第14話 野生の海賊たちが現れた!!
「全隊全速!敵部隊の左翼を駆け抜けるぞ!!」
宇宙海賊たちを束ねる司令の決断は、単純かつ明快という点以外でも、戦場の理にかなったものであった。相手への投影面積を出来るだけ少なくしつつ出来るだけ距離を詰めるその積極性は、指揮官に備わってしかるべき素質であった。
「敵部隊、左20、上5、距離32!方位150から右回頭しつつ接近してきます!」
「戦務参謀、射撃準備まであとどれくらいだ?」
シューゲン司令官の尋ね方それ自体は落ち着いた声色だったが、その奥には有無を言わせない迫力が込められていた。しかし、戦務参謀は物怖じせず応じる。
「第2、第3は残り20分ほど。ただ第1戦列艦戦隊に限れば5分以内に射撃準備および陣形展開を完了できるはずです」
「よろしい。1戦隊に緊急通信。戦隊単位での射撃を実施」
敵ではない可能性も万が一、いや億が一残されてはいるが、奇襲戦法を常套とする宇宙海賊相手にいちいち警告射撃をやっていては後れを取ってしまう。万が一民間船舶であっても、勘違いされる行動をとる方が悪いという共通認識が公国の船乗りの間では存在した。もっとも、数百万、場合によっては数千万kmという距離でプラズマ化した重粒子を撃ち合う宇宙時代の砲撃戦であっても、結局当たらなければ意味はない。火打石銃兵の名称があらわす通り、投射した火力で確実な戦果を挙げる為には、整然とした密集陣形と統一された射撃管制が本来必要であった。しかし、宇宙海賊らの野蛮なる意図を即座に見抜いたシューゲン司令官は、すかさず次善の策を以て相手を迎え撃つ。
『おい!!公国軍からの砲撃来たぞ!!』
「上々だ!!よく聞け!!20秒後に右30度回頭して三連斉射だ!!」
『聞いたかお前ら!?敵前回頭だとよ、イカれてやがるぜ!!』
『ヤベェいきなり加速したから機関が爆発しそうだ!!』
管制もへったくれもない通信回線では熱狂と歓声が飛び交う。まともな士官教育を受けた公国の将校であれば卒倒しかねないほどに適当な戦い方であるが、この場でそれを指摘する者は周囲から常識人として目される船長を含めても皆無であった。
「エネルギー警報!敵艦隊より主砲攻撃来ます!」
「第1戦隊、中和磁場を展開」
石から槍、鉄の塊、或いは砲弾やミサイルの果てに生まれた宇宙時代の投擲兵器である回転砲塔式の電離砲はしかし、その性質上電磁場の影響を受けやすく、その特性を逆用した『中和磁場』を展開することによってその威力を減衰させることが出来る。中和磁場を発生する為のデバイスは各艦の周辺を漂いつつ遠隔操作、および遠隔給電によって各艦ごとに管制されるか、あるいは装甲駆逐隊所属艦船に搭載されており、前者の場合であれば任意の地点に向けて中和磁場を展開させることが出来る。もっとも、戦列艦搭載の機関部が、反物質による対消滅反応で超流体を沸き立たせ、途方もないほどに莫大なエネルギーを生み出しても、敵の射撃から戦闘部隊を防御するための中和磁場展開と電離砲による一斉斉射を両立出来る訳ではない。第1戦隊指揮官の号令一下に伴って射撃準備が中断され、引き換えとして戦隊全体を守るように不可視の防壁が展開されるが、宇宙海賊らが投射したエネルギーの奔流のすべてを防ぎきることなく、その一部の透過を許し、通電被膜による中空装甲と分厚い金属による物理装甲に覆われた艦船の表面に殺到する。
「この距離で初弾命中だと…!?」
「損害報告!!」
「敵主砲の解析急げ!!」
「第212戦列任務群旗艦損傷、通信途絶!!」
「広域警戒艦を経由させて回線を保たせろ!!」
旗艦艦橋の中で怒号と悲鳴が飛び交い、予期せぬ損害によって動揺が広がろうとするさなかにあって、公軍軍人としいてのプライドが辛うじて各々の精神の均衡をつなぎとめていた。
