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二十七話 密林…… ジャングルというやつだ。

 ラライエ……

すべからく、命あるものが魔力(マナ)の恩恵を授かる世界。

浪漫・力・夢・希望を求めるものに、冒険を対価にあらゆる可能性を与える世界。

ただし、求めるものの大きさは、そのまま危険の大きさである世界。



 はるかな過去、ラライエに一人の男が生を受ける。

その名をディランという。


 ディランの魔力(マナ)は、生来より他者を圧倒するほどに強かった。

人の領域を超えるほどに……。


 いかなる魔物と戦おうとも単身でねじ伏せた。

森を切り開き、川の流れを変え、砂漠を押し戻し、人の領域を大きく広げた。

人々は、その強さの庇護の下に入ろうとディランのもとに集う。


 やがて、ディランに従わぬ人間は周囲から居なくなった。

ディランが欲して手に入らぬものは、何も無くなったという。


 生来、純朴な男であったディランであったが、やがて驕るようになる。

そして、全ての人間は、自分に従うべきであると考えるようになった。

なぜなら…… 自分こそが、ラライエで最も強く偉大な存在なのだから……。


 ディランに従う者たちの集まりは、やがて国を成し、帝国と呼ばれるようになる。

ディランの臣民にあらねば人にあらず。


【暴君ディラン】の誕生である。


          ラライエ創成記より一部抜粋





 脳内PCの日付は5月1日だ。


 もはや地球の日付に、いかほどの意味があるのか不明だが……。

それでも、俺の時間を測る物差しとしては使える。


 半年ぶりの太陽の光がある。


 空の色が青い。


 白い雲が流れている。


 地球のものとは違うけど、なんか感慨深いな。


 間違いなく、【どこでもない世界】から抜け出せたようだ。

まずは一安心だろうか……。


 ピリカは休眠状態に入ったので、しばらく現れないだろう。

倒れ伏している状態で消えたのは初めてなので、少し心配ではある。


 しかし、いつまでもここに居るわけにはいかない。


 とにかく最優先で状況確認だ。


 周囲は……緑だな。

それも、かなり深い。


 全く種類さえ見当もつかないような、初見の草や木に覆われている。

言ってしまえば、森なんて言葉は生易しい。


 密林…… ジャングルというやつだ。


 某、ひと狩りするゲームの最初のステージムービーちっくな風景だ。

例の20秒くらいのオーケストライントロを聞きながら、周囲を見渡せば、雰囲気抜群である。

 

 空と雲が見えるのは真上だけだ。

ちょうど、ジャングルを出現した我が家とその周辺分だけ、きれいに切り取ってはめ込んだような感じだな。


 そして、今、気がついた。

転移前の【ピリカの世界】に比べると、面積がかなり少なくなっている。


 どの程度少なくなっているのか、確認しておこう。


 自宅は敷地を含めてすべて残っている。

今、俺が立っているコインパーキングも、マイカーを含む自動車六台……。

すべて無事のようだ。


 お隣さんの家も無事そうだ。


 あとは…… 無い。


 ラライエに転移出来たのは、これで全部のようだ。


 他は境界を抜けるまでにエーテル化して、溶けてしまったのだろう。

面積にして半分位が無くなった感じだ。


 それと、空気がものすごくじめっとしている気がする。

やはり、ジャングルを形成しているくらいだから、かなり多湿なのだろうな。



 最初にやろうとしていた機材や配線の片づけに掛かろうか。

地球の常識に当てはめるのなら、雨が降れば、多分スコール的な降り方な気がする。


【どこでもない世界】では、気象的な環境は一切考慮してなかった。

しかし、今、ここで雨に降られたら機械類は全滅だ。

雨ざらしになると壊れそうなものは、最優先で片付けよう。


 そのついでに、家の被害状況の確認だな。


 ざっと見た感じだと、ダメになったものもあるにはある。

……が、自宅は思ったより被害は少ない。


 事前に補強しておいてよかった。


 お隣さんは…… 家の中はかなりひどいことになっていた。

すぐどうこうできるレベルではない。

こっちの片付けは後回しにしよう。


 ただし、ソーラーパネルと関連設備が無事だったのは僥倖だ。


 ラライエには太陽光がある。


 十分とは言えないが、こいつで電力を確保できる。

とても大事なエネルギー源だ。

最優先で、ソーラーパネルを元通りに組みなおして、充電を開始しておく。


 三日かけて引っ張り出したものを元通りにするのは、それなりに手間がかかる。

片付けるのにも、丸三日かかってしまった。


 その三日間で、ラライエに夜と昼があることは身をもって確認出来た。


 気温は日中、30度を少し超える。

しかし、夜になる20度くらいまで下がる。


 湿度は安定して高く、正直寝苦しかった。


 早速、ソーラーパネルで充電した電力でエアコンを使おうかと思ったが、思いとどまって使うのは扇風機だけにした。

それでも、扇風機だって充電する当てがないせいで、電力そのものが超貴重な【ピリカの世界】ではできなかった贅沢だ。


 いざ、電気が必要な時にエアコンで使い切って、まずい事態に陥るようなことはしたくない。

しばらくは様子を見ながら、節約モードに徹する必要があるだろう。


 26話も引っ張ってやっとこさ異世界ライフ開始です。


 本日の投稿は以上になります。

 次回は諸般の事情で申し訳ないですが、投稿時間を変更します。

朝から歯医者に行って、定期健診受けに行って、エヴァンゲリオン見に行って

帰ってから投稿準備ですが、いつもの投稿時間ルーティーンで身動きとりにくいのです。

そんなわけで、二十八話の投下は4月10日、20:30頃を見込んでいます。

時間が少しずれますが、ご容赦願います。

 精一杯、三話投稿を落とさないよう全力を尽くします。

ブックマーク・評価入れていたければ気力がチャージされて頑張れます。

どうかよろしくお願いいたします。

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