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百六十二話 今は考えるのはよそう……。

 1月8日



 昨日に引き続き、村の中で地脈を探り当てるための探索を続けることにする。

一応、アルドとヴィノンの二人には昨日の経過だけは教えてある。

この分だと、明日も村の中を徘徊することになりそうな気がするからな。


 朝食を済ませて、昨日調査を切り上げた雑貨屋の前の道へ向かう。


「やっと来た……。今日は来ないのかと思っちゃったわ」


 なぜかアルエットが待ち構えていた。

しかも、初めて会った時と同じ騎士服にブレストプレートを着込んだ冒険者の装備に武器まで持っている。

アルエットの手にしている武器がまたとても目を引く。

何しろ、彼女の身長を軽く上回る大型の突撃槍だ。

俺が中学生ぐらいの頃に流行った檄ムズの横スクロールアクションゲームの騎士が投げまくっていた機能性重視の槍に似ている。

脳内PCは槍の全長210cmと算出している。

アルエットの身長が156cmと出ているから、頭二つ半以上長い感じかな。

それよりだ。

あの小娘の腕力はどうなってるわけ?

あの突撃槍が鉄製だと仮定してその重量は……。

柄の部分が中空だとしても40kg……。

下手したら100kg以上あるかもしれない。

異世界でそんなことを気にしたら負けかな。

今は考えるのはよそう……。


「えっと…… こんな所で何やってんの?」


「君を待っていたのよ」


「そんな恰好で何のために?」


「本当に君が地脈の調査を続ける気なのかなって気になっちゃって……」


「それで、その恰好は一体……」


「これからオーク討伐なの」


「ガシャル達と?」


「そ、ガシャル達と……。二つ名持ち勇者(ネームド)の孫娘って色眼鏡で見られちゃうからね。臨時パーティーに入れてくれるのってガシャルの所ぐらいなの」


「……そっか」


 それはホントか?

何となく怪しい気がするけどな。

パーティーメンバーに日輪級がいるとなれば、それだけでちょっとしたステータスだ。

そのくらいの常識はさすがに理解できてきた。

となると……。

ガシャルの許可なく勝手にアルエットを臨時メンバーに誘おうものなら、何かしら嫌がらせをされるとか……。

そのくらいのことは裏でやってるかもな。

ま、俺達に火の粉がかからない限りは、あいつらが何をやっていようとも関係ない。


「あ、そろそろ行かなきゃ。ちゃんと調査するのよ。何かわかったら私にも教えてね!」


 そう言うとアルエットはギルドに向かって足早に去っていいた。


「結局、何しに来ていたんだ?」


「ピリカにも分かんない。あんなの放っておいて、調査はじめよ?」


「ああ、そうだな」


 俺達は昨日中断した場所から、地脈の調査を再開させる。

とはいえ、別に俺自身は特に何かするわけでもなく、ピリカの後ろをついて歩いているだけなわけだが……。


 道を東に向かって歩いていると、知った人影が視界に入った。


「あれは…… ガル爺か?」


 ちょっと距離があるし、この前会った時とは服装が違うが見間違えはしない。

方角的には北の出口から森に向かうつもりかな?

軽装の皮鎧を身に付けて一人で歩き去って行く。

ガル爺までは距離があるし、わざわざ声を掛けて呼び止めるような用事もないから、そのままガル爺を見送った。

ガル爺は森の管理を担っている【セントールの系譜】とか言ってたな。

……ということは、ガル爺と血縁関係にあるアルエットも、その【セントールの系譜】とかいうやつなのだろうか?


