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八十三話 このケモミミ娘は何言ってるんだ?

 あれ?

確かに終わってみれば二人のワンサイドゲームっぽい感じだけど……。

ここまで体格や肉体強度に差があるのに、こんな短時間で死んでしまうほどアルドの攻撃が苛烈には見えなかった。

オーガの体に外傷は全く見当たらない。


「お疲れっ! 滅多切りなんて、ちょっとやりすぎじゃないの?」


 リコがアルドにねぎらいの言葉をかける。

しかし…… これは滅多切りなのか? 見た目は無傷なんだけど……。


「余計な時間はかけていられない。出し惜しみは無しだ。すぐにハルトを助けに……」


 どうやら、2対20の戦いになる俺を心配してくれていたみたいだ。

二人は俺達の援護に向かおうとするが、すでに戦闘を終わらせて観戦状態になっている俺とピリカがいることに驚く。


「嘘でしょ? あたしたちよりも早くゴブリンたちを片付けたっていうの? 確かにあいつらは雑魚だけど…… 一人で20匹はさすがに」


「ハルト…… これはお前の契約精霊、ピリカの力か?」


「そうだな。ピリカがほとんど片付けてくれたから、このくらいなら問題ない」


「そう…… か。その精霊の力は凄まじいな。俺が今までに見たどの契約精霊よりも強力だ」


「でもさ、それほどの精霊を簡単に戦わせて、ハルト…… 体は平気?」


 リコは何言ってんだ?

俺自身はほとんど戦ってないんだから、平気に決まってるだろ?


「もちろんだ。むしろ、平気じゃなくなる意味が分からないが」


「精霊術師は精霊に力を使わせる契約の対価として魔力(マナ)を差し出すでしょ? これほどの高位精霊なら要求される魔力(マナ)の量が凄いことになるんじゃ?」


 ??

このケモミミ娘は何言ってるんだ?

むしろ俺がピリカから一方的に魔力(マナ)を搾取しているようなものだぞ。

このジャングルで生きるために、ピリカに甘えっぱなしだっつーの。


「あのさ…… ぶっちゃけリコが何言ってるのか……」


『ハルト! ここはこいつの話に合わせて、全然平気! 問題なしって合わせおいた方がいいよ。じゃないと、後でどんどんややこしくなるから』


 ピリカが日本語でそう言ってくる。

よくわからんが、ピリカの事で面倒ごとを避けるために必要ならそうしておこう。


「ああ、このくらいなら全然問題ない」


「そうか、一人で緑の泥を抜けようとしているだけはある。魔力(マナ)の保有量はそこいらの魔法使い以上というわけか」


 二人はなんか勝手に結論付けて納得したようだ。

ちなみに俺の魔力(マナ)保有量はゼロだ。

どんなに修行しようとも一生ゼロのままだ。

魔力(マナ)を保有できない【地球人】という、二人から見たら理解の外側にいる異世界人だからな。


 リコは死んだオーガの頭に短剣を突き立てて角を抉って取り外した。

勿論、オタクの俺にはわかるともさ!

あれだ。

討伐証明部位、またはレア素材だろ、常考。

今の俺にはどちらでもいい。

それよりも気になるのは、二人がどうやってこれを倒したのかだ。


「あのさ、このオーガ、外傷全然ないけど何で死んでるわけ?」


「ああ、これ? アルドは魔法で敵の皮膚や鎧を通り抜けて、内部を直接斬ることができるんだ。物理的な鎧や甲殻じゃアルドの剣は防げないよ。アルドの剣をこれだけ受けたら、こいつの内側はズタズタのはず」


「マジかぁ……」


 おめでとう! アルド。

【1マジかぁ】進呈だ。


 ゲーム的に言えばまさかの【防御力無視攻撃】ってやつか。

これは要注意だ。

ラライエにはこんな能力を使ってくる奴もいるって覚えておかないとな。

アルドと戦うことになったらマズいかもしれない。

俺の【プチピリカシールド】でアルドの剣を防ぐことができるのか怪しい気がする。


 とにかく、今はあのT-REXもどきを倒し、全員で生存して街に入ることが最優先だ。


「話はあとにしよう。今は早くここを離れて、安全を確保できそうな場所を探そう。もうすぐ日が落ちる」


「ああ、そうだな」


 俺たちはこの場を離れ、野営ができそうな空間を求めて川沿いを下流に向けて進む。

勿論、水中からの奇襲を避けるため、川岸を歩くような真似はしない。

数十分ほど歩いたところで、少し広さが確保できそうな場所を見つけた。


 ちょっと短い目ですいません。

次回、八十四話の投下は1時間後、4月28日の23:30ぐらいを見込んでいます。

ブックマークと評価ポイントよろしくお願いいたします。


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