「参謀長。各戦列艦戦隊の重装槍騎兵隊に連絡。可能な艦は直ちに航宙隊を発艦させ、敵の予想射撃位置情報を収集させろ。場合によっては正面からの殴り合いになる」
「了解しました」
少なくとも見た目上では動揺とは無縁のシューゲン司令官が、側に控えるクルームバッハ参謀長に指示を飛ばす。装甲駆逐隊と同様に戦列艦戦隊に直属する重装槍騎兵隊は、ミサイルによる掃討戦を主任務とするほか、航宙機部隊の運用能力も限定的ながら有している。基本的に哨戒や偵察、着弾観測や射撃効果判定を主な任務とする。突撃上等紙装甲の宇宙海賊に対して一定の戦術効果は認められるものの、駐機スペースの関係から搭載数が限られ、また搭乗員の育成も困難な航宙機部隊はまさに「虎の子」であった。しかし、シューゲン司令官は出撃の選択を躊躇するほど無能でも吝嗇でもなかった。
『イーグル3、射出前最終整備完了』
『イーグル2、推進剤補充完了後、フライトデッキへ移動せよ』
『イーグル1、フライトデッキ移動完了。整備クルーは所定の位置まで退避せよ』
『射出進路の管制を実施。本艦の進行方位…』
ヘルメット越しに聞こてきた艦内放送は、頭の上からゆっくりと降りる金属の塊がコックピットを覆うことで完全に聞こえなくなった。しかし音と光が遮断されたのはほんの一瞬であり、すぐに機体外部のカメラによって捉えられた光景が、コックピット内部に設置されたスクリーンに映し出される。そんな普段通りの作業手順に従いつつ、彼は冷え切った己の脳内で、自身がこれから行うべき行為のシミュレートを行う。
与えられた38機に及ぶ航宙機部隊の陣容は、彼自身が持つキャリアと比較してやや小所帯感が否めないが、彼がそのことに不満を覚えることはない。通称を名乗ることが許される「ネームド」。さらに帝国航路護衛艦隊に配属された部隊となればエリートもいいところだ。勲章持ちを意味する「デコレイテッド」には及ばないものの、その権威は他の部隊から尊敬のまなざしを受けるのに十分であった。
「さぁ、仕事の時間だ」
第2護衛艦隊に所属する戦術航宙機部隊、通称『ペガサス軽騎兵』のフライトリーダーであるマティアス・フォン・テルミナート准佐は、緊張と興奮が交じり合った独特の高揚感を冷え切った理性で押さえつける。彼は同部隊に所属する38機の戦闘を統率する立場にあった。
『コックピット内与圧異常なし。血圧、心拍数、呼気中酸素濃度全て異常なし』
『こちらコントロール。射出スペース内エアロック動作正常。カタパルト作動開始』
自動音声の合図とともに電磁カタパルトの発射台に乗せられた機体が大きく揺れ、重たい金属音が機体の中に響く。電磁カタパルトの発射台は、全長42mに及ぶ機体を上下から挟みこむ形で保持し、そのままハッチの向こうの宇宙空間へ機体を持ち出した。極東の島国で前世を過ごした我らが転生主人公がその光景を見れば、箸を水平にしたまま機体を上下からつまんだような印象を覚えたことだろう。つままれた機体の中で鎮座するテルミナート准佐は、無意識的に全身をこわばらせて慣性の変化に備えた。
『射出予定進路クリア。イーグル1、射出』
母艦の速力と電磁カタパルト射出スピードが合成され、テルミナート准佐が座上するFok104が暗闇に向かって放り出された。無重力空間における機動を実現するために、機体の各部にごてごてと墳進ノズルが装着されてはいるが、一方で宇宙空間に漂う無数の宇宙塵による衝突の被害を最小化する目的から、全体的なデザインにはそれなりの空力学的洗練を思わせる意匠が取り込まれていた。
『通電被膜中空装甲システム作動。動作異常なし』
『こちらコントロール。フォン・テルミナート准佐、武勲を祈る』
「あいよ。ちょっくら様子を見てくるだけだけどな」