 結局、今日も3km程東に進んで探索が終了した。


 ……。


  ……。


 宿に戻ってピリカにミスリル板(小)を一枚渡してやる。


「ハルトありがとう! これできっと完成できるよ」


 ピリカは嬉しそうに美利河 碑璃飛離拳(ピリカ ピリピリけん)でミスリル板を裁断する。

大きさは10cm×1cmの長方形だ。


「こんな小さくていいのか?」


「うん。これ以上大きいと、ここに入らなくなるからね」


 フォトンブレードの底についている電池カバーをパカッと外す。

なるほどね…… 単三電池二本分の電池を入れるスペースに補助術式のミスリル板を入れ込むつもりか……。


「あとはこのミスリルに収まる大きさで術式を組み上げられればいけるよ」


「そうか、よかったな」


「うん!」


 ピリカが【はなまるの笑顔】で答える。



  1月9日


 調査開始から三日目。

朝食のために宿の食堂に向かう。

今日は俺が一番乗りか。

取り立てて話しておかないといけないような成果も上がっていし、無理に二人を待たなくてもいいだろう。

一足先に朝食にありつくことにした。


「ハルトきゅん、おはよう! その服どうしたの?」


 半分ほど朝食を食べたぐらいの所で、二人が食堂に姿を見せた。


「ああ、おはよう。村の雑貨屋で買った。さすがに寒くなってきたからな」


「確かに冷えてきたな。俺もそろそろ着込むものを買っておくか……」


 アルドも俺と一緒に赤道直下のミエント大陸から来たから防寒着の準備は一切ない。

すぐに必要になってくるだろうから、俺が防寒着を買った店の場所を教えてやった。


「あそこなら、大概のものは手に入るよ。僕もアルドと一緒に行ってこようかな」


 ここで活動していたことがあるだけあって、ヴィノンは村の店の事も良く知っているようだ。


「ハルトきゅんとお揃いのがあればいいな……」


 それはやめてくれ……。


「いや…… これは別に俺が選んだわけじゃないからな。ヴィノンは自分かいいと思うやつを選べばいい」


 ヴィノンとペアルックの防寒着になる事態を回避するため予防線を張ることにした。


「じゃぁ、誰が…… まさか精霊ちゃんじゃないよね? 他の精霊は素っ裸だし。あの店の親父さんが選ぶなら一番高いやつを勧めてくるはず……」


「クソ勇者のところにいた槍の女だよ」


 ピリカが興味なさげにヴィノンに教える。


「え…… アル? なんで?」


「いや、地脈調査の時にたまたま会っただけだ。他愛のない世間話の流れでな…… アルエットがお勧めと言うから、それを買っただけだ」


「ふーん……」


 えっと、ヴィノンは何を意味深に考え込むそぶりを見せているんだ?

意味が分からん。


「とにかく俺はもう行くぞ」


 まだ朝食が途中のアルドとヴィノンを残して先に宿を出る。

調査を再開するために、昨日の調査終了場所に向かおうか。



 ……。


  ……。


 村の中での地脈の調査も三日目に入った。

意外と時間がかかると言うべきか、まだ三日目と言うべきなのか……。

何しろ、ラライエの人類に(けが)れという概念は無かったぽいからな。

下手したらこんなことを調べている人間はラライエで俺だけの可能性も普通にある。



 ……。


  ……。



 ピリカは村をひたすら東に進む。

この分だと明日には村の最東端に行きつきそうだ。

これは村の中に(けが)れが混ざった地脈は無い感じかもしれない。


 そろそろ、昼ご飯時だな。

昨日、防寒着を買っておいてよかった。

寒さに震えることなく調査が出来ている。


「おっ、ちょうどいい場所がある。あそこで昼ご飯にしよう」


「はーい」


 今日も今日とて昼ご飯はいつもの微妙なパンだ。

道を外れたところにあるデカい切り株にピリカと二人で腰を下ろす。

エコバッグからパンを取りだして齧りつき始めたその時だ。


「あ~~っ! こんな所にいるし!」


 そんな声が聞こえてきたと思ったら、西の方からアルエットがこっちに向かって走ってきた。

今日は村娘の服装だから、冒険者としての仕事は無いということだろう。

その手には少し大きい目のバスケットを下げている。


「はあっ! はあっ! 良かった…… 間に合った」


 息が乱れているところを察するに、結構な距離を走ってここまで来たということか?


「えっと…… 何か急ぎの用事でも?」


「何って…… ハルト君を探していたに決まってるでしょ? どこに居るのか分からないから、結構探し回っちゃったわよ」


「えっと…… 何で?」


「この前も言ったじゃない。 君がやろうとしている調査にすっごく興味があるの」


 この小娘…… 実は暇なのか?


「やっぱり、そんなパンだけでお昼ごはん済ませようとしてる! この前見かけた時からそうじゃないかと思ってたの」


 そう言ってアルエットがバスケットを開けると、中には肉や野菜などのうまそうな料理が収まっていた。


「おかずになりそうなのを作ってきたから、一緒にお昼にしましょ」


 アルエットが俺の隣に腰かけてくる。


 前回の投稿からブクマ+評価いただきました!

ありがとうございます。

おかげさまで、前回剥がれたブクマの分を挽回できました!

とても嬉しいです。

 あと、誤字報告ありがとうございます。

ひとりだけの目では限界があるので助かります。


 コツコツとできる範囲で投稿を続けていきますので

今後ともよろしくお願いいたします。

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― 新着の感想 ―
[一言] 絵がないから想像できなかったけど、二人はおねショタみたいなかんじなのか
[一言] アルがもし仲間になったらピリカの反応が凄いことになりそうな予感……! ブクマ挽回とは、ヒロインパワーは伊達じゃないですねー。
感想一覧
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