おもちゃ
校門に出ると長田さんが自動車の準備をして待っていた。飛鳥ちゃんは長田さんの元へ一目散に走っていった。といっても数十メートルの距離なので歩いてもすぐにたどり着ける。
「長田のおっちゃん〜。昨日に続きおおきに~」
「昨日はお疲れだったって聞いたけど、若いから回復が早いんだろうなぁ」
「キャピキャピの学生やからな〜。連チャンも余裕余裕」
飛鳥ちゃんは寮長の長田さんと仲が良い。転入初日で入寮したときから意気投合していた。私達が車にたどり着く頃には、飛鳥ちゃんは助手席に座っていた。ここから見ていたけど、慣れた様子だった。
残り3人は後部座席になる。どこに座るかだけど、私はもう決まっている。
「私は酔いやすいから窓際にしてほしいかな」
依頼のために支障はきたしたくないので、迷わず決めた。
「私も窓際が助かります。長田さんの運転は信頼していますが、それでも酔いやすいんです……」
日和ちゃんも窓際が決定。
「…僕はセンターだね…」
赤阪くんも窓際が良かったんだね。こういうのは早いもの勝ちだよ。赤阪んに悪いけど、私も必死なの。
全員が乗り込んだところで車を発車させた。
魔素エリア 城塞都市跡地
白いオーブで全身を隠している魔族シラサギは、研究室で人間を使った実験を行っていた。
「本当に、もう、勘弁してく、れ…」
ベットで拘束された全裸の男性がかすれた声で命乞いをする。ただ、命を助けてほしいわけではない。早く殺してくれという意味である。シラサギはギリギリ殺さない実験を繰り返してきた。
「んふふふふふふふふふふふ。我々は人間のことを知らないと生きてはいけませんからね」
シラサギの指は鋭利なナイフでできている。
シラサギはその指で人間の体を生きたまま切る。悲鳴を聞いて悦に浸る。身体を切って内臓を取り出し観察する。やりすぎると死んでしまうので、内臓を戻して回復魔法で全快させる。死ぬほどの激痛を何度も何度も何度も味わせる。被験者の男性は何度も何度も涙を流している。
「ぎゃゃあぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!」
シラサギの手に持っているのは肝臓だ。
「これが人体の内臓ですか。さっき腹を割った時に出てきた長い管が気になりますな。これはなんという臓器でしょうか。んふふふふふふふふ」
この繰り返しで長時間内臓を取り出し、目玉を切り抜き、舌を抜く。
シラサギが次に目をつけたのは頭であった。
「さてと、お次は知識の要である脳を見てみましょうか。んふふふふふふふふふ」
シラサギのナイフは額を割くように切った。その直後銃声が響いた。直後、男性は動かなくなった。
「やれやれ、邪魔をしましたね、鶴見さん」
「もう良いだろ。そのへんにしとけよ」
鶴見は苦痛の男性を開放した。回転式拳銃で頭を撃って一撃で終わらした。