急速に後方へ向かって離れていく管制官に向かって、テルミナート准佐はいつも通りのぶっきらぼうさで応答した。そもそも『フォン』などといういかめしい敬称を、彼は決して好んではなかった。むしろ、コールサインである『イーグル1』の方がよほど性に合ってるとすら思っていた。実際問題として、テルミナート領邦騎士家の歴史はたかだか100年にも及ばない。彼の祖父が領邦騎士として地位を得たのは、慢性的な軍人不足に悩む公爵家の政策的配慮の一環に過ぎなかったからだ。
「フン。観測任務で武勲ね…」
テルミナート准佐は、喉に装着された通信機のマイクがギリギリ拾えない程度の声量で呟いた。
武勲に秀でた(=それくらいしか出来ることがなかった)祖父の功績に報いる形で授けられた『領邦騎士の地位』に伴い授けられたささやかな経済的特権は、家庭人としては壊滅的な人格を有していた祖父とその妻がかつて構築していた家庭の幸せを修復するのに大いに貢献した。故に彼らの子供――つまり准佐の父――が領邦騎士の地位に多少なりとも恩義と責任を感じ、軍人としてその生涯を捧げる理由は多少なりとも存在した。問題はその孫である准佐本人である。
「俺が生まれる前から軍人としての人生が決めつけられてるのは気にくわないが、親父が生まれる前から軍人としての人生が決めつけられてるのはもっと気にくわないね」
というのは、彼が自身に与えられた人生のレールに反抗する際に、決まって述べる口上であった。
「こちらイーグル1。エスコート各機の射出を確認。各部隊続け」
『うぃーっす。ストライカー各機、射出完了~』
『こちらスカウト。射出完了しました。編隊に加わります』
『こちらペガサス01。各機、公世子閣下が座上していらっしゃるんだぞ。もう少し緊張感を持て』
『ったく。相変わらず固いねぇ』
公国軍は、その頂点たるアウステルリッツ公爵から最前線の一兵卒にいたるまで、その大半が帝国における貴族たる臣民階級を中心に構成されている。といっても、一般的に貴族として想像される爵位持ちの人材じたい、公国の全人口における0.1%にも満たない。公国軍における中下位の将校や下士官、あるいは兵卒のほとんどは、騎士階級たる領邦騎士および準貴族に相当する士族を以て充てることが一般的である。であるため、歴史に燦然とした功績を残す公爵家であっても、そういった末端の末端に位置する陪臣らにまで忠誠心という名の統制を強いることはついぞ不可能なのであった。これが集団における秩序が殊更重視される陸上部隊ならいざ知らず、個々人の技量がモノを言い、更には少数メンバーであるためお互いに帰心が知れた間柄である航宙部隊の場合、階級に基づいた上下関係なんぞあってないに等しかった。
「よぉし。全員集合したな?とりあえず小隊ごとにフィンガーチップの隊形で行くぞ。いつもの奴だ」
『了解りょうかい~』
『あいよぉ』
パイロットたちのリーダーであるテルミナート准佐による通信にも、やる気があるんだか無いんだか分からないテンション感で各々が返答するが、しかし無機的な整然さを保ちながら美しい編隊飛行を実施する航宙隊員たちの技量は、間違いなくその腕前が一級品であることを示していた。惑星系や恒星系そのものを領地とする名門貴族には到底及ばないものの、パイロットたちの多くは、その親、ないしは祖父母といった近親者等が、何かしらの功績で領邦騎士や士族階級に叙せられ、その結果として自身も軍に身をおく事になった運命論者の集まりである。公爵家の軍隊そのものは、命の危険と引き替えに相応の地位が法律上保障された下層臣民階級によって実質的に支えられているのである。
『まったく…。改めて、ペガサス01「マラード」より全機に通達する。今回の任務は観測対戦闘部隊だ。敵戦闘部隊に向けての接近に当たって、敵性航宙機の存在は確認されていないものの、敵防宙網制圧が実施される可能性が高い。心してかかれ。以上』
