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三十七話 俺は【そんなこと】が疑問なんだよ

 年も変わって、脳内PCの日付は4月10日。


 これだけの時間をピリカと暮らせば、さすがにラライエ第一共通語もペラペラである。

もはや、異世界バイリンガルと言っても過言ではない。

最近はラライエ文字の勉強も始めているくらいだ。

こっちは始めたばかりなので、まだまだかかりそうだ。


 ここまでピリカとの意思疎通ができるようになると、今ひとつピリカに伝わらなくて判明していない謎も分かるんじゃないのかな?

そう思って、この数ヶ月の間で色々と突っ込んだことを聞いてみた。


「ピリカ、そろそろピリカの本当の名前を教えてくれないかな? いつまでも俺が勝手につけた呼び名なのもなんだしさ」


「え? ピリカの名前はピリカだよ。精霊は固有に名前を持つことが無いから、今まで名前なんて無かったよ? ハルトがつけてくれたピリカがピリカの名前だよ」


 今更だがピリカは精霊だったのか……。

まぁ、ゴースト系の何かだと思っていたが。

これは、似て非なるものってやつなのだろう。


「ピリカは精霊だったのか……。今まで、人間に会ったことが無いという訳でもないんだろう? ラライエの人間はピリカを名前で呼んだりしないのか?」


「そもそも、名前なんて気にしてない精霊が名乗ることは無いからね。人間たちが精霊を個別の名前で呼ぶことはまず無いよ。勝手にピリカたちの見た目で区別して呼ぶだけ」


「どういうことだ? 精霊は個体ごとにそんなに見た目が違うのか?」


「そんなこと無いよ。人間と同じで体格や顔なんかの個体差はあるけどね。本質的にはみんな同じだよ。見た目は人間や亜人の女の子みたいだけどね」


「なら、一体何を区別するんだ?」


 実質、女性単一性の種族なのか……。

なら、精霊はどうやって数を増やすのか? とか…… なんか、色々突っ込みたい。

だけど、それは別に今じゃなくてもいいだろう。


「精霊は人間にとって存在を認識しづらいからね。人間と接するときは今みたいに、精霊側から人間に見えるようにしている……と、いうのは前に言ったよね?」


 言ったか?

言われたような、言われてないような……。

【どこでもない世界】で言ってた、あの話の事かな?


「確か、ピリカは魔力(マナ)を使って、自分の姿が見えるように光らせているって言ってたな。その話の事か?」


「そう! その話の事だよ」


 どうやら、合っていたようだ。


「他種族に存在がわかりさえすればいいんだから、別に光でなくてもいいの。水でも火でも土でもね。精霊の好みで、実体化に使う媒体がそれぞれ違ったりするの」


 そう言ってピリカは一度姿を消した。

数秒後、全身が水で出来たピリカの姿が現れる。


「ハルトがこっちの方が良いのなら、これでも別にいいんだよ?」


 透き通った水のシルエットのピリカがにこりと笑う


「いや、前の方でお願いします。今までずっと、光っているピリカしか見ていないから、違和感が凄い」


 水で出来たピリカの体がかき消えて、すぐに白金色に光るいつものピリカが現れる。


 うん!


 もうこっちで見慣れているから、この方がピリカらしく感じる。


 それに、水のピリカだと触れられるたびにずぶ濡れになりそうだ。

顔にしがみつかれたら、窒息するかもしれない。


 火なんて、あっという間に家が火事になりそう。

抱き着かれたりすると焼け死んでしまうかもしれない。


 そう考えると、とても認められない。

普通の水や火と違って、濡れたり燃え移ったりしないのかもしれないが……。


「こんな感じでそれぞれの好みで顕現する媒体が違うだけなんだけどね。人間たちは勝手に【水の精霊】とか【火の精霊】とか言ってるよ」


「なるほど。精霊は皆同じ存在なのに、見た目で属性分けしているのか」


「そういうこと。そもそも地球のゲームじゃないんだから、ラライエで【属性】なんて考え方自体が無意味なのにね。なまじ魔法が存在するから、人間たちは誰もそのことに気付かないし、気付こうともしないんだよ」


「なるほどな」


 人間の一方的な思い込みで、ラライエでは属性の概念はあまり意味がないとは……。

他の異世界ラノベやアニメとは少しだけ毛色が違う部分かもな。


「じゃぁ、ピリカは人間に会うと【光の精霊】なんて呼ばれたりするのか」


「もう何百年も人間と会ってないからね。きっと今、ラライエの人間に会うとそう呼ばれると思うよ。ピリカは精霊の中でも最強だから、昔は【光の精霊王】って呼ばれていたことがあったよ」


 精霊王と来たか……。

これはマジでピリカ、ラライエ最強説あるのか?


「今まで何回か聞いたけど……。そんな最強のピリカさんが、どうして最弱の俺の事をそんなに好きなのかがやはり理解できないんだが? 魂が綺麗ってだけじゃな……」


 ピリカの顔に【やれやれ、そんなことが何で疑問なんだ?】

と、書いてありそうな表情が浮かぶ。

でもな、ピリカさん…… 俺は【そんなこと】が疑問なんだよ。


「ピリカも日本語で自由にお話しできるようになったから、もう少し伝えられそうかな。ラライエの生命は全て魔力(マナ)の恩恵を受けているって話はしたよね?」


「ああ、それは覚えているよ」


「ラライエじゃ、精霊以外の命は生きている限り、世界をめぐる魔力(マナ)に魂が晒されているんだよ。でもね、ラライエの物質界に存在する魔力(マナ)は純粋なものじゃなくて、ほんの少しだけだけど(けが)れているの」


「その(けが)れってのがよくわからないな」


「地球の事象で例えるならそうだなぁ……。ハルトのお部屋にあった『イミデル』って辞典に載っていた、大気汚染に近いと思うよ。人間が汚染してしまった空気を呼吸していると、少しずつ体を蝕んでしまう。あれが魂で起こっている状態……といえば少し伝わるかな?」


 なかなかに例えも難しいが、地球の環境問題が近いということは……。


「なんとなくわかったよ。地球では魔力(マナ)の存在が観測できない。つまり物質界に魔力(マナ)の存在しない世界だ。だから、俺の魂は魔力(マナ)に全く晒されたことが無く、きれいだということか」


「その考えで大体合ってるよ。ピリカたち精霊は魔力(マナ)(けが)れをとても嫌うの。これはもう、精霊がそういう存在だからというしかないかな。だから、決して魔力(マナ)(けが)れることのないハルトの魂には、どうしようもなく惹きつけられてしまうの。精霊から見れば、ハルトは地球で言うところの【超絶イケメン】ってことだね!」

 この投稿で十万字を超えたはず。

ここまで見てくださっている方はどうもありがとうございます。


 今朝、ブックマークと評価が一つ増えていました!

 本当にありがとうございます。たった一つ?否!断じて否です!新しく一つです!

私の駄文に興味をもって下さっている方の証左ですよ!

これを喜ばずに何を喜ぶのか?今日は通勤途中ずっと心の中でニヤニヤしてました。

 これでしばらく心折れずに投稿を続けられます。感謝です。

次回、三十八話の投下は今から1時間後、22:30ぐらいを見込んでいます。

引き続き、ブックマークと評価、お待ちしています。よろしくお願いいたします。

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