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八十一話 【俺なにかやっちゃいました?】なんてべたなセリフは吐きたくないぞ

 連盟筆頭、リデル直系の勇者が最後の号令をかける。

戦士や勇者たちが一斉に、魔族最後の砦にして首都サップマに向けて進み始めた。

しかし、彼らはサップマを目前にしてその歩みを止めざるを得なくなった。


 魔族の領域が見えない壁に覆われ、人類軍を阻んだ。


 いかなる攻撃、いかなる魔法をもってしても破れることのないその壁の前に為す術を失った人類に声が届く。

 世界中すべての人類に向けてその声は届けられた。


「愛すべきラライエに生きる者たちよ。此度の戦いは我が名において終結とする。我が名は【フェシオス】、ラライエの創生神なり。魔族・精霊をこれ以上滅することを我が名において禁ずる。これは神託である。この神託に背くものには、【フェシオス】自ら神罰を下すものとする」


 リデル直系の筆頭勇者が声の主、創生神に問う。


「創生神よ、正義は我らにあり! 何故、我らに仇為す魔族と精霊の討滅を阻まれるか?」


 しかし、創生神は何も答えない。


「神は我らに抗うことなく、魔族と精霊どもに滅ぼされろと申されるか? そのような無体、断じて受け入れるわけにはいかぬ! 神が我らに滅べと申されるのなら…… 我ら人類は、創造主である神と戦うことになろうとも、生き延び平和を掴んで見せる!」


 人類はついに創生神という途方もない存在と、自らの存在をかけて戦うことになった。


        ラライエ創成記より一部抜粋




 俺たちは足を止めることなく、歩き続ける。

テゴ族を尾行しながら、連中の集落(コロニー)にたどり着くまでおよそ3時間かかった。

戻りは急いでいたのとすでにルートがわかっていたことで、たったの一時間で戻ってこられた。

眼前に再びとてつもない川幅の大河が現れた。


 日は少しずつ傾いてきている。


 もう、いつテゴ族が全滅していてもおかしくない。

追躡竜(ついじょうりゅう)には俺達が逃げた方角さえ気付かれてほしくない。

気持ち的にはすぐにでも野営に入るべきと思っている。

俺の考えを二人に伝える。


「アルドの予想だと、いつ追躡竜(ついじょうりゅう)が俺達を追って動き出してもおかしくないんだろ?」


 アルドは頷く


「なら、すぐにでも野営できそうな場所を探そう。奴がテゴ族を全滅させてしまえば、すぐに俺達がいる方角を特定される。できればそれは避けたい」


「ちょっとあんた、何言ってんの? 夜に緑の泥で野営なんかしたら……!!」


 リコが突然、話の途中で中断して耳をひくつかせる。

腰の短剣に手を伸ばして下流側の森に視線を移す。

それを見たアルドは、黙って剣を抜く。


「話はあとだ。魔物が近づいている」


 さすが同じパーティーメンバーだ。

言葉を交わさなくても、そのくらいは通じ合ってるということか。

俺も二人に一呼吸遅れて、サイをいつでも抜けるようにストッパーを外す。

そして、腰のポーチや、ポケットのすぐに取り出せるところに仕込んである術式を確認する。


「リコ、敵の数と種類は?」


 アルドがリコの索敵にかかった敵について確認する。


「ありゃぁ…… 今のメンツじゃちょっとまずいかも……。【コウルヌ】が1【ヤウルム】が20ぐらい……。 もうそこまで来てる…… すぐに現れるよ」


 さて、今度はなんの魔物の事を言ってるんだ?

ラライエの人類の呼び方で言われてもな……。

地球での呼び名で言ってくれよ。

どっちにしても、後者の20匹ぐらいは確かにちょっと数が多いな……。


「ワノウヲキハキトハゴトヤムユリトジモシレゼサガバナ」

「ヒデハチレノコシサガベハシワトナシ」


 リコが呪文を詠唱する。

さっき見たバフと曲射の呪文だな。


「キムウガハサウンソウョハノモゴトリキレノムガトネワ」

「コルムワナシャヲミモニイノソハババタメノツノテアヲヤクイウガタム」


 アルドも何か詠唱している。

リコが使っているものとは別物だ。

どんな効果なのか…… 興味はあるけどそれを観察している暇は無そうな気がする。

俺も戦闘に備えて、【プチピリカシールド】と【ブレイクスルー】を発動させる。

すると、二人の目に明らかな驚愕の表情が浮かんだ。


『ピリカさん…… 気のせいじゃなかったら二人とも驚いていたよな?ひょっとして、この時点ですでにチートなんじゃないのか? いきなり【俺なにかやっちゃいました?】なんてべたなセリフは吐きたくないぞ』


『そんなことは無いと思うけど……。【呪紋】で魔法使う人間は昔からいたよ。術式の効果もあいつら如きに理解できるわけないし』


 相変わらず、二人には辛辣な言葉を浴びせかけるな。

日本語だから理解できてないだろうけど……。


「それよりハルト、来るよ」


 ピリカがラライエの言葉で、二人にもわかるように声をかける。

その後、茂みからわらわらと姿を現したのはゴブリンの小集団だ。

【ヤウルム】ってのはゴブリンの事か……。

以降は脳内でゴブリンと変換しておこう。

じゃ、もう一つの【コウルヌ】とかいう気の抜けた言葉尻のやつはなんだろ。

その答えもすぐにわかった。

ゴブリン達に続いて出てきたのは……


 本日の投稿は以上です。

 次回、八十二話の投下は明日、4月28日の21:30頃を見込んでいます。

マジでヤバイ。このままじゃ30日までにストックが溶けそうです。

明日以降、決死の覚悟でストック上積みしないと……。

何としても月内は途切れさせずに投稿を続けると決めていたので……。


 どうか、私のやる気ゲージをブーストさせるブックマークをお願いします。

さらに評価ポイントもつけてくださるとうれしいです。


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