Re4001空中警戒管制機に搭乗するペガサス01、通称『マラード』は、戦闘機と戦闘攻撃機、および観測機から構成される飛行編隊からやや後方に離れた場所に位置しつつ、機体に搭載された広域レーダーや通信装置を活用してペガサス軽騎兵による戦闘行動を支援し、また良くも悪くも緩い雰囲気にあるペガサス軽騎兵の面々に対して適度に焼きを入れることを主任務としている。
『隊長!やっぱりこれって公子さまが座上してるからなんですかね?』
テルミナート准佐とともに戦闘空中哨戒を担う、ファルコン小隊の一番機搭乗員であるユクレナ大尉は、あっけらかんとした口調で准佐に尋ねた。
「俺に聞かれても分からん。ただ、敵の宇宙海賊はワープドライブで襲ってくるだけの根性を持った奴らだ。もし撃ち落されても恨むなら俺じゃなく公子閣下を恨むんだな!」
『ハッ!そいつは良いですね。生きても死んでも勲章もんだ!』
古来より、己自身を以て下々の者にジョークの種を提供するのは権力者にとって重要な施しであった。そして、帝国、或いは領邦貴族が、こういった施しの提供を積極的に拒否した事例というのはついぞ存在しなかったのであった。
「こっちが敵の射程内に入るまで推定残り時間、早く算出して!!」
「輸送任務部隊と支援任務部隊はそのままの進路で航行!!そう、装甲駆逐隊も一緒で大丈夫だから!!」
「航宙機部隊からの通信まだか!?」
保有する戦力では明らかに質、量ともに上回っている公国軍護衛艦隊であるが、積極果敢な攻勢に出ている海賊艦隊相手に劣勢を強いられようとしていた。艦隊陣形を保ったまま護衛艦隊の至近を通り抜けようとする海賊艦隊が、そのまま進路を護衛艦隊の進行方向に向けさせて、第2撃以降を食らわせようとする意図は誰の目にも明らかだった。
「全艦に通達。第1種戦闘態勢へ移行」
シューゲン司令官は沈痛な表情とともに、クルームバッハ参謀長に告げた。
「…ッ!了解しました。全艦、第一種戦闘態勢へ移行!」
通常、宇宙海賊などを相手とする非対称戦闘で発令されるのは第2種戦闘態勢までである。その場合において第一種戦闘態勢が発令される場合とは即ち、相応の戦死者が発生することを意味していた。
『第1種戦闘態勢へ移行。艦内隔壁閉鎖、エネルギー出力を制限。繰り返す、第1種戦闘態勢へ移行…』
旗艦内においても、艦内放送が殺気立った雰囲気と共に流れ出す。…私にとって、より一層深刻な問題をそこに孕んでいた。
「わ、若様。失礼します!いえ、ご安心ください、準備はわたくしめが」
緊張した面持ちのエルヴィンが、艦橋内の隅に設置された椅子に私を座らせ、磁力靴を作動させる。
「若様。ご安心ください。私がお側におりますゆえ。さぁ、ゆっくり深呼吸してください」
ソレリアが何かしら察した様子で、椅子に腰かけた私の精神を落ち着けにかかる。
「若様、お薬はこちらにございます。一旦口の中で溶かしてから、こちらで飲み込んでください」
グリンドゥールがすかさず水の入ったコップと得体の知れない錠剤を持ち寄り、私のあごごと掴んで口の中に押し込む。
「………………」
周囲の者たちが慌てふためく中、私はその中心でじっと座り込んでいた。これは私が大貴族らしい傲慢さで周囲をこき使っているという訳ではない。いや、こき使っているのは確かだが、それは単純に私が大貴族だから周囲を無理やり傅かせている、という訳ではない。…一応。
