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四十三話 おあつらえ向きだ。

 四つの魔法が完成したので、今日は実戦で効果を確認する。

テストではすべて期待通りの効果が得られている。


「今日は魔法を実戦投入してみるから、戦闘は手を出さないでくれ。これで戦えるのか確かめたい」


「うん! きっと大丈夫だと思うよ。でも危なくなったら助けに入るからね」


「ああ、それはぜひ頼む。それじゃ出発しようか」


 荷物をまとめてピリカと二人、ジャングルに分け入る。

ジャングルの地図作成も少しずつだが進めているので、地図も大きくなってきている。

今は家を中心に周囲3kmくらいまで地図が出来ている。


 このジャングルの広さを最小で見積っても、ジャングルの地図は十分の一にも満たない広さしか地図に起こせていない計算だ。

全く洒落になっていない。

このジャングル、とてつもない広さだな。

下手したら、一生ジャングルから出られないかもしれない。


 そんなことを考えながらジャングルを進んでいると、俺の頭上を漂っていたピリカが声をかけてくる。


「ハルト、あっちに魔物がいるよ。どうするの?」


「来たか…… 魔物の種類と数は?」


「えっと、デカネズミが一匹だね。まだこっちには気づいてないよ」


 おあつらえ向きだ。

俺は、魔法を使った実戦相手第一号をこのデカネズミに決めた。


「それは良いな。魔法の効果を確かめるには格好の相手だ。しかも先制できそうだし」


 俺はリュックから紙に書かれた【プチピリカシールド】と【ブレイクスルー】の術式を取り出して発動させる。

あと【フルメタルジャケット】を5枚、即座に取り出せるように、腰のポーチに忍ばせる。

続いてサイを装備して格ゲードライバを起動する。


 体の制御が脳内PCに移り、俺は自分の体を脳内ゲームコントローラで操作する状態になる。

茂みの中に身体を隠して、デカネズミの接近を待ち構える。


 やがて、獣道をデカネズミがのっそりと歩いて姿を現す。

確かにこちらには気付いてなさげだ。

あまり周囲を警戒しているようなそぶりもない。


 程なく俺の攻撃範囲内にデカネズミが入ってくる。

角度的には初撃で頭は狙えそうにない。


 仕方がない。


 まずは横っ腹に一撃入れて、あとは流れで何とかしよう。


 茂みの中から一息にデカネズミの側面に踏み込んでサイによる中段突きを打ち込こんだ。

【ブレイクスルー】と格ゲードライバの効果で動き・威力共に初戦の時とは段違いだ。

重量差は五倍以上だというのに、デカネズミはコロコロと3mくらい転がって木にぶつかりようやく止まった。


 こちらも打撃による衝撃で腕や踏ん張っている足腰の筋肉が悲鳴を上げているが、骨は折れたりしていない。


 実際に体を動かしているのは脳内PCの格ゲードライバなので、どんなに痛くても物理的に動く限りは容赦なく動かせてしまうのだけれども……。


 デカネズミは痛みと衝撃で即座に起き上がれない。

この千載一遇のチャンスを逃すわけにはいかない。

すかさず【フルメタルジャケット】の術式を書いた紙を3枚取り出して発動させる。

魔法陣から三発の銃弾がピュンっと空を切る音だけを残し、デカネズミの頭に風穴を開ける。

術式を書いた紙はその役割を果たして、光になって消失する。

デカネズミは起き上がることなくそのまま息絶える。


 何とか初戦の雪辱を果たせたようだ。

別個体だけどな。


「ピリカ、すまないが回復魔法を頼む。このまま格ゲードライバを切ったら痛みで転げまわることになりそうだ」


「了解! お疲れ様!」


 ピリカは俺の隣まで来て回復魔法を施す。

痛みが治まったことを確認して格ゲードライバをOFFにする。


「何とか魔物にも通用する魔法に仕上がっているみたいだ。ただし、連戦はきつそうだけどな」


「ピリカは充分だと思うよ。ハルトの事はピリカが護るから! 最低限、身を護っていてくれたら大丈夫だからね」


 背後から抱きついているピリカがそんなことを言っているが、見た目幼女の精霊に守られっぱなしというのはな……。

紙みたいに薄っぺらいペラペラな俺のプライドでも、なんというか…… もうちょっと格好をつけたいと思ってしまう。


「まずは、デカネズミくらいなら何とかなるのは確認できた。あとはあれだな。索敵を何とかしないと……」


 今時点で敵の発見はピリカの感覚だよりだ。

敵の位置情報は何としても相手より先に確認出来ていないと、この先厳しい。


 残念ながら【プチピリカシールド】は常時起動していられないし、絶対防御でもない。

有効時間が30分しかない有限の魔法だ。

分かってはいたが、やはり索敵はこれからの大きな課題だな。


「よし、次は相手が複数でもやれるのかを検証だ。ゴブリンとかコボルトの小集団を探してみよう」


「うん。じゃ、行こう」


 ここなら家から1km以上離れているから問題ないだろう。

……と、いうことでデカネズミの死体はこのまま放置していくことにする。


 さらに探索を続ける。

途中で熊とデカネズミに一度ずつ遭遇したが、魔法陣節約のために【先生、お願いします!】でピリカ先生の【ピリカビーム】で瞬殺してもらう。


 地図上で一番端の位置、自宅から東に3kmの位置まで来てしまった。

ここから地図上で時計回りに、外周沿いにターゲットを探して一時間ほど進んだ。

外に出れば頻繁に出くわすゴブリンやコボルトも、狙って探すと案外見つからない。

もう今日はあきらめて帰ろうかな? ……と、思ったところで目標を発見した。


 次回、四十四話の投下は1時間後、4月15日の22:30ぐらいを見込んでいます。

さすがに一日三話投稿だとストックの減りが恐ろしいです。

 自分のような、へっぽこがここまで書くのにそれなりにかかってるんですよ?

どうか、そんなへっぽこを下支えするためにも、ブックマークと評価お願いします。

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