の由来は知らない、ただ第1学園ではなぜ存在するのか、

何のためなのか、それを習った

ストライカーズはそれぞれ武器が違う

1人ひとり全く違う武器だ

親父は大型のランス、姉貴のルーシーはダガー

母さんは武器適正がないが魔法適正が高かったために医療魔法術を習った

そう、武器適正がないとストライカーズになることはできない

皆そこで自分の職業を見つめ、考え、人生を歩んでいく

第1学園で武器が触れなかったのは下手な型や体を壊すことを

危険視されてるためだ

実際、武器に使われている素材の一つに魔石を使用しているため成長阻害を

起こしたり突然変異を起こし、死亡する例も少なくない

わくわくもすげぇが冷や汗も搔き始めたぜ…

シャワーをあらためて浴びに行き、服を着替え部屋から出ると姉貴が出待ちしてた

「んだよ姉貴、朝は悪かったな」

とりあえず謝っておく、また魔法食らうの嫌だしな

姉貴が腕を組んだままこっちを見ながら聞いてきた

「アスタ今日武器適正見に行くんでしょ?」

「そうだよ、それがどうした」

なんか言いたそうだったから聞き返してみた

「…いや、あんな可愛かったアスタがおっきくなったなと」

「もう17だしな、姉貴には昔から感謝してるよ」

「そんなこといいから行ってきなさい…武器触って死んだら笑ってあげる」

…やっぱくそ姉貴だった





姉貴と会話を済ませ家の門の前までやってきた

もうすでに親父と母さんが待っている

「遅いぞ、アスタ」

「行くわよ、アスタちゃん」

二人ともうれしそうだが、少し難しい顔をしている

そりゃそうだ、下手するとストライカーズになる事はおろか死ぬかもなんだし

俺は元気よく親父と母さんに言う

「二人とも、大丈夫だって!俺は必ず親父みたいなストライカーズになる!」

そう言うと親父はニヤッと悪い顔をして言った

「俺を目標にするならせめて超えろ、そんでもって可愛い嫁もらいな」

母さんも笑う

「あらやだ、お父さんったら、新兵のころ私と会った最初の時はガタガタ震えて…」

「やめてくれそれ以上は」

「マジかよ今はこんなにしっかりしてるというかスゲェ強い親父が⁉」

俺は驚きのあまり親父を見てしまった

親父は先に店に向かうために歩き出した

きっと照れてるんだろう

「さ、さっさと行くぞ!」

「あ、待ってくれよ!親父!」

俺と母さんは親父を小走りで追いかけていく




「ここが俺がいつも武器のメンテナンスやその他もろもろで

お世話になってる店、<ニコルソン>だ」

街並みを軽く歩き、路地に入った先に<ニコルソン>と書かれた看板がある店についた

ギィィ…と軽い音を鳴らしながら親父が先に入っていく

「ニコルソン!息子の武器適正を見てやってくれないか!」

そういいながら奥に入っていく親父を見送りながら

俺は店の中を興味深く見まわしていた

母さんは

「お洋服見に行きたいの!」

と言ってちょっと前に分かれた

いろいろな武器がある

鞭、ロングソード、ショートソード、ダガー、カタナ、

さらにはなかなか見ない形状の武器も

「なんだこれ…デカい…カマ?」

俺は壁に掛けられた一本のカマに目が行った

気づかぬうちに手が上がり触ろうとした時だった

「そいつはサイスっていうんだよ、坊や」

後ろから初老の男性が声をかけてきた

「この武器の種類の名前か?」

俺は振り返りつつ聞いてみた

「そうだ、そしてわしがこの店、<ニコルソン>の店主

ニコルソン・ヴァン・ジャックじゃ」

「…爺さんにしてはムキムキすぎねぇか?」

そこには顔と体が…なんというか、顔はジジイのくせに

体はめっちゃマッチョマンがいた

ボコ!