さて突然だが、電気エネルギーを重力に置き換える重=電変換システムの技術は、恒星間航行を行う宇宙文明であればぜひとも持っておきたい技術の一つだ。人工的に重力を操作出来るようになるし、時空を歪ませることで超光速航行が出来るようになるし、手元から離れたりんごが地面に落っこちずに済むようになるからだ。もっとも、無有力空間というのは人体に対して悪影響を与えかねないし、それ以上にまず不便だ。宇宙開拓初期の時代であれば、艦の上部を軸にして回転させながら遠心力で艦底の方向に重力を生み出す方式もとられていたが、姿勢制御の困難さから現在では主流ではない。ゆえに重=電変換によって制御される人工重力場が公国軍に所属する艦船に標準装備されているわけであるが、この重=電変換システム自体は恐ろしくエネルギーを消耗する。当然戦闘中の艦艇は、攻撃・防御・機動といったあらゆる行動に伴ってエネルギーを大量消耗する。そのため、「不便だから」とか「長期間無重力だと体に悪いから」などという軟弱(※注 戦闘で殺気立った軍人視点)な理由で展開されている人工重力場はこういう場合において真っ先にカットされるたぐいのものであった。
『人工重力場切断まで、3、2、1。切断』
艦内放送と共に、我々を秒速9.8mの加速度で一方方向に引っ張っていた不可視の鎖が途切れた。その反動によって私の頭、腕、足、胴体、内臓といった身体のあらゆる部分がわずかだけ反対方向に持ち上がる。
「若様…」
祈るような、慈しむようなソレリアの言葉を耳にしながら、私はグリンドゥールが持っていた宇宙世紀的デザインのポリ袋をひったくり、あらん限りの勢いを持って胃の中の内容物を吐き出した。
騒がしい艦内にあっても、水音は完全にかき消せるものではなかった。わずかに聞こえたビチャビチャという音を、シューゲン司令官は徹底して聞こえない振りをしつつ、こっそりと心の中で公子の名誉が保たれることを祈る。
『おいたわしや…』
公国軍の将校として、また伝統ある領邦騎士として公爵家に忠義を誓った以上、当然アルバート公世子に対して蔑ろな態度を示すことはしない。しかし、もし忠誠心に優劣がつけられるのであれば、公世子に対するそれは、現公爵家当主のものと比較して決して高いものではなかった。
高い地位と、それに伴う絶大な権限を振るう領邦貴族であるが、一方でそれに対応するだけの「責任」と「義務」を、また一方で有している。貴族としての『格』があがるほど、権限と責任の関係はより厳格となり、負担も重くなる。貴族を「人類史上最後の労働者階級」と称するいわれはここにある。
しかしながら、帝国における領邦貴族の中でも5本、いや3本の指に入る超名門のアウステルリッツ家の次期当主としてアルバートが適格であるかどうかについては、おおっぴらではないものの、議論の余地が存在した。国民の権利と生命を保護し、莫大なエネルギーを管理し、分家や家臣を統裁し、そして議会貴族らの猛攻に耐えうるだけの『素質』が血統のみで裏付けられる訳ではない。アルバートの一挙手一投足が、将来のアウステルリッツ公爵家の将来そのものを左右するのだ。シューゲン司令官は、憐憫に多少ばかりの不安な感情が含まれているのを否定しきれなかった。
「聡明なお方だ…。部下を慈しみ、その名誉を大切になさる。ただ果たしてアルバート様本人がご自身の価値にお気付きになっているかどうか…」
僅かにシューゲン司令官の口から漏れ出た言葉は、周囲の喧騒にかき消され、誰の耳に届くものではなかった。
航宙機部隊の運用:
公国宇宙軍艦隊総軍所属の帝国航路護衛艦隊の場合、38機からなる軽騎兵編制の航宙隊が基本戦術単位となる。軽騎兵編制の航宙隊は1機の宙域警戒管制機および3つの中隊(目標戦闘宙域哨戒、防宙網制圧、観測・射撃効果測定)から構成される。軽騎兵は搭載スペースの関係から各戦列艦戦隊に所属する3つの重装槍騎兵隊にそれぞれ分けて搭載される。
また、距離とか速度の設定は割とやっつけでつけてますので、後々事情が変わった場合変更するかもしれません(弱気)