冴えない俺は、意外とちょろい
【青春なんてクソ喰らえ】
これをモットーにして俺は今まで生きてきたはずだった。部活なんてしない。行事も積極的には取り組まない。ましてや恋なんて絶対に、、、
だが。
俺は虜になってしまった、彼女に。
こんなの断じてダメだ!
俺のモットーが崩れてしまう!
認めたくない!が、、、やっぱ可愛いよなぁ、、、。
ひねくれ男子校生、真白 悠。
今宵、男は発狂する。
日に日にましてく彼女に対する好意と、自分の哀れなプライドに、、、、、。
※セミの羽音で目が覚めた。
普段は多少の音で起きない俺が、だ。
昨日は全然寝付けなかったし、眠りが浅かったのが原因だろう。
俺は「はぁ」とため息を一つついて、ベッドから降りた。自室のカレンダーに目をやると今日は月曜、一週間の中で一番憂鬱な日だ。だがカーテンを開けると外は快晴、今の俺の心とは裏腹な天気がより俺を萎えさせる。
階段を降りて、水を一杯喉に流し込む。これは俺のルーティンだ。退屈な1日を喉に流れ込む冷たい感覚で忘れようとする、必死の抵抗。まあ、なんの意味もないのだが。
俺は冷凍庫に入ってある冷凍パスタをレンジに入れ、6分セットする。その後洗面台へ行って顔を洗ったり、トイレで用を済ませるころには、チン完了。なんて手際の良さだろうか。
朝食をさっさと済まし、歯を磨き、大きなあくびをしてから、鏡で自分の顔をチェック。「よし、今日も冴えない。」意味のわからない確認だが俺にとっては大事なのだ。
階段を登り、妹に声をかけにいく。ドアをコンコンと叩いてから、ゆっくり開けて、
「おい凛華、にぃちゃんもう学校行くからな。家出る時ちゃんと鍵かけろよ。」
それに応じるように、凛華は体をもぞもぞと動かしてから、眠い目をこすり俺に目を向けた。
「、、、え?もうそんな時間なの?」
透き通った茶色の大きな目、顔は小さくまだ子供っぽい、でも客観的にみて可愛いほうだと思う。おそらく母譲りだろう。
「なんで凝視してるの、、?」
「あ〜、わりぃわりぃ。んじゃ俺行くからさ、あとはよろしくな」
部屋のドアを閉める瞬間にきもっと若干聞こえた気がするがまあ気のせいだろう。