「痛いじゃねえかよ、なにすんだ親父」

いつの間にか後ろにいた親父に殴られ怒られた

「もっと丁寧に話せ、ニコルソン、こんな息子だがよろしく頼む」

親父が頭を下げて頼み込むのを見て俺も頭を下げた

「すんません、おねがいします」

ニコルソンは愉快そうに笑っていった

「フォフォフォ!良かろう、さて、武器の適正確認じゃな?ちょっとまっておれ」

そういってある丸い球というか水晶?のようなものを持ってきた

「それで俺はどうしたらいい?」

その球体を見つつ俺は聞いてみた

ニコルソンはにこりと笑いながら至極簡単そうに言った

「簡単じゃ、この水晶体に手を乗せよ」

へーすげー簡単だな

言われた通り、手を乗せてみた

その瞬間、俺の腕になにか模様が出てきた

そして頭にはビジョンが見えてきた

そこには…サイスを持った俺?俺なのか?がなにかと戦っている

敵には羽が生えてるまるで鳥ような…

俺?にも羽が生えてる、まるで爬虫類のようなうろこが生えた羽だ

なにかはわからねぇ

でも、いつか会う気がする

ビジョンが消え気が付くとニコルソンのジジイと親父が

不思議そうにこっちを見てた

「大丈夫か?アスタ」

「坊主、どうした?」

二人にはビジョンのことは言わないでおこう

「何でもない、ちょっとびっくりしてた」

右手と左手に新しくできた妙な模様を見ながら俺は聞いた

「それで?俺の適正は?」

わくわくしながら聞いてみた

「サイスじゃよ、蛇と月に見染められたか」

サイス…悪くねぇ

親父が喜んでる

「よかった、これでもう大丈夫だ」

確かにもうストライカーズになるためのステップは踏めたということ

そしてなおかつここから先は自分の力で上がってはいかなくてはいけない

「じいさん、頼みがある」

多分予想はついてるであろうニコルソンのじいさんに言った

「俺のサイス、作ってください」

「ええよ」

「めっちゃ軽くOK出したなおい!!」

思わず突っ込みをぶち込んでしまった

ほんとにいいのか?スゲェ疑い掛けるぞ

「ニコルソン、ほんとにいいのか?」

親父も聞いてきた

ニコルソンはニヤッと悪い顔で言った

「わしの工房ではな、今までランスやダガーといったもの、言ってしまえば

直線型の武器しか作ってないんじゃよ

だから、楽しみなのはおぬしだけではいぞ」

「本当か!ありがとうニコルソン、俺のランス共々、これからよろしく頼む」

親父が俺の礼を言う前ににっこにこで言ってしまった

「ニコルソンの爺さん、俺のサイス、いや俺の相棒を頼む」

俺は頭を下げ、改めて礼をいう

ムキムキのジジイ…もとい、ニコルソンは笑顔で答えた

「安心せい、お主の第2学園入学までには作り上げてやる

入学式のあと、お主の寮の部屋に届けてやろう」

そう、俺は姉貴と違い実家から学園に行くわけではなく寮で生活する

2ヶ月後、俺は入学する

「それじゃ、ニコルソン、後は頼んだぞ」

親父はニコルソンにそう言うと

「アスタ、母さんがほかの入学用のものを買って先に帰っている、

俺たちは今日、武器適正を見に来ただけだ、帰りに軽く飯を買って帰ろう」

親父はそう言って先に店から出て行った

俺はニコルソンに挨拶をし、店を出ようとしたが唐突にニコルソンに呼び止められた

「まて坊主」

「ん?なんだよニコルソンの爺さん」

そして衝撃的な一言を言った

「お前は蛇と月に見染められし者、学園では魔族や亜人といった色んな人と出会うだろう

だが気をつけろ、蛇に由来を持つものに相当執着されるだろう」

なんだそりゃ?

もちろん、第1学園で俺たち人族、つまりヒューマンである俺たちとは違う人たち…

がいることは知っているが、まさかねぇ…

「なんだよそれ、蛇に由来?ゆかり?を持つものに執着される?」

さっきまでニコニコとしてたニコルソンのジジイの顔が真剣だった

「そうじゃ、気をつけろ、いろいろ苦労するじゃろう、だからこそ強くなれ

あの親父殿のようにな」

親父のように…か

「ありがとう、ニコルソン、これからよろしく頼む」

そういって、俺は今度こそ店を出て家に帰った






あれから2ヶ月後


俺は今学園に向かう馬車に乗っている

おおよそ3時間前、家を出た

親父も母さんも送り出してくれた

母さんは涙ぐんでたな

親父は柄にもなく泣いていた

「がんばれよ、アスタ!俺より強くなれ、長期休暇は帰ってこい

ルーシーのように魔法で毎日帰ってくるなよ」

「アスタちゃん、ご飯食べたくなったらいつでも帰っておいでね!」

2人とも背中を押してくれた

そろそろ学園につく時間だ

もう、学園のシンボルともいうべき大きな門が見えてきた

キキィ…

馬車から降りて周りを見てみる

周りの馬車からもどんどん人が降りてくる

すでに武器を持ってるもの、めちゃくちゃ華やかな服を着ているもの

美男美女もめちゃくちゃいる…

俺ほんとにこの学園で3年間生きていけるかな…

その時、ほかの馬車より明らかにきらびやかな馬車がきた

そして…俺の嫌いなタイプの人間が降りてきた

「ワタクシはアンソニー・フォン・ダルシア!このダルシア王国の

第1王太子である!そこの愚民、馬になれ!」

ちょうど近くにいた俺を指さし、いきなり馬になれときた

ふっざけんな

スタスタっと歩いて近づく、むろんほかの周りの奴らはどうしたものかと

見てはいるが助けようとするのはいねぇ、まぁそんなもんだろうなぁ

自分からトラブルに首を突っ込みたいってバカはいねぇだろうからな

だが、ここは実力と運と力が交差する場所、地位も、力も、部下も

己の手で手に入れなくてはならない

これは第1学園でも言われてたことだ

ならば俺はどうするか

答えは一つだ




「お断りだくそ野郎!」

バコォ!

腹パン一撃、これに限る!

「ぷげらぁ!な、何をする!」

なんかスゲェ悲しい声出しているな…ほんとに王太子か?

てかなんだぷげらぁ!って…てか第1学園で一回も殴られたことないのか?

てかそもそも、王族ってこんな学園に来るもんなのか?

まぁいいや

「んで?何をするって?何わかりきった事言ってんだ?

俺は馬になる趣味はねぇ、しかも男のなぁ?」

アンソニーとやらは地面にしゃがみ込み、涙目で俺を見ていた

そして叫んできた

「わ、ワタクシは王太子だぞ‼こんなことしていいと思っているのか!」

何言ってんだコイツ

「ここは第2学園だ、力が己の価値を見出す場所、てめぇのその

薄っぺれぇプライドなんぞ捨てちまえ、じゃねえと…


死ぬぞ?」


かるーく脅した後、そいつは首を縦にブンブンと振りながら

一目散に学園の中に入っていった

俺も入学式に出席するために学園に入っていく





「あの子…いい子ね」

俺は気づかなかった

例の<蛇に由来を持つ者>にすでに見られ始めたことに


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