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誰が何をしているかはっきりさせよう(1)

ここまで読んでいただきありがとうございます。


ここからは次のテーマ「誰が何をしているかはっきりさせよう」に入りたいと思います。


まずは下の小説のワンシーンを読んでみてください。


*********************


ヒロシが校門から出ようとするまさにそのとき、ミサトとスグルがまるで恋人どうしのように肩をならべて向こうからやってきた。


「えっ! おまえたちなんで一緒なんだよ!」


「さっき、道でばったりあったからだよ」


「でもさ、人からみたら付き合っているようにみえるぜ」



からかわれた少年は照れ臭そうにしていたが、少女はなぜか青ざめていた。


「なんか変だよね、この時間に校門の前に三人しかいないなんて」


「そういえば……」


そう、不思議なことに、校門から校庭を見ても、反対側の通りを見ても、人っ子ひとり歩いていないのだ。


その時だった。空が急にどす黒くなり、いなずまが走った。


2秒おいて、雷鳴がとどろきわたる。


(何が起きたのだろう? もしかしてこれが「5ちゃんねるまとめ」で読んだ異次元の入口? それにしてもなんでこんな時に……今日はせっかくミッちゃんとばったり会えたというのに……あっあの子あいつにしがみついている。こいつらやっぱり付きあっているのかな? くそー!)



********************



以上長々とすみません。


ところでみなさん、終わりのほうで(今日はせっかくミッちゃんとばったり会えたというのに……)と思っているのは誰だかわかるでしょうか?


またいったい誰が誰にしがみついているのでしょうか?


ちょっとすぐには答えられませんよね。



この小説のワンシーンは、途中から誰がそう思っているのか、誰がその動作をしているのかが、わかりにくくなってしまっています。



今の場面だけなら三人の少年少女が校門で雷を怖がっている、というだけですので、まだそれほど混乱せずに済んでいますが、この調子のまま話が進んでいくとどうでしょう?


読者は筋を追えなくなります。


小説を読んでいてあらすじが追えなくなったらもう終わり。


読者はその時点で嫌になって読むのをやめてしまいます。


こういうWEB小説は結構多いです。


他にもセリフが延々と続いて、どれが誰のセリフだかわからなくなる、なんていうのもよく見かけます。


**********************


ではどのように解決したらよいでしょう?


それは多少不自然になっても、主語をきちんと入れることです。


一度書いたものを読み返してみて、「読者がこれは誰の動作や会話、心理描写だろうと疑問に感じないかな?」とちょっとでも思ったら、その前に主語を入れるようにしましょう。


本当は主語を入れすぎないほうが日本語としては綺麗ですし自然です。


でも誰が何をしているかわからないような小説になってしまったら元も子もない。


文章のこなれ度よりも、わかりやすさを優先させるべきです。


************************



先ほどのシーンを書き直してみました。



************************


ヒロシが校門から出ようとするまさにそのとき、ミサトとスグルがまるで恋人どうしのように肩をならべて向こうからやってきた。


「えっ! おまえたちなんで一緒なんだよ!」とヒロシが驚くと、スグルがいいわけをする。


「さっき、道でばったりあったからだよ」


「でもさ、人からみたら付き合っているようにみえるぜ」


ヒロシがそうからかうと、スグルは照れ臭そうにしていたが、ミサトはなぜか青ざめていた。


ミサトは小刻みに震えながらこう言った。


「なんか変だよね。この時間に校門の前に三人しかいないなんて」


「そういえば……」とヒロシとスグルもあたりを見回す。


そう、不思議なことに、校門から校庭を見ても、反対側の通りを見ても、人っ子ひとり歩いていないのだ。


その時だった。空が急にどす黒くなり、いなずまが走った。


2秒おいて雷鳴がとどろきわたる。


(何が起きたのだろう? もしかしてこれが「5ちゃんねるまとめ」で読んだ異次元の入口? それにしてもなんでこんな時に……今日はせっかくミサトちゃんとばったり会えたというのに……あっミサトちゃんスグルにしがみついている。ミサトちゃんとスグルってやっぱり付きあっているのかな? くそー!)とヒロシは運命をのろった。


*********************


だいぶわかりやすくなりましたね。


主語をマメに書いたほかにも少年、少女、この子、こいつら、といった言葉を登場人物の名前に書き換えています。


また書き直し前はヒロシはミサトのことを「ミッちゃん」と愛称で呼んでいましたが、書き換え後は「ミサトちゃん」と本名にちゃんづけに変えました。


わかりやすい小説を書くためには、一人の登場人物を複数の呼び名でよばないほうが吉です。







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こんなエラそうなことを書くやつの小説はどんなんだ!? という方は、下部の緑色のスペースにあるリンクから直接読みにいけます。


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東京で暮らすスグルには、故郷に忘れられない幼馴染がいた。

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目次

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第1章 粉雪舞う日


第2章 母の涙


第3章 竹馬の友


第4章 小虎


第5章 祭りの日


第6章 祭りの後


第7章 再会


第8章 頼みの綱


第9章 スケッチブックの中の友人


第10章 小虎と猫


第11章 先客


第12章 前夜祭の芝居


第13章 弟橘姫入水


第14章 めでたいな


第15章 転校


第16章 茶畑の中の学校


第17章 友との帰省


第18章 突然の知らせ


第19章 噂


第20章 彼


第21章 会いたくて


第22章 真冬の夜


第23章 さよなら故郷


第24章 薄情者


第25章 インターネット時代


第26章 真冬の夜


第27章 積年の思い


第28章 エピローグ

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