表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
大陸鉄道の死神〜【二重人格】で【一時間しか動けない】異世界諜報員は復讐のために暗躍する〜  作者: 佐渡の鹿
第一章 【ウォーレン連合王国動乱 ー大陸暗躍編ー】
15/51

5.【迫る暗雲】

 ナトレータさんはあの日以来急によそよそしくなった。

話しかけると笑顔にはなるがすぐに何処かへと行ってしまう。

休憩中に見かけた彼女の表情はとても悲しそうだった。

心配して声を掛けたが、笑顔で隠してしまう。


「ナトレータさんどうしたんだろう。」


 書類をまとめるナトレータの様子を廊下からこっそり覗いてみる。

結構離れているためおそらくバレないだろう。

そう考えていると背後から声をかけられる。


「何こそこそ隠れているの?春ニ君。」


「麗奈さんっ。驚かせないでくださいよ。」


「君が変なことしてるから声をかけただけじゃないの。それでどうしたの、そんなところに隠れて。」


 先輩は怪訝な表情を浮かべてこちらを見る。


「実は・・・最近様子がおかしいんです。なんだか無理しているみたいな感じで。」


「先輩はどう思います?ナトレータさんのこと。」


「確かに最近元気なさそうだけど・・・・。」


「そうなんです。領主がここへ来た時からおかしいんです。

あの時も青い顔をしながら僕の腕にしがみついていたし・・・きっと何関係があるんですよ。」


 麗奈さんは静かにこちらを見つめると静かに言った。


「春ニくんはどうするつもり?また彼女を助けたいの、それともただの好奇心?」


「僕はー」


 麗奈さんが近づき、僕の頬に手を添える。


「君はすぐに無茶をするし、自分を犠牲にしようとする。

それに彼女が助けを求めていないかもしれないよ、それに知られたく無い秘密があるのかもしれない。

それがきっかけでまた事件に巻き込まれるかもしれない。

もう一度聞くよ・・・貴方はどうしたいの?」


 麗奈さんの深緑の瞳がこちらを見つめる。

すぐ目の前で静かに、ただ静かに見つめる。


「僕が彼女を助けます。たとえ拒絶されても、何があろうと助けたい。

僕の腕にしがみついた彼女の眼は確かに助けを求めていました。

それにー」


「それに?」


「彼女は僕の唯一の後輩ですから。」


 麗奈はため息をついて微笑んだ


「君はそう言う性格だから仕方がないけど・・・お人好しというかお節介というか・・・・

仕方がないなぁ~。」


「ありがとうございます。でも一度彼女に話を聞いてからにしたいと思います。」


 ナトレータさんの机を見ると彼女はいなかった。

その日彼女が再び姿を表すことはなかった。



「この商品は船便か?どこ行きだ。」


「確か『サルバン』だ。」


 暗い牢獄の前で二人組の男が話している。牢の中には痩せた人々が虚な目をして宙を見つめている。男の手には注射器が握られている。


「あっちの国で()()()を打てば良くないっすか?」

「だめだ。持ち逃げされたらどうする。」


「あぁ確かに。でもあの女どうして逃げられたんでしょうね。」


 男は近くに倒れている男の首に注射を刺す。


「ここだけの話、どうも()()()()らしい。」


「へぇ~。あっそろそろ出ましょ。」

 

もう一人の男がもう一本注射を打ち込む、すると倒れていた男が四つん這いになり唸り声をあげ出す。


「うがガァぁっぁぁぁぁぁ!!」


 男の肌がドロドロに溶けて体がぶくぶくと膨れ上がっていく、


「あ~あ嫌だ嫌だ。何度見ても気持ち悪い。」

「がががががががぁあっぁぁぁぁぁ!!」


男だったものが産声をあげる。


「キシャァァァァァァァァァッァッー」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