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大陸鉄道の死神〜【二重人格】で【一時間しか動けない】異世界諜報員は復讐のために暗躍する〜  作者: 佐渡の鹿
第一章 【ウォーレン連合王国動乱 ー大陸暗躍編ー】
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14.【革命の乙女2】

 春ニ達は会場の一階、客席の前方の客席へと案内された。

ステージ全体が見渡せる上に役者の表情もはっきり見える特等席だ。


「あの春ニ様。本日は連れてきてくださってありがとうございます。」

「こちらこそお見合いだったのにわがままを言って連れ出して申し訳ありません。」

「いえ、そんな。私こそわがままばかりで・・・あっ、始まるみたいですよ。」

 

 突如会場が暗転する。

床が震えるほどの太鼓の音が響く、そこへ軽やかなトランペットの音やバイオリンの音が重なると幕がどんどんあがる。


「かつて勇者は異なる世界より舞い降りた!!仲間と共にこの世を正し、魔王を葬った!!」


 暗闇の中に声が響く。


「魔力が無くなりし世界で国々が欲したのは、有望な魔術師も魔法技術でもない。

領地とそこに住まう人々の力を欲したのだ。

支配者達は人々に労働と重すぎる税を背負わせる、その上にふんぞり返って贅沢のかぎりを尽くしているのだ。

やがて魔法技術に代わる技術が現れて、民達が力をつけ始めた。

それを恐れた支配者達は極悪非道な手を使い、抑え込もうとしている。」


「そう!!かつての魔王のようにだ!!」


 舞台が照明で照らされるとと一人の女性が旗を持ちながら声を張り上げた。


「今こそ!!民が立ち上がるのだ!!自由を手にするために武器を取るのだ!!我らこそが次の勇者なのだ!!」


 歓声が上がり、観客は舞台に引き込まれるように熱中しだす。


場面は流れるように切り替わっていく、歌に合わせて演者達が歌うように物語を紡いでいく。

忍さんの方は舞台に釘付けみたいだ。


 俺は自分の装備を確認しながら周囲を見回す。

内ポケットには投擲用のナイフが三本のみ。


 抜け出すタイミングを探すためにとりあえず舞台を見続ける。

演劇は進み、舞踏会の場面が始まった。


 俺は絶句した。

舞台の脇で()()()()()が顔を真っ赤にしながら声を張り上げている。

真っ赤なドレスを着てクルクル回るナトレと緑のドレスを着て歌っている先輩。

(なんで舞台に出ているんだよ。)


「あーなんて美しいお姿なのかしら。あの女騎士団長様はとてもお美しいわー。」

「本当にそうですわー。一曲踊っていただきたいですわー。」


 そう言いながらくるくると回って舞台袖へと去っていく。

場面が切り替わり、物語は山場へと近づいていく。


 また劇場が闇に包まれる。

会場の脇の通路から出て控室方面へと入っていく。

(戦闘の場面に入る、仕掛けてくるのはここだろう。)


 衣装部屋に入り適当な衣装を漁ろうと扉を開ける。

一般軍兵の制服とライフル銃を手に取ると部屋の脇で縛られている男がいることに気がつく。


(おそらく劇中で殺しにくるか・・・ならば防ぐだけだ。)

ライフルを確認すると銃倉には先端のないライフル弾・・・音を出すだけの弾が入っていた。

衣装を素早く着込む、ナイフを左右袖の中に一本ずつ縫い付けてもう一本を手の中に仕舞い込む。


 先程舞台に上がっていた()()とすれ違って舞台裏へと向かう。

舞台はまだ暗闇に包まれて、楽器の音色だけが響く。

客席から見て右側の舞台裏に軍隊役が集まり、その反対側には民衆役が控えている。

天井には舞台装置を動かす滑車で埋め尽くされていて、舞台裏には装置を動かす係員が忙しなく動き回っている。


兵士側の陣営に混ざる、一番舞台から遠い位置に立つ。


スポットライトが中央の一点に集中する。

舞台中央には護衛対象が剣を握りしめながらライトを一点に浴びている。


剣を天にへと突き上げる。


「私が守るべきなのは王でも貴族でもない。

騎士は国を守るべき存在なのだ。私はこの国の騎士である!!

この国を守るために・・・()()()()()()()()!!」


 ライトが舞台一面を照らした瞬間に両脇に控えていた役者達が中央目掛けて走っていく。

そして双方が向かい合ってライフル銃を向ける。


農夫役の男が銃をターゲットに向けたのを確認して、利き腕に右袖に縫い付けたナイフを投擲する。


ヒュッツー 

男の方に命中して男がライフルを落とす。

(まずは一人!!次はー)


 軍隊側にいる役者の一人がターゲットに向けてライフルを構える。

反対方向にいる老婆役もライフルを向ける。

男の姿が観客に見えないようにそばにいる役者に重なる、左袖に縫い付けたナイフを取り出して老婆の利き腕めがけて投擲する。

そしてすぐに男の肩を後ろから懐にあるナイフを取り出して突き刺す。


老婆も兵士も肩から血を流してライフルを床に落とす。


(まだだ、もっと楽な方法で殺しにくる奴が絶対にいるはず。)


肩を突き刺した男から銃を奪い取り、回るようにして舞台を見回す。

観客にはバレないように演技をしているように演技をする。


(どこだ!!)


ターゲットが舞台中央で旗を頭上に掲げる。


その頭上には滑車を動かすための錘がぶら下がっていた。


「皆立ち上がるのだ!!」


 後ろを見ると舞台の脇で何かが光った。男が滑車から綱を切ろうとしている。

(お前で最後かッ!!)


体を回転させながら狙いを定める、男が持っている刃物をライフルで撃ち抜く。


パァンッ 


 パァンッ パン パァン

 他の演者が次々に空砲を放っていく。

舞台では次々と倒れる演者達、何人かは雄叫びを上げながらターゲットの脇を通り抜ける。

それに紛れて舞台から去っていく。やがてライトがターゲットにのみ当たる。

 

 ターゲットは旗を舞台に突き立てて声を上げる。


「私が導く!!理想郷を立ち上げるその日まで!!」


 歓声と共に幕が降りていく。壮大な音楽が鳴り響きゆっくりと幕が降りて行く。

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