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十七話 はい終了

 ピリカとの共同生活も二か月が過ぎた。

さすがに色々なことがわかってきた。

大半はピリカの言語習得が進んできて、コミュニケーションが取れるようになってきたからだが……。

ピリカはもう殆ど日本語で会話している。

俺も負けじと可能な限りピリカの言葉で話をするように心がけているが、ピリカほど習得できていない。

そのせいで、半分日本語になるのは勘弁してもらう。


 すでにピリカは俺のフォローなしに、自力で日本語を学習し始めている。

一方、俺はピリカから一方的に彼女の言葉を教わっている有様だ。

このことからも知的レベルは完全にピリカの方が勝っていることが判明した。


 そもそも、俺自身のIQは106しかない。

典型的な凡人である。

しかも、この106という数字も十年以上前の測定結果だ。

今も変わらす106なのかは甚だ疑問だ。


 脳内PCのサポートがあるから、実際はこれ以上のパフォーマンスは出ているとは思うが、それでもピリカには及びそうにない。


 ひとまず、今時点でピリカから得られている情報はかなり驚くものばかりだ。


「ピリカ、ここがどこなのか知っているか?」


「ここ? ハルトのおうちでしょ?」


「いや…… まぁ、俺のおうちなのはわかってるんだよ。そうじゃなくて、この真っ暗な空間になんで俺のおうちが漂っているのかってことなんだが……」


「日本語、まだ難しくてよくわからないの。ここはどこでもないよ。ピリカのいたラライエでもなくって、ハルトのいた【地球?】でもないところだよ」


 ピリカのいた場所は【ラライエ】というらしい。

地球ではないので完全に異世界っぽい。


「これはね、【ピリカの世界】を作って、ハルトのおうちを包んでいるの。【どこでもない世界】にそのままでいたら、ハルトもおうちもエーテルになって溶けちゃうから……」


「そ、そうなのか……。俺がこのまま外に出たら溶けちゃうのか……。ピリカがこれで包んで、溶けないように守ってくれているんだな」


「そうだよ、ほら、このピリカの魔力(マナ)で【ピリカの世界】を支えているんだよ」


 どうやら、このシャボン空間はピリカが作り出した世界らしい。

そして、ピリカの体から絶えず漏れ出ている光球が魔力(マナ)というものらしい。

これがシャボン空間、改め【ピリカの世界】を維持しているということだろう。


ここにきて、何ともオタク心をくすぐるようなワードが頻繁に出てくるようになってきた。

さらに、ここから出たらエーテルとかいうものになって溶けるらしい。


 無理やり出なくてよかった。


「ところでさ…… 俺がここに飛ばされたときってさ。俺、死んでたよな? 家具とかPCにぐしゃっと押し潰されたおっさんだったろ? なんで、こんな子供になって生きてるんだ?」


「ハルト、死んでないよ!」


 ピリカは少しだけ、ぷりぷりと怒って俺が死んだという表現を否定する。

ここまでかわいいと、微塵も怖くない。

本当に【かわいいは正義】という言葉はオタクの真理を突いている。


「まだ、魂がエーテルになってなかったから…… ハルトは死んでないよ。だからね、ハルトの体もハルトのおうちも、ピリカが【ピリカの世界】に創り直しんたんだよ」


 よくわからんが、【ピリカの世界】に創り直す。

これって、事象を巻き戻す神業的なものなんじゃないのか?


「そうか、ピリカは命の恩人だ。ありがとうな」


「ふふっ、だってピリカ…… ハルト好きだもん! ずっといっしょ!」


「それなんだけどさ。なんでピリカは俺の事そんなに好きなんだ? 話を聞いた感じだと、ピリカが初めて俺を見た時って、キモいおっさんの死体だろ?」


 やはり、ここは俺にとっても気になるところの一つだ。

訊けるときに訊いておきたい。


「死体違うよ! ハルト死んでないもん! それに、キモくないよ! ピリカたちは体の見た目どうでもいいの。ハルトの魂、すごくきれい…… だからピリカ、ハルト好き」


 俺の魂がきれい?

うん! 全然意味が分からん!


「えっと、あれかな? 【ピリカたち】っていうことは、ピリカみたいな子がピリカのいた【ラライエ】って世界には他にもたくさんいるのか?」


「そうだよ」


「そうか、魂がきれいっていうけどさ……。俺はそんな心の清い人間じゃないし、どっちかというと俗物だったぞ。絶対に高速で空を飛ぶ不思議な雲に乗れない自信がある。何をもって、魂がきれいって言ってるのかわからないんだが……」


「えぇ~っ? ハルトの魂はとてもきれいだよ。こんなにも魔力(マナ)(けが)されていない魂は見たことがないよ」


 ピリカはうっとりした表情で、そんなことを言ってのける。

 よくわからないが、ピリカの判断基準では脳が潰れていようが、心肺停止状態だろうが、死亡扱いにならないらしい。

どうやら、魂がエーテルとやらにならない限りは、蘇生手段があるのだろう。


 地球の最先端医療、形無しである。


 そして俺の魂が魔力(マナ)(けが)されていないから俺の魂はきれいで、だからピリカは俺の事が好きと……。


 またしても、新ワード&謎ワードが飛び出してきているが、オタクの俺にはこの時点でアニメやゲーム、ラノベ知識からかなりの仮説が立っている。


 まだまだ言語の壁に阻まれ、完全な意思疎通ができているわけではない。

誤った解釈をしている可能性はあるが、大筋はこんな感じの情報がピリカから引き出せた。



 そんなこんなで数日が過ぎた。

さて、いよいよ本命の情報を聞き出してみるか。


「あのさ、ピリカ」


「ん~? なぁに? ハルト」


「俺はここから地球に帰りたいんだけどさ。どうやったら地球に帰れるのか知ってるか?」


「ハルト、【地球】に帰りたいの? ピリカ、わかんない。ごめんね」


 はい終了。


 知っているのに教えてくれないのか、本当に知らないのかは分からないが……。

ピリカは俺に対して好意的だ。

本当に知らないのだろうと思う。


 ま、知らないものは仕方がない。

残された約二か月半。

ピリカとのまったりオタクライフを過ごして、人生終了するか。


 実はセリフが増えてきて推敲が自転車操業状態です。

こんな駄文でも、数ヶ月かけて幾度となく修正を重ねてはいるので、

このまま投下しようとも思ったのですが、投稿前日になって

「やっぱり最初の書き方が一番いいのかも……」と思い直し、

元の記載に戻しながら投稿してます。

 これが正解というのがないので、下手に考えれば考えるほど沼に沈んでいきますよね。


そんな底なし沼に下半身が沈んでいる私に救いのブックマークと★をお願いします。


 18話は1時間後の4月6日。23:30頃の投下を見込んでいます。

是非見てください。よろしくお願いいたします